メールマガジン第108号>稲田顧問

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★【稲田顧問】タツオが行く!(第64話)

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「これまでのタツオが行く!」(リンク

64.超高層ビルに木材を使用する研究会の総会記念シンポジウムを終えて

 

 10月26日、「超高層ビルに木材を使用する研究会」主催の総会・記念シンポジウムが福岡大学中央図書館多目的ホールで開催された。併せて翌日の27日には、今年度からの新企画である宮古島オプショナルツアー(みやこ下地島空港ターミナル視察ツアー)が実施された。

 

事業報告
事業報告

 

 今年3月には国土技術政策総合研究所が「新しい木質材料を活用した混構造建築物の設計・施工技術の開発」を刊行したこともあって、従来より取り組んでいた鋼木混合構造建築の普及が一歩前進したという期待感を持っていた。そのようなこともあって、テーマは「普及段階が見えてきた中大規模鋼木混合構造建築」とし、基調講演は株式会社日建設計の村上勝英さんにお願いすることにした。

 村上さんは大手の総合設計事務所では珍しく、従来より大規模木造建築に取り組んでおられる異色の構造設計者である。山佐木材が担当したみやこ下地島空港のCLT大屋根の設計者でもある。ある用件で佐賀に立ち寄り村上さんとお会いした折に、シンポジウムの基調講演とオプショナルツアーの協力をお願いした所、快く引き受けて頂くことができた。大変有難いことと思っている。

 構造設計者には寡黙な方と、どちらかと言えば例えば大先輩の寺本隆幸さんや大越俊夫さんのように良い意味で話好きな方に分かれるが、村上さんは後者である。知識・話題も豊富であり、話の内容も面白く、2日間をお付き合いさせて頂いたが、大変に楽しい時間となった。

 今年還暦を迎えられたということであるが、まだまだ構造設計界を牽引して行くリーダーとして活躍が期待される方だと思う。

 

基調講演
基調講演

 

 総会・記念シンポジウムは昨年よりSASST(建築鉄骨構造技術支援協会)との共催としている。超高層ビルに木材を使用する研究会は当初から鋼木混合構造を想定していたこともあって、専門分野の縦割りを排し鋼と木の交流を重視して、木構造と鋼構造の団体の共催とすることにしたのである。

 パネルディスカッション(PD)の鋼構造側のパネリストには昨年に引き続き宇都宮大学の増田先生にお願いしたが、増田先生はSASSTの常務理事でもあり、結果としては大変実りのあるPDになったと思っている。

 実際の所、PDのディスカッションには1時間30分を見込んでいたが、フロア側からの質問も多く時間が足りないくらいの盛り上がりであった。

   

 恒例となっている懇親会の会場は、今年は中州のbills福岡とした。昨年までは居酒屋で行っていたが、床に座り込んでしまうと参加者の移動が滞り交流会にならない。billsは岡部さんとかつて夕食を共にしたときに見つけたオーストラリアレストランであるが、海外にも拠点を持つ大変オシャレなレストランである。立食パーティーとしたので、2つの団体の交流も十分に行うことができたのではないかと思っている。

 

懇親会
懇親会

 

 翌日のみやこ下地島空港視察オプショナルツアーは、12名の参加を得、空港ターミナル会社の平野さんの案内により、国際線ターミナルなど、通常では入ることのできないゾーンも案内して頂いた。台風対策や、宮古島ならではの建築材料である琉球石灰石の使い方など、興味深い話を聞くことができた。

 

 秋は、このシンポジウムを皮切りとし、これから様々なイベントが目白押しである。今年もまだまだ、有益な時間を経験することができそうで、楽しみである。

(稲田 達夫)