メールマガジン第105号>稲田顧問

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★【稲田顧問】タツオが行く!(第61話)

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「これまでのタツオが行く!」(リンク

61.国民宿舎「鵜の岬」

国民宿舎「鵜の岬」全景(国民宿舎のHPより)
国民宿舎「鵜の岬」全景(国民宿舎のHPより)

 最近、休日はよく小旅行に出かけるが、この所行く先は九州が殆どである。ところが、先月久し振りに横浜の家からドライブに出かけることになった。というのは、テレビのワイドショーで茨城県の国民宿舎「鵜の岬(うのみさき)」が話題に上っていたからである。

 

 国民宿舎「鵜の岬」は全国でも人気ナンバー1を誇る公共の宿で、予約は半年前から往復はがきで受け付けるとのことであるが、特に土日については宿泊予約は抽選になることが多いという。面白いのでホームページを覗いてみると、6月は梅雨のため、ウィークデーであればまだ空きがあるとのことであった。それで早速申し込んでみたのである、

 実は、国民宿舎「鵜の岬」には40年程前に一度宿泊したことがあった。確かに眺望の良い宿ではあったが、特に人気の宿というほどではなかった。当時我が家は、千葉県松戸市にマンションを取得し、買い物等が不便であったので中古車を買った所であった。そしてその中古車で最初に小旅行に出かけたのが「鵜の岬」だったのである。

 

 その日はウィークデーだったと思うが、宿泊客は我家のみで、大浴場にはお湯が半分しか入っていなかった。朝ごはんには生卵が出たが、子供用に目玉焼きを頼むと快く作ってくれたが、出来上がった目玉焼きを見ると、どうもだらしなく広がって平らになった目玉焼きであった。つまり少し古い卵だったのだろうと思うが、何となく情けない思いがしたのを覚えている。

 部屋からの眺望は抜群であり長男が生れて1年目ということもあり、やっとゆっくりできた旅であったので、それだけに細かいことまで記憶に残っているのだと思う。当時の印象では、このような状態では、この宿も遠からず閉館に追い込まれるのではないかと危惧したものであった。その少し頼りなく思われた宿が、月日を経て全国でも人気ナンバーワンの宿に変身したのである。何があったのか。

宿舎内の庭園内にあるスイレンの池(朝の散歩で)
宿舎内の庭園内にあるスイレンの池(朝の散歩で)
宿泊した部屋の窓からの眺望(手前のドームは大食堂)
宿泊した部屋の窓からの眺望(手前のドームは大食堂)

袋田の滝
袋田の滝

 私は20年ほど前、関東一円を担当する営業の先輩によく誘われて、茨城県の水戸を訪れることがよくあった。目的は、茨城県庁と常陽銀行本店を訪問し、その地方の建築事情を集めることであった。水戸駅前に小さなうなぎ屋さんがあって、その先輩は必ずその店で「うな重」を奢ってくれたのであるが、その「うな重」は上面以外にご飯の中段にもウナギが敷き詰められておりその「うな重」に釣られて、営業活動に同行したのである。

 

 特に常陽銀行でよくお話をした次長さんは、良い意味で敏腕な印象の銀行マンで、話のかなりの部分は、「つくばエクスプレス(TX)」が開通間近のつくばセンター駅付近の活性化についての話題であった。

 常識的に考えればTXが開通すればつくばセンター駅付近は新しい東京のベッドタウンとして発展して目出度し目出度しだと思うのだが、次長さんはそれではだめなのだと言う。

 茨城県の為にはつくばセンターは、秋葉原とも、例えば柏の葉キャンパス駅のララポートとも、対等に張り合える活気ある街に再生せねばならないとおっしゃるのである。その次長さんが「鵜の岬」の話もされておられた。五浦海岸や日本三大名瀑の袋田の滝も近くにあり、敷地の広さ眺望の良さ等を考えると茨城県有数の観光地に生まれ変わることができるということを熱く語っておられた。

 一人の銀行マンの強い意思が、地域に新たな活性をもたらした興味深い事例だと思う。鵜の岬に行って、改めてそのような事を思い出し、有意義な一日であった。

 

(稲田 達夫)