メールマガジン第114号>稲田顧問

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★【稲田顧問】タツオが行く!(第70話)

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「これまでのタツオが行く!」(リンク

70.パエリア

 

 福岡大学を退職してから、月の前半のみではあるが鹿児島に住み始めて7年になる。その前の福岡大学時代は基本単身赴任であったが、鹿児島に来てからは、できるだけ妻と2人での鹿児島滞在を心がけるようにしている。それでも、それぞれの都合もあって単身となることも少なくない。特に今月(6月)は今週半ばに東京で開催されるシンポジウムの司会を務めることもあって、主として私の都合ですれ違いになりそうなので、単身で来ることにした。

 

 昨日、鹿児島に到着して初めての土曜日ということで、近所のスーパーに食材の買い出しに出かけた。店の中をぶらついていると、ハウス食品の「パエリアの素」という小袋の商品が目にとまった。

 実は先週の5月27日は結婚記念日であったので、横浜の馬車道近くのスペイン料理店「ミゲルフアニ」で、久しぶりに妻と二人で食事をした。その店は桜木町から歩いて20分と少し不便な所ではあったが、横浜の港に面した、赤レンガ倉庫にも隣接する、横浜らしい雰囲気の良いレストランであった。「パエリア専門店」というのがキャッチフレーズの店だけのことはあって、メニューも充実しており、スペイン料理を大いに堪能することができた。

 

 そんなこともあったので、スーパーで見つけた「パエリアの素」に少し惹かれるところがあった。袋に書かれたレシピを見ると、1袋に対しお米1合で2人分が基本とあり、単身者でも手軽に取り組めそうである。つまり土曜日の夕方に作れば、その日の夕食と翌日の日曜の昼食と2回に分けて半分ずつ食べれば、無理なく食べることができる。

 袋の表面には大きな文字で「フライパンで炒めて煮込むだけ」とあるが、その下に少し小さな文字で「炊飯器でも作れます」と書いてある。フライパンでお米を炊くのには少し抵抗感があったが、炊飯器でも良いというので、気分的には少し楽になったのも事実であった。

 裏面のレシピを見ると、食材は鶏肉と赤パプリカとシーフードミックスとあるが、豚肉(茶美豚の肩ロース)とピーマンを既に別の店(農協)で購入済であったので、鶏肉と赤パプリカの代わりにそれで済ませることにした。鶏肉の代わりに豚肉で問題無いと判断したのは、横浜で食べたのがイベリコ豚のパエリアであり大変美味であったからである。

 ただピーマンについては赤い色がないと少し色合い寂しくなるのではないかと思い、ミニトマト購入し半分に切って、赤い色を加えることにした。

 やはり魚介はあった方が良いだろうということで、冷凍のシーフードミックスを買い、食材としては準備万端となった。最後にレシピには調味料としてサラダオイル小さじ2杯とあったが、これはやはりオリーブオイルの方が良いだろうということで、小さなオリーブオイルの小瓶を買いその日の買い出しは無事完了した。

 

 夕刻になって小袋に書かれたレシピに従って、料理に取りかかることにした。シーフードミックスについては、買い出しから帰ると直ちにレシピに書かれた分量を別の器に移し自然解凍するようにしておいた。自然解凍したシーフードミックスからは予想外に多くの水が出ていたが、その水はざるで濾すことで水を切るようにした。

 フライパンで作るか炊飯器で作るかについては少し迷ったが、結果としては炊飯器でつくることにした。レストランの場合、炊きあがったパエリアをそのまま鍋ごと見せて貰うのが楽しみの一つであるが、炊飯器ではそれができない。しかし、今回は別に人に見てもらう分けでも無いので、そのことには拘るのはやめることにした。

 お米と水、準備した食材と調味料を炊飯器に入れ、最後にパエリアの素をいれて、かきまぜた。炊飯器のスイッチを入れて1時間ほどすると、サフランの香りが部屋に立ち込めるようになり、ほどなく炊きあがった。炊飯器の蓋を開けて出来上がったパエリアをよくかき混ぜ、カレー皿に盛り付けてその日の夕食は完成した。

 

 食べた上での感想としては、横浜で食べたパエリアはおこげが多くどちらかと言えば、パリパリとした感じで、確かに美味であった。一方、今回作ったパエリアは、多少おこげはできていたもののどちらかと言えばふわっとした食感で、それはそれで悪くなかったのではないかと思う。

 反省点もある。シーフードミックスについては水の切り方は、もう少し徹底した方が良かったのではないかと気になっている。結果にどのように影響したかは分からないが、細かい所の拘りがやはり重要なのではないかと思う。冷凍のシーフードミックスのイカについては大きな切り身が入っていたので良かったが、それ以外のエビと貝は小さすぎてあまり存在感が感じられなかった。

 次に挑戦する時には、イカ、エビ、ホタテはそれなりの大きさのものを別個に購入した方が良いのかもしれない。

 いずれにせよ、「パエリアの素」はもう一袋残っているので、来週も挑戦するつもりである。

(稲田 達夫)