メールマガジン第35号>兵庫県宍粟地域視察

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★兵庫県宍粟(しそう)地域へ行ってきました

 林業、製材、バイオマス三位一体の経営を学ぶ(その1・林業編)

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 最近久しぶりに八木数也社長にお会いしたら、元々大変聡明な人なのですが、このところ仕事への境地も一段と進化して、林業木材産業のあり方を見る目も、まさに冴え渡っている印象を受けました。そういえば宍粟市にも随分長いこと行っていないな、是非近況を拝見したいものだと思いました。

 

 折角行くなら社員達も、さらについでに木材組合の仲間達や県内業界にもと輪が広がりました。県外でもたまに林業関係で意見を交わす人で、比較的時間の繰り合わせが利きそうな数名にも声を掛けました。結局ちょうど30名という、堂々たる視察「団」になりました。

 

 暑い最中でありましたが、視察も実に熱いものになりました。八木さんがトップを務める三社は素材生産、製材加工、燃料生産が三位一体で経営されています。すべて氏のヴィジョンに基づき企画されていますが、同時に八木氏の実行に裏打ちされています。特に最直近の事業である燃料生産はまさに八木氏の判断から誕生しましたが、その後の成長も八木氏の実践で成り立っています。

 

 需給に関する八木氏の鋭い感覚に基づく販売先との優位な関係構築、そしてそれをきちんと業務に反映する、業務が確立するまで自ら現場で実務に当たる。中小企業の経営者に必須の、勘と度胸と才覚、そして一見そうは見えないけれど無類の勉強熱心と勤勉さ、これが私に無くて八木氏が兼ね備えるものです。八木氏グループ各社成功の秘訣でしょう。

 林業で、補助金が無くても「儲かる」ことを実証していることに、視察団の皆さんと共に感激したことでした。

(視察団団長 佐々木幸久) 


 

 社長が理事長をつとめる肝属木材事業(協)で視察研修を企画し、組合外にも参加を募ったところ、東京、長崎、和歌山、高知などからも参加者が集まり合計30名の視察団になりました。

 鹿児島空港から神戸空港までスカイマークが就航しており便利でした(往復一万円で行けます)。

鹿児島組は姫路駅近くに前泊し(夜は明石焼きや姫路おでんを食べ)、7月5日の朝、姫路駅で皆さんと合流しました。 


 

 宍粟に到着し、八木専務(社長の息子さん)・春名課長と合流。

まず伐採現場を見てもらいたいということで宍粟市波賀町にある沼谷国有林の現場をご案内いただきました。

沼谷国有林内
沼谷国有林内

 

 沼谷国有林は、「沼谷」という名前が表すように、かなり湿気が多く、足場が悪い場所でした。八木木材様は国から間伐の委託を受け、まずは林道や重機を駐めて作業できるスペースを造るそうです。当日は林道が出来たばかり。


 

 この日は、経験のある2人(番頭と伐倒主)で、経験の浅い方2人を見ながら4人で作業されていました。経験の浅い方は一人は前職保険会社、一人は京都の林業大学出身とのこと。段取りは番頭である福原課長が考え、無線で指示が飛んでいました。

 チェーンソーで次々伐採(列状間伐/一伐二残)、ロングリーチグラップルで集材、プロセッサーで造材と同時にフォワーダーに積み込み、という流れが効率よく実施されています。



 

(伐採現場を見た感想) 

 今回、兵庫県宍粟地域視察に参加いたしまして、2年ほど前にも一回、八木木材様の伐採現場を拝見しているのですが、今回もまた見られると思いすごく楽しみに参加しました。

 現地に着き、まず最初に林道を少し入った八木木材様の伐採現場を見学させて頂きました。まず重機が3台見えて、作業道の奥にも2台おり合計5台の重機を使い作業を行っていました。

 なぜ八木木材様の伐採量が多いのか?と思いながら作業を見てますと、まず機械のスケールの大きさ、切り倒す作業員の作業の早さ、インカム(無線機)を使い作業のやり取りを行っている。でも、一番は作業効率の良さ。しかも、さらに作業効率を上げることを考えて、一秒でも早く、一本でも多く集材する事を考えながら作業している事が伐採量の多さにつながっているのだと思いました。(山佐木材(株)製材部 森田)

 

 当日は、天候が心配されていましたが予想以上の晴天で、汗だくになりながら沼谷国有林の伐採現場を見学させていただきました。現場は名前の通り地盤が悪く、作業は非常に気を使うとの事でしたが、蓄積された知識と経験を生かし生産に影響を与えない状態を作り、メインとなる重機のフル稼働により生産量を上げていく流れになっていました。日々の目標達成への意欲、効率の良い作業方法、人間のやる気を強く肌で感じました。((協)きもつき木材高次加工センター 笹原) 

 

 私は伐採現場を見学するのは初めてだったのですが、第一印象は「はやい!」でした。他の現場を知っている方に聞いても「はやい」そうです。4人で作業しているとは思えないほど、プロフェッサーで造材していたかと思えば、同じ方がグラップルに乗り換えて集材にまわったりして、どこかで溜まることなく、どんどん作業が進みます。想像していたよりもずっと少人数で機械を最大限活用している感じがしました。

 若い方が常に駆け足で移動しているのに皆さん感心していましたが、あとから番頭の福原課長に聞くと、現場のときは集中してやるので、のんびり昼食も食べる暇はないとおっしゃっていました。宍粟は林業会社が多く、福原課長も以前は別の林業会社で働いていたそうですが、八木木材に来てから、どれだけ効率よくできるかを常に考えているという言葉が印象的でした。(山佐木材(株)総務 佐々木)

次回 製材編、バイオマス編に続く