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2015/1~2015/12


2015年12月17日(木)日刊木材新聞より

◆CLT使用のモデルハウスを披露

壁倍率に係る大臣認定取得予定 阿部建設

 阿部建設(名古屋市、阿部一雄社長)は11日、同市守山区の大森エコタウン内で建築中のCLTを利用したモデルハウスを公開した。林野庁の森林整備加速化・林業再生事業(CLT等新製品・新技術実証・展示加速化事業)の補助を受けたもので、壁倍率に係る国土交通大臣認定の取得を予定している。

 モデルハウスは敷地約274平方㍍、木造軸組工法による2階建て(延べ床面積約162平方㍍)で、壁や床には長さ3000☓幅1000☓厚36㍉の国産材製JAS認定CLT(鹿児島県の山佐木材による製造・加工)を多数使用している。

 店舗や福祉施設といった非住宅物件に対応するため階高を高く設計しており、壁倍率5.0相当の性能を持つCLT壁によって木の質感あふれる堅牢な建物となった。成果としては大判CLTの使用による施工性向上、部材減少によるコスト削減、国産材の有効活用などを挙げている。

 このほか設備ではOMソーラーライト及びクワトロソーラー、太陽光発電などを導入し、ゼロエネ住宅仕様とする。完成は来年3月の予定で、以降は宿泊体感施設としても活用していく予定だ。

 同社ではCLT利用について、NPO法人WOOD ACや岐阜県立森林アカデミー等と連携して木造軸組工法用のCLTによる耐力壁や水平構面の構造試験を実施し、各標準仕様を決定して設計・施工マニュアルを整備。今回のモデルハウス建築を通じて設計・技術・施工の検証を行い、壁倍率に係る大臣認定の取得申請、床倍率に係る指定性能評価機関への認証申請を実施する。来春以降はCLTの普及促進活動を本格化する予定だ。


2015年12月16日(水)日刊木材新聞より

◆新国立競技場の技術提案書公開

ハイブリッド屋根構造 VS. 耐火集成材 日本スポーツ振興センター

 日本スポーツ振興センター(大東和美理事長)は14日、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のメーンスタジアムとなる新国立競技場について、2事業者からの技術提案書を公開した。A案は集成材と鉄骨トラスを組み合せたハイブリッド屋根構造を持ち、B案は純木製の柱(1時間耐火)72本で屋根を支える。双方とも木材の利用を提案に盛り込んでおり、どちらの案が採用になっても大量の木材利用の可能性があるもので、12月末の選定に向けて注目が集まっている。

 新国立競技場の建設では、建設費用の高騰などから今年7月に計画が白紙撤回され、新たに関係閣僚会議で決まった整備計画に基づいて9月から公募を行っていた。11月16日技術提案書の応募を締め切り、2事業者からの応募があった。技術的な確認とコスト、工期を含めた要求水準を満たしていることを確認し、2案を公開した。

 A案は木と鉄のハイブリッド屋根構造により、日本の伝統デザインを取り入れたもので、木材は森林認証を取得した国産材の集成材を用い、採用部位に応じて樹種を使い分ける。下弦材にはカラ松E95-F270、ラチスには杉E65-F225の構造用集成材を使用する。部材は120☓450㍉、長さ6㍍以下の中断面構造用集成材を使い、全国の集成材工場からの調達を可能にする。半屋外での使用のため使用環境はA、高耐久仕様の保存処理K3仕様を用いる。105☓360㍉程度の寸法の構造用集成材を8丁合わせて465☓770㍉の断面を確保するなど、合計で1800立法㍍の使用を見込む。

 B案は1320~1520㍉角の耐火集成材を19.5㍍の高さの柱として72本使用し、スタンド・屋根を支える。樹種はカラ松。1次耐久層には東日本大震災復興地域のカラ松を使用、表面は加圧式保存処理を行い、さらに紫外線劣化などを防止する木材保護塗装を行う。モルタルによる燃えどまり層の外周部には2次耐久層(耐火層)を設ける。本紙推定(1.3㍍角☓長さ19.5㍍、72本)で、カラ松耐火集成材は2300立方㍍以上になるものと見られる。柱の維持管理については、心柱の供用期間にわたって虫害や天候等による劣化を受けないよう、維持保全として1次耐久層で劣化を食い止める点検、補修を行うことを盛り込んだ。

 採択については、コスト・工期、施設計画や日本らしさに配慮した点などを含めて総合的に評価され、12月末までに決定される見通しだ。


2015年12月15日(火)日刊木材新聞より

◆つくばにCLT実験棟

6㍍パネルでオーバーハング 日本CLT協会

 日本CLT協会(中島浩一郎会長)が茨城県つくば市の建築研究所内で建設を進めていたCLT実験棟が上棟した。この実験棟では、国内で生産できるサイズとしては最大となる6☓2.7㍍のCLTが1、2階の通しパネルや2階床、2階屋根の3㍍のオーバーハングとして使われており、内装でも6㍍の高さの壁をCLT現しで使用するなど、CLTならではの構造、利用方法を提案したものとなっている。

 実験棟は日本CLT協会が2014年度の補正予算で国土交通省の補助を受けて「木質材料需要拡大のためのCLTパネルの特性をいかした試作棟」として、建築研究所の敷地内で建設を進めている。2階建て、延べ床面積166.0平方㍍、最高高さ8980、軒高8630㍉の規模。

 実験棟としての建設のため確認申請が不要で、保有水平耐力計算で構造安全性を検証している。データはこれまでのCLT建築物で時刻歴応答解析を行ってきた際の試験データを利用し、立体構造解析を行っている。

 使用するCLTは杉の床210㍉厚(7層7プライ、壁90㍉厚(3層3プライ)、同150㍉厚(5層5プライ)、屋根150㍉厚(同)などで、銘建工業製を使用。幅は1.0㍍の壁パネルとし、搬送時や建て方の効率を考慮した。CLTパネルはスカイで加工し、搬入。13㌧のラフタークレーンを使い7人で8日間で上棟した。床パネルはIボルトを4ヶ所設置し、4点支持でクレーンで吊り上げて施工した。

 1、2階通しの6㍍の壁パネルや6㍍の床、屋根パネルで3㍍のオーバーハングを実現するなど、従来の木造建築では難しかった構造にも挑戦している。

 CLTは94.14立方㍍を使用した。16年2月末の完成を目指している。

 実験棟では建築研究所と共同研究でCLT現しの室内環境把握、結露状況把握、オーバーハングの変形、地震時振動特性、耐久性、遮音性能、歩行振動、屋内外のCLT面塗装の評価などを実証研究していく予定だ。

 河合誠日本CLT協会専務理事は「首都圏ではCLT建築物を見る機会が少ないが、実験棟の見学会には315人が参加し、協会の会員も265社に増え、CLTへの期待の高まりを感じる。CLTの特徴を空間的に生かした建物になっている」と話している。坂本雄三建築研究所理事長は「CLTを世に知らせたい。建物として実際に建ててみないと分からない音、湿度、断熱性、耐久性などを研究していきたい」と話した。 


2015年11月27日(金)日刊木材新聞より

◆CLTの現状を報告

フォレスターからも提言 九州森林管理局

 九州森林管理局(渕上和之局長)は11月18、19の2日間、同局内(熊本市)でフォレスター等推進会議を開いた。

 地域で活動するフォレスターと市町村行政の森林・林業における情報共有・意見交換などを目的としたもの。初日の特別講演は「日本型フォレスターの現状 6年間を振り返って」(田村典江自然産業研究所上席研究員)、「CLTなどの新技術 こんなことも木造でできる」(佐々木幸久山佐木材社長)が行われ、九州の自治体の林務担当者が約100人、建築や林業事業体などから約100人、計200人ほどが参加した。

 田村氏は、日本型フォレスターの課題として、職務が具体的な活動を推進しにくい、登録者が少なく組織としての活動を行うことが難しい、CLT、木質バイオマス、輸出などの需要の多様化や課題への対応をいかに図るかなど、継続的に能力や技術力を向上する手段の確保を挙げた。

 今後の日本型フォレスターへの提言として「個人として地域森林の活用をけん引、助言できるように取り組んでいく。そのなかで周囲と連携・情報発信していく形がつくれればいい」と話した。各地域のフォレスターが、交流・研さんを深めるイベントを実施していくことも紹介した。

 佐々木氏はCLTの特徴や海外や国内の施工事例を紹介。その後、同社のCLTの方向付けとして当面は200×300、400cmの小判タイプを製造し、現在の生産量4,000m3からの増産を目指す。

 CLTは大規模木造建築や中規模ビルには集成材と現在実用化に向け取り組んでいる鉄筋補強集成材「SAMURAI」、また大型、超高層ビルには鉄筋構造との併用が合理的だとした。また日本では非住宅建築物の木造化率はまだ低いとし、同社で事業化することで同分野の木造化率を段階的に引き上げたいと説明した。


2015年11月27日(金)日刊木材新聞より

◆杉2×4、6材の出荷開始

ソリッド、FJで全国初のJAS認定工場に さつまファインウッド

 さつまファインウッド(鹿児島県霧島市、林雅文社長)はこのほど、新JASにおける枠組壁工法構造用製材のソリッド、FJ材で全国初の認定工場になったことを受け、杉2☓4、2☓6材の本格的な出荷を開始した。初年度は製品1万立方㍍の出荷を予定するが、来年度以降は既契約分に加えて販路拡大も進め。年間5万立方㍍、売上高20億円を目標にしている。

 今年6月に施行された新JASでは、枠組壁工法構造用製材に大きな変更があり、特に国産材の杉、カラ松などが平均年輪幅と関係なく一定の強度を持つ(1200Fbー0.8E)ことが示された。新たなJASへの対応になるため、認定は当初の予定より遅れたが、同社はソリッドで8月、FJ材は10月に新JAS認定を取得。大手賃貸住宅メーカーの九州内指定パネル工場向けの出荷を開始した。

 出荷材の比率は現状で2☓4(38☓89☓2336㍉)が7割、2☓6(38☓140☓2336㍉)が3割となっている。今後も、改正省エネ法への対応で2☓6材の需要が増えていく見込みだ。既に胴縁などの出荷はJAS認定前から行っていた。

 同社工場の敷地面積は4万4338平方㍍。建物面積は9215平方㍍(2☓4・構造材加工、製品倉庫、養生、桟積み、ボイラ)で、ほかは主にラミナ在庫、天然乾燥土場として利用される。鹿児島県を中心にした製材工場から杉2☓4材用ラミナを集荷し、乾燥、グレーディング、仕上げ加工、検査などを行って、JAS製品として出荷する。

 ラミナは、現在18製材工場から集荷しているが(鹿児島県産材が7割)、製品不需要期の受け皿として広い土場(7万~8万立法㍍を在庫可能)を確保したことに加え、国産材需要拡大で志を同じくする中小製材メーカーとの連携をより深め、物流体制整備などで効率的にラミナを出荷する体制を構築していく考えだ。一方、販売面では今後、杉2☓4材の国内販路を広げていくとともに、国際規格であることを生かして韓国、中国向けの製品輸出も視野に入れる。

 林社長の話 本格的な出荷を開始することになり、万感の思いだ。これまでの原木、製材、行政など関係者の協力、支援に感謝したい。国産材2☓4材供給が継続した幅広い事業になり、特に今後の国産材業界の課題になるA、B材需要の受け皿になっていければと考えている。


201(5年11月21日(土)日刊木材新聞より

◆県産材大断面で体育館新設

躯体はサミットHR工法 宮崎県三股町

 宮崎県北諸県郡の三股町西部地区体育館の新築工事が宮崎県産杉を活用した木造で進められており、このほど現地で構造見学会が開かれた。躯体には木質2方向ラーメン工法「サミットHR工法」(三井住商建材木構造建築部)が採用された。県産杉の大断面集成材を使い、最大スパン20.25mを飛ばして大空間を確保している。

 同体育館は、同地区に地域住民が気軽に利用できるスポーツ施設が未整備で、町民からの要望も多く出ていたことから新設された。

 見学会には、設計業者や行政関係者など35人ほどが参加した。体育館は木造1階建て、延べ床面積889.83m2だ。660m2のアリーナはバトミントンコート4面を取ることができ、38.25m2の可動式ステージも設置する。宮崎県産杉の大断面集成材の製造・加工は山佐木材(鹿児島県肝属郡)が担当し、132.2m3が使われた。主要断面は柱400×700、240×350~400mm、梁180×250~700mm。内装壁は杉板張りとシナ合板で、アリーナ床には杉集成フローリングが使われた。

 設計は団一級建築設計事務所、監理は大協設計企画、施工は、はやま・上原特定建設工事共同企業。電気設備は谷山電設、木造採用の調整役は岩切商事が担当した。建設費用は2億3457万6000円、電気設備工事は1009万1520円で、工期は来年3月1日まで。

 三井住商建材木構造建築部は2013年の上天草市役所松島庁舎・保健センター(熊本県)などをはじめ、九州で様々な用途の建物を手掛けている。同体育館では構造見学会に先立ち10月中旬、地域児童向けの見学会が行われた。木育の一環として、木に触れ梁材に寄せ書きを行った。

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日刊木材新聞(2015年11月21日)
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2015年11月21日(土)日刊木材新聞より

◆新用途に合わせた薬剤紹介

九州営業所が講習会 オーシカ

 オーシカ(東京都)九州営業所(福岡県久留米市、梶原茂所長)は17日、久留米市内で2015年度接着技術講習会を開いた。当日は、塗料の販売店や集成材メーカーなど70人が参加した。

 まず、塩野公教オーシカ中央研究所技術主任が「中、大規模木造建築用接着剤について」、中井聡同研究所主任研究員が「木材の化学処理について」をテーマに話した。

 塩野氏は同社薬剤として難燃薬剤試作品「TX-495」、GIR用接着剤「オーシカダイン」(エポキシ樹脂系)、CLT用接着剤「ディアノール」(レゾルシノール樹脂系)、「鹿印ピーアイボンド」(水性高分子イソシアネート系)、「オーシカダイン」(ウレタン樹脂系)を挙げた。それぞれの性能や使用時の注意点を説明した。

 中井氏は、木材の化学処理による性能改善は絶対的なものではないと説明した。「改質処理木材を有効利用するためには、薬剤の性能や使用環境を見定め、適切な管理をしたうえで使う必要がある」と話した。

 特別講演では、村田忠山佐木材CLT部長が「CLTの今と未来 CLT製造現場から」をテーマに話した。設計法や基準強度の確立、CLTの特性に合った接合部の開発、実証建物の不足などを現在の課題とした。また省力化や工期短縮に貢献でき、中・高層木造建築も実現できる。軸組・2×4・RC造などとの組み合わせにより、建築物の新たな可能性を開く工法だと説明した。

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日刊木材新聞(2015年11月21日)
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2015年11月19日(木)日刊木材新聞より

◆金物工法とサミットHR工法を融合

宮崎県産杉を活用した木造で 宮崎県立日向市立日向中学校

 宮崎県日向市の日向中学校の一部校舎の新築工事が宮崎県産杉(耳川流域)を活用した木造で進められており、このほど現地で構造見学会が行われた。躯体には木質2方向ラーメン工法「サミットHR工法」(三井住商建材木構造建築部)が採用された。同校舎は耐震性など、骨組みに長期に安定した構造性能を発揮する金物工法とサミットHR工法の組み合わせが大きな特徴となっている。

 同校の一部校舎の建て替えは、校舎が建築から50年以上が経過し老朽化したことによるもの。見学会には、設計業者や行政関係者など40人ほどが参加した。新校舎は木造、一部RC造2階建てで、中央RC部を隔てた東西棟で構成される。延べ床面積は木造部1998平方㍍とRC部662.25平方㍍、合計2660.25平方㍍。8.9㍍スパン☓7㍍の大空間の教室の四隅に柱を設置、金物工法とHR工法のハイブリッドとした。主要断面は柱120~150☓450で梁120☓120~450、150☓450㍉。

 設計・監理は近藤設計、施工は坂本・辰建設工事共同事業体。木造採用の調整役を岩切商事が担当した。中億木材が大断面集成材を168.8立方㍍供給し、加工はランバー宮崎協同組合が担当した。建築費用は4億6440万円、設備や電気工事に1億1855万円。工期は来年2月末まで。

 サミットHR工法を手掛ける三井住商建材木構造建築部は、全国で公共物件を軸に850棟を超える設計・施工実績を持つ。全国の主要集成材工場や地域の森林組合などとの連携により、地場産材の活用にも積極的に取り組んでいる。

 サミットHR工法は柱や梁に集成材やLVLを使用し、接合部に異形鉄筋を貫通させエポキシ樹脂で充填・硬化させることで剛接合に近い強固な接合部を持たせる工法だ。筋違や耐力壁が不要で、大開口・大空間が可能。RC造・S造と同等の柱割りが可能で耐震性にも優れていることから、自由度の高い設計が実現できる。


2015年11月10日(火)日刊木材新聞より

◆杉CLT床の2時間耐火性能を確認

実現可能な床システム開発へ 超高層ビルに木材を使用する研究会

超高層ビルに木材を使用する研究会(稲田達夫会長)は10月31日、福岡大学で総会と記念講演会、林野庁委託事業中間報告会を開いた。同研究会は杉CLTを中心に非木造ビルに木材を使用するための様々な課題を解決すべく研究に取り組んでおり、設立から3年を迎えて法人会員12社、個人会員49人になっている。総会では役員改選が行われ、稲田会長(福岡大学工学部建築学科教授)ほか役員全員が再認された。

 林野庁委託事業は2013年度から連続して採択を受けており、事業責任者は山佐木材、諮問組織を同研究会が担う形で、超高層鋼構造オフィスの床にCLTを使用するために必要な検討、実験(接合部データの収集・分析、耐火部材開発)などを行っている。また成果普及のため福岡、東京で報告会を行った。中間報告会では、これまでに鉄骨フレーム+杉CLT床利用は強度上設計可能なレベルとし、2時間耐火性能もケイ酸カルシウム板15mm+強化石膏ボード45(15×3枚)mm、ALC板(ユカテック)36mm+強化石膏ボード30(15×2枚)でクリアできることを確認できた。

 15年度もCLT等の新たな製品・技術の開発・普及事業(木質耐火部材開発)に採択され、建築研究所、国土技術政策総合研究所、森林総研、建材試験センター、大分大学、福岡大学などと連携し、コスト削減を目的とした新たな2時間耐火床システムの開発などに向け、耐火被覆や接合強度などの把握、検討を進める。

 記念講演会では「鋼木質複合構造(CSTS)の研究」(岩田衛神奈川大学工学部教授)、「ロンドンオリンピックから東京オリンピックへ」(彦根茂Arup顧問)の2題を聴講した。

 岩田氏は、地震の多い我が国では構造に信頼感のある鉄骨造を中心に考えているが、ここに木材を大量に使用することは重要だと指摘した。床などだけでなく、柱は角型鋼管+杉集成材、梁には圧延H型鋼+杉集成材などを使用し、接合が勘合+方杖とする事例を示し、その利点、設計法など現在までの検討内容を紹介した。

 彦根氏はArup(英国)が関係したロンドンオリンピックの木材利用施設、また日本での木構造実績(大分県立美術館、ROKI、みんなの森ぎふメディアコスモス、狭山湖畔霊園など)について説明し、東京オリンピックでの木材活用にも期待を示した。

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日刊木材新聞(2015年11月10日)
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2015年11月7日(土)日刊木材新聞より

◆地材地建の木造住宅アピール

業界、行政が連携 住まいと建築展

鹿児島県の木材・建築業界、行政などが主催する「住まいと建築展」が10月23日~25日の3日間、鹿児島市内で開かれた。同県では県内で育成、製造された木材などの建材を使って、県内の工務店などが木造住宅を建設する取り組みを「地材地建」と定義。各企業・団体からの展示、シンポジウムなどを行い、一般県民、建築関連業界向けに県産材をはじめとする木材活用をPRした。

 展示では、山佐木材(肝属郡)が杉CLT、さつまファインウッド(霧島市)は杉2×4用材を紹介。ビルダーからは、住まいず(同)が「自分の山の木で家をつくる」取り組みを、三和建設(鹿児島市)はリフォーム向けの3、4mm厚フローリング「そっくりさん」(日本管理センター)をPRした。

 鹿児島県木質バイオマス熱利用普及促進協議会は、チップ、ペレットなど木質バイオマスの熱利用を考慮する事業者の相談窓口を担っており、既に医療、温泉、福祉施設などで採用されている。

 県では「かごしまCO2吸収量等認証制度」を開始し、鹿児島大学病院をはじめ温浴施設、ホテル、建築業者などを認証(10月1日現在でCO2合計量は1228トン-CO2)。

 屋外会場では大工、建具、畳、造園、木材業界が連携し、一般向けの各種イベントを行った。25日には第51回県内高等学校建築系生徒による建築設計競技、かごしま木造住宅コンテスト2015、第25回住まいのリフォームコンクールなどの入賞者表彰式も行われた。

 技術講演では、山佐木材の塩﨑征男常務が杉CLTの今後の実際の活用場面を紹介。在来軸組住宅では告示強度が出れば床版や屋根が断定算定で可能になり、非耐力壁、間仕切り壁は計算不要で使える。2×4は次回の緑本改定時に床利用が記載される予定。床、壁利用で施工性向上、バルコニーなどのとび出し長さを長く、また2方向とび出しも可能になる。

 共同住宅は軸組系で許容応力度計算による壁、床、屋根、間仕切り、壁式はCLT工法の設計法が有利で、工法短縮につながるため大手デベロッパーへの導入を検討している。2015~16年度にかけては基準強度、設計法の告示が出され、実際の建築物での使用が広がっていくと予想される。 

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日刊木材新聞(2015年11月7日)
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2015年10月29日(木)日刊木材新聞より

◆「九州材」販路開拓目指す

県産材の枠を超えて 第3回九州材フェア

第3回九州材フェアが21日、大分県木材協同組合連合会小倉市場(北九州市小倉南地区)で開かれた。九州各県が県産材の枠を超え「九州材」として、高品質商品を安定供給することで、新たな需要開拓を目指す取り組みだ。

 同フェアは九州木材市場連合会、大分県木連が主催し九州地方知事会、JAPIC、九州経済連合会などが後援した。北部九州のほか、中国・関西・中京圏など広域から買い方を招き、九州材ブランドをPRする展示や即売会などを実施した。

 九州各県の行政関係者や木材関係団体、製材・加工業者などを含め150人ほどが参加。各県のブースでは、熊本県が杉・桧の壁板や床板などの内装材を出店し商談が行われた。

 九州材の即売は、製材メーカー50社から3000m3が出材された。製品相場は原木の相場が高い割に価格は上がっていない。当日も値段は現状維持のまま品質の高い物から手当てされていた。相場は杉柱角KD材が47,000円(m3)、間柱KD材は45,000円。桧土台角KD材52,000円前後。

 式典では内田幹雄大分県木連理事長が「豊富な木材資源を背景に、九州の各地に大型の木材加工工場が立地し、製品の供給能力も飛躍的に向上している。今後、国産材製品が真に住宅業界に信頼されるかは、品質の高い物を安定供給できるかにかかっている」とあいさつした。

 続いて産地からの情報提供として、井川彰井上林産社長が素材生産の現状、西胤謙吉山佐木材技術本部企画係長がCLT(直交集成板)の取り組みを報告した。井上氏は、最近立木代が上がっており、素材業としては競争が激しくなり取り合いと表現してもいい状況で推移していると説明した。また皆伐について、伐採したら必ず植えることが一番大事だとし「木材供給の川上から川下まで一体となり、真剣に森林整備に取り組んでいかなければならない」と話した。西胤氏は「基準強度や燃えしろ設計などが今年度から来年度にかけて整備されている見込みだ。新しい木材の用途として注目されている」と話した。 

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日刊木材新聞(2015年10月29日)
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2015年10月20日(火)日刊木材新聞より

◆CLT建物の設計実例紹介

高知県・窪津漁協事務所

日本CLT協会(中島浩一郎会長)はさきごろ、協会事務所で実務者向けCLTミニセミナーを開いた。講師は窪津漁協組合事務所を設計した喜多泰之氏(建築舎KIT)。喜多氏は、同事務所の設計事例を解説し、現行法でのCLTの設計について考えを述べた。

 今回の物件は高知県土佐清水市に建設されるもので、CLTの告示が出る以前の在来軸組工法として、柱・梁を掛けて壁とスラブでCLTを活用しようというプロジェクト。CLTを推進する高知県の要望を受けて建設されることになった。

 組合事務所は常勤10人、総会時には約200人を収容するスペースが必要で、両端部に壁を設けたコア構造を配置したツインコアとした。2階のツインコアに挟まれた集会スペースは99.8m2あり、せがい造りで2階床が張り出す構造をとる。延べ床面積253.92m2で、1.2mのグリッドを採用した。

 施工は土台を敷き、1階柱を建て、梁を架け、2階柱の一部を建て、1階壁にCLTを挿入し、仮止め。2階スラブのCLTを載せてから調整する。壁パネルのCLTの施工精度は真壁としてみせることを前提に3mで1mmに抑えるよう施工。また壁CLTは柱の内法1080mmを108mmのラミナで割り付けし、ラミナの中心部にビスを打ち、柱際にスリットを入れてHD金物の取付とロッキングの低減に配慮した。

 2階床スラブは2400×5200mm、5層6プライ180mm厚のCLTを使用、現行法ではCLTスラブで軸力を負担できず、柱部分は穴を空けて逃がした。野地はCLTでは重いので、シングルウッドパネル28mmを採用した。喜多氏は「告示前ということで軸組みとCLTをダブルで使用してコストが高くなった。CLTの壁を建て起こすとき安全性などを検討していきたい」と話す。 


2015年10月10日(土)日刊木材新聞より

◆杉CLTでゲートハウス

ノルン水上スキー場 内装に使い意匠性を重視

ノルン水上スキー場(群馬スノーアライアンス、群馬県利根郡)で、国産杉のCLTを使ったゲートハウス新築工事が進められている。工期短縮と杉の意匠性を重視したプロジェクトで、CLTをそのまま内装仕上げ材とすることでコスト削減を図っている。群馬県内の民間施設でCLTを使った物件は今回が初めてとなる。

 建設中のゲートハウスは木造2階建て、建築面積303.75m2、延床面積487.14m2。CLT製造は山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)が行った。壁にCLT厚さ90mm(3層)、天井に同150mm(5層)、スラブはスパンの関係から杉集成材厚板パネル210mmを採用した。木材使用量は壁が46.44m3、天井が9.6m3、スラブが113.274m3、合計約170m3。施工は沼田土建(群馬県沼田市)。

 壁CLTパネルの室内側は白太で統一され、そのまま内装仕上げとなるビジブル仕様とした。杉材の意匠性の弱点を克服しており、CLTパネルのこうした使い方は国内初と見られる。外壁側は断熱材や外壁材が施されるため、通常の赤身と白太が入り混じった源平仕様としている。

 完成予定は12月初旬で、工期が短かったこともあり、CLT工法を採用した。CLTは工場ですべて加工し、鹿児島から群馬まで運んだ。最大サイズは2×3.8m、全体で4トントラック・ロング合計8台に上ったが、全く問題なくスムーズに搬入できたという。

 設計者の武松幸治氏(E.P.A環境変換装置建築研究所代表)は、「欧州では長さ15~16mのCLTが生産され、それを加工する機械もあり、パネルのサイズの誤差も±1mm程度で生産技術が進んでいる。施工にも考慮されており、工場出荷時にすべてのCLTにつり下げロープが取り付けられ、工事短縮の工夫がされているので施工性も大変高い。CLT工法は施工の段取りが重要だが、国内ではまだこうした情報が行き渡っていない感じがする。つり下げロープ1つでも改善されれば、施工性は大幅に向上するだろう」と話している。 

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日刊木材新聞(2015年10月10日)
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2015年9月12日(土)日刊木材新聞より

◆県産材で木造消防署建設

西分署に続き2例目 大分県豊後大野市

大分県豊後大野市は消防署東分署を大分県産材を活用した木造で建築し、運用を始めている。木造2階建てで、ホース塔などをの附属建物を除く延べ床面積は306m2。市内消防署の木造化は西分署に続き2例目になるが、九州では今まであまり例がない。同市ではそのほか、朝地小・中学校なども木造で建築されている。

 旧東分署は鉄筋造で、建築から40年以上が経って老朽化が進んでいた。林業県としての県産材活用や以前西分署を木造で完成させた際に費用を抑えられた経験から、東分署の木造化を決め、地区の祭事などで利用していた市有地へ移転した。工期は昨年9月~今年3月中旬。

 原料となる木材は、すべて大分県産材を使用。土台の桧以外の主要構造部分は杉集成材を使用し、その

総使用量は28.67m3、製造は山佐木材が担当した。そのほか、大断面を必要としない柱・梁や造作材の供給は西岡商会が担い、設計・監理はアルカイック、施工は宮成工務店が担当した。消防車を入れるため車庫に大断面集成材を使用し、建物の保守性・耐久性向上を理由に外装には金属板、内装には石膏ボードにクロスを張って仕上げた。

 建築費用は電気・機械設備工事などを含めて約7400万円で「今回もRC構造より割安になったのではないか」(市担当者)。また消防署を木造で建てることに関し、耐火性などを不安視する意見は出なかった。

 市建設課担当者は、今後の市内公共建築物の木造化について「建物の用途などを踏まえたうえで、可能な限り積極的に木材を取り入れていきたい」と話した。 

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日刊木材新聞(2015年9月12日)
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◆平成27年度林野庁委託事業を受託しました

平成25年度補正、平成26年度に引き続き、平成27年度林野庁委託事業を9月1日付で受託しました。

・事業名「CLT等新たな製品・技術の開発・普及事業(木質耐火部材開発)」

本事業の目的である「鋼構造オフィスビル床のCLT化」の技術開発を実施工可能なレベルにまで引き上げるため検討・分析を行っていきます。


◆テレビ放送のお知らせ

・放送日:9月6日(日)15:30~16:00

・放送局:MBC南日本放送

・番組名:たくちゃんと行く!鹿児島県の森林・木材住宅探検ツアー!

※先日行われたバスツアーの見学先として『山佐木材』も登場します!



◆CLT建築等新たな製品・技術を活用した建築物の実証事業採択

木構造振興(株)様と(公財)日本住宅・木材技術センター様が、林野庁の補助を受け、CLT建築等新たな製品・技術を活用した建築物の実証事業を募集されており、当社も下記内容で応募しておりました。

合計6件の提案が採択されましたが、当社の提案内容も採択されましたのでご報告します。

この事業は、CLT建築等新たな製品・技術を活用した建築物の設計・建築等の事業を募集し、事業の実証およびその過程での課題点や解決法の提案を行うものです。

詳細はこちらのリンク先をご参照ください。

【応募事業名】山佐木材株式会社 CLT工場増築工事の設計実証

【提案概要】自社のCLT製造施設をCLTを使用して建設するために、壁(耐力壁)としての構造特性値を実験により求め、この値を用いて設計した建築物において時刻歴応答解析を行う。

梁間方向は1方向ラーメン構造、桁方向をCLTの耐力壁構造とする。CLTのせん断耐力の高さを他工法と併用することで、大空間物件にもCLTの利用が可能であることを示し、これらを他の設計者の参考となるよう設計のプロセスとしてまとめる。

【建物概要】構造:木造ラーメン工法+CLT耐力壁 ※梁間方向は鉄筋挿入集成材、延べ面積:1,000m2

 


◆SAMURAI集成材が森林・林業白書に紹介されました

平成26年度の「森林・林業白書」にSAMURAI集成材が紹介されました。

・掲載箇所:第一章 森林資源の循環利用を担う木材産業(p42) 

SAMURAI集成材とは?→こちらをご参照ください。


◆NHK「超絶  凄ワザ!」に出演しました!

『最強の橋対決~天才学生VS.匠(たくみ)軍団』

放送日:【前編】6月20日(土)午後8時15分~午後8時45分(再放送 6月26日(金)午後4時20分~)

    【後編】6月27日(土)午後8時15分~午後8時45分(再放送 7月3日(金)午後4時20分~)

※2週にわたって放送されます。

番組ホームページ http://www4.nhk.or.jp/sugowaza/ 


2015年5月9日(土)熊本日日新聞より

◆木造ビル 九州でも注目

欧州生まれ新工法「CLT」

 分厚い木製パネルを使って木造の中高層ビルの建設を可能にした欧州生まれの建築技術「CLT工法」。木材需要を拡大し、林業の成長産業化につながるとして、国は成長戦略や地方創生の総合戦略に早期普及を盛り込んだ。九州でも、鹿児島県の製材業者が生産設備をいち早く整えるなど、関心が高まっている。

 鹿児島県大隅半島の肝付町。山佐木材の工場にはCLTと略される「クロス・ラミネーテッド・ティンバー」(直交集成板)が積まれていた。同社でつくるサイズは最大で厚さ45センチ、幅2m、長さ4mだ。

 

■施工が簡単

 分厚いパネルの断面は層ごとに木目が異なる。スギ板の繊維の向きが交差するよう重ねるためだ。繊維を同方向にそろえて接着する従来の集成材より強度は高く、断熱、遮音、耐火性にも優れる。コンクリートより軽く、ビスと金具で接合して床や壁に組み立てるため施工も簡単で、工期短縮が可能という。

 「優れた素材であり、よりよい木造建築が造れると思った」。佐々木幸久社長は欧州で1990年代に生まれたCLTを学ぼうと、2000年に先進地オーストリアを訪ねた。地元のスギを活用しようと、大型木造建築の設計・施工に力を入れてきただけに魅力的に映った。

 同様に関心を持っていた岡山、鳥取県の同業2社と、12年に日本CLT協会の前身組織を設立。普及に向け国が制定したCLTの日本農林規格(JAS)も14年6月に全国2番目に取得した。

 「非木造建築の大型化を可能にすることで、市場は大きい。欧州では9階建てマンションができるなど急速に広がっている」と佐々木社長。鉄筋・鉄骨製のビルの床材や、耐震補強材としての活用も期待できる。

 国は「CLTの普及に向けたロードマップ」を策定し、16年度に一般的な設計法を確立する方針。現在はCLTの建築基準が整っておらず、個別建物ごとに国土交通大臣が認定している仕組みから変わる。佐々木社長は「CLTは将来の事業の柱になる」と見込む。

 

■「付加価値を」

 九州からは日本CLT協会に熊本、大分、長崎、宮崎、鹿児島の5県が名を連ねる。

 このうち大分県は木材、建築関係企業などに呼びかけ、3月に利用促進協議会を発足。モデルとしてJR大分駅近くにCLTで長距離バス待合所(広さ約5m2)を建て、施工性のよさなどを知ってもらった。

「将来の県内のCLT需要を県外企業に持っていかれないようにしないといけない」と大分県林産振興室。山佐木材にも4月から若手職員を1年間派遣している。

 熊本県は「情報を収集し、関係業界に理解を深めてもらうよう努めている」(林産振興室)。八代地域木材需要拡大協議会が2月に開いた意見交換会でもCLTを学んだ。

 県内業界では、松島木材センター(上天草市)と肥後木材(熊本市)の2社がCLT協会に加入。松島木材センターの鍬本行廣会長は「熊本の木材を高く売るために、CLTなど付加価値の高い製品をつくっていくことが必要だ。他県に負けないよう勉強しておかなければならない」と強調する。

 元鹿児島大教授でNPO法人活木活木(いきいき)森ネットワーク(東京)の遠藤日雄理事長は「将来性はある」とする一方、パネル1m3あたりの単価が鉄筋コンクリートの倍など「普及には課題がある」と指摘する。ただ、CLT協会の会員は昨年4月の発足時の103社から215社に倍増しており、注目度はさらに高まりそうだ。

(野口 和紀)

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熊本日日新聞(2015年5月9日)
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2015年4月23日(木)日刊木材新聞より

◆CLTで非木造需要開拓を

SAMURAI集成材でRC造代替

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)は、大・中型木造物件向け構造用集成材、ビルダー対応の杉・桧小断面同などの供給を手掛けるが、将来のもう一つの事業の柱にするべく力を入れているのが杉CLTとSAMURAI集成材だ。

 佐々木社長は「国産材業界はKD材、小断面集成材などで住宅需要を開拓してきた。今後は杉CLTにより、非木造分野で木材、国産材利用を広げていきたい。都市を中心に普及を目指していく」と話す。

 杉CLTの生産体制も着々と準備が進んでいる。同社は14年6月に杉CLTのJAS認定を取得しているが、本命は全層幅はぎ評価プライありの供給。このため、昨年秋には高周波連続幅はぎプレス(太平製作所)も導入した。杉CLTは屋根を平面にしやすいため、例えばコンビニエンスストアなどに最適な材料となるが、できれば構造用集成材のシェアを分けるのではなく、木造高層ビルはもちろん、RCの構造ビルの床(スラブ)など、これまで木材が利用されてこなかった分野でCLTを活用していく考えだ。

 また、RC造建築の代替として提案していくのが、SAMURAI集成材だ。これは杉構造用集成材の材長(繊維)方向に少量の鉄筋を挿入することで、RC部材に匹敵する高剛性・高耐力の構造性能を発揮するもの。鹿児島大学の塩屋晋一教授が開発した。既に山佐木材下住工場内に試作棟も完成し、デモンストレーションの意味もあり、あえて18mスパンの大梁を採用して見学者を驚かせている。これまでの試験経過から、Rウッド、米松平角の横架材を用いたものはもちろん、RC造とも同等以上の構造性能を発揮する当たらな木質ラーメン構造を実現できる可能性が広がっている。

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日刊木材新聞(2015年4月23日)
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2015年4月18日(土)大分合同新聞より

◆「CLT」活用へ着々

九州初 公共建築物に

 木材需要の創出が期待される建築の新素材「CLT(直交集成板)」の活用が県内で始まった。大分市のJR大分駅ビルの開業に合わせて、素材のPRも兼ねた建築物が駅周辺に相次いで登場。建築、設計、行政などの組織でつくる推進協議会も立ち上がった。木材需要が減少する一方で伐採期を迎えた木は増えており、県産材の復活に寄与できるか注目される。

 県は3月に大分駅の北口付近に実証棟としてバス停を整備。九州で初めてのCLTを使った公共建築物という。県内の技術者を育成する研修の場として、設置作業時には30社、45人を招いた。7枚のパネルを組み合わせ、基本的にボルトで接合する工法で、計約3時間で完成した。

九州で唯一、パネルを製造する山佐木材(鹿児島県)の村田忠取締役製造部長は「多くの木を使い、組み立て式のため工期は短くなる。バス停の現場には木材関連の川上から川下まで広い分野の人が集まり、大分の関心の高さを感じた」。設計した一級建築士の伊藤憲吾さん(大分市)は「さまざまな場所で使える可能性がある」としている。

 16日にはCLT素材を使った「まちなか案内所」が大分駅前にオープン。内外装は木を生かしたデザインで縦横に板を組み合わせたCLTの特徴が見た目で分かる。

 推進協議会は昨年発足した研究会を格上げする形で3月に発足した。大分大学や関係団体など計45組織が所属。今後、県内で低層階(3階以下)の建物を建設する予定があり、建築物で本格的に利用できるようになる来年度の法整備を見据えて、ノウハウの蓄積や情報収集につなげる。

 県林産振興室は「県外では大手の業者が多い中で、大分は中小の企業も多くかかわっている。豊富な森林資源を有効活用して林業者の所得向上も期待でき、法改正に合わせてスムーズに導入できる環境にしておきたい」としている。(江藤嘉寿)

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大分合同新聞(2015年4月18日)
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2015年3月31日(火)日刊木材新聞より

◆杉CLT供給体制着々と

高周波連続幅はぎプレス装置導入

高層ビル床用2時間耐火試験も結果良好

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)が、杉CLT(直交集成板)の供給体制整備を進めている。14年後半には高周波連続幅はぎプレス装置を導入。また、鉄骨造の高層ビルの床に杉CLTを使用するための2時間耐火試験でも良好な結果が出ている。

 同社は14年6月に杉CLTのJAS認定を取得し、既に製造・販売を開始している。ただ、今後の本命として全層幅はぎ評価プライ有りで杉CLTを供給していく考えを持っており、太平製作所に依頼して、CLTの幅はぎプライを効率的に生産するための高周波連続幅はぎプレス装置を導入した。鹿児島県の助成事業を活用した。

同機の主な仕様は、長さ4㍍まで、幅45~180㍉、厚み15~45㍉のラミナを投入し、出来上がりの幅はぎ板サイズは縦4×横(幅はぎ方向)8㍍までが生産可能になる。生産能力は1シフトで1日40立方㍍。また、任意の幅でのカットも可能になるため、大断面集成材用ラミナの生産が容易になるなど、同社全体の歩留まり向上にもつながることが期待される。さきに大分県初のCLT実物件となったJR大分駅前の長距離高速バス待合所の製造でも活用された。

 幅はぎ作業棟は同社の生産した構造用集成材を使用し、建屋面積約500平方㍍(間口25、奥行き20㍍)。将来はこれを桁行方向に伸ばして増築し、幅はぎ工程以降のCLTラインを設置して生産を集約化していく計画を持っている。

 一方、CLTを鉄骨造の高層ビルの床に使用するためには、接合・強度とともに耐火性能が要求される。林野庁委託事業により、13年度は接合・強度、14年度は同社が事業主体となり、「超高層ビルに木材を使用する研究会」(会長=稲田達夫福岡大学工学部教授)の協力を得て、床2時間耐火加熱試験などを実施。今年2月末には建材試験センター西日本試験所で最後の試験(被覆タイプ)が行われ、性能評価であれば合格を得られる結果になった。まだ鉄骨材への接合、コストなど検討項目はあるが、今回の試験で床材としての最低限の性能は確認されたことになり、実物件採用に向けた動きも着々と進んでいる。

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日刊木材新聞(2015年3月31日)
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2015年3月28日(土)日刊木材新聞より

◆大分で初のCLT建築物

 大分県で初めてのCLT実物件が建築された。JR大分駅県庁側出口の長距離バス待合所で、現在進められている駅周辺再開発事業の一環になる。杉CLTを壁、屋根に採用し、内側には木製ベンチが設置された。

20日に現地で施工見学会が行われ、さきに設立された大分県CLT等利用促進協議会の会員を中心に30社、45人が参加した。

 今回のCLT実証棟は、設計が伊藤憲吾建築設計事務所、施工が山佐木材、新成建設。敷地面積31.89m2、建築延べ床面積は4.76m2、高さ2.56m。工期は6日に着工し、26日に完成した。杉CLTは7プライ、21㎝厚の製品が採用され、台形及び長方形の壁、また屋根に使われた。屋根はシート防水、内外壁はキシラデコール塗装が施されている。当日はクレーンなどを使い、開始から1時間30分ほどで施工を終えた。

 施工、設計関係者から各種説明が行われ、参加者は実際の接合金物、接合方法を確認、またCLT建築物の施工簡便さや速さを評価する声が多く聞かれた。

 今回は、実験的なものだが、施工経費は設計、建築確認等で約40万円、基礎工事約20万円、CLT加工及び施工で約70万円となっている。

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日刊木材新聞(2015年3月28日)
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2015年3月6日(金)日刊木材新聞より

◆オフィスビルの床にCLT

2時間耐火で実用化にめど

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)は、2月26日、東京・新木場の木材会館で「鋼構造オフィスビル床のCLT化」研究成果報告会を開催、ゼネコン関係者など180名を超える参加者が集まった。

 佐々木社長は報告会のなかで「中・大規模、鉄骨造のオフィスビルの床を木質にすると膨大な木材需要が生まれる。2年前に超高層ビルに木材を使用する研究会ができ、林野庁の委託事業を受けられることになった」とあいさつ。CLTを使った木床の2時間耐火の見通しもつき、稲田達夫超高層ビルに木材を使用する研究会会長(福岡大学教授)は「オフィスビルでのCLT床は実用可能なレベルまできた。1棟目を誰が建てるのかの段階だ」と会場に呼びかけた。

 報告会では稲田教授が中・大規模オフィスの床にCLTを採用した場合、製品で675万立方㍍、丸太換算では1125万立方㍍もの国産材需要を創造できるとその可能性を示した。

 そのためには床での2時間耐火認定の取得と鉄骨梁との接合部、コストの問題があることを示した上で、2時間耐火については石膏ボードとケイ酸カルシウム板などの組み合わせで性能が確保できることを小型試験炉での実験で確認、鉄骨梁との接合についてはクロスビスなどを用いたものでの試験結果を報告した。

 2時間耐火実験については倉富洋福岡大学助教授がケイ酸カルシウム板25㍉×3枚、75㍉厚、強化石膏ボード15㍉厚×5枚、75㍉などで2時間耐火の性能をクリアできることを確認、さらに薄い仕様での性能確保の可能性を試験を行い確認している。ケイ酸カルシウム板は長時間加熱でも型崩れがなく、石膏ボードは結晶水があるうちは性能を確保できることで、組み合わせで薄厚化を検討している。

 稲田教授は3万平方㍍規模のビルで木床にすると材料費ではコンクリートの10倍くらいになる。RC造のデッキプレート、鉄筋、さらに耐火被覆などを加えると2.8倍くらいに収まるが、工期短縮や軽量化、熟練工不要などのメリットでさらに差額が縮まるとの可能性を示した。

 また、塩屋晋一鹿児島大学教授は鉄筋をラミナに組み込んだ「SAMURAI集成材」を使った山佐木材の倉庫の実例を紹介、集成材の上端と下端に直径25㍉などの鉄筋を溝を掘り、エポキシ樹脂接着剤で固定したもので、最大18㍍のスパンを飛ばしたことや運搬を考え、鉄筋をスリーブによってつなぐ技術を紹介した。 

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日刊木材新聞(2015年3月6日)
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2015年1月3日(土)南日本新聞・林業特集記事より

◆未来拓く「木の力」

建設需要増へ挑戦進む

 鹿児島県内で建材を使った二つの挑戦が始まっている。

 一つは、木材卸売・加工販売の伊万里木材市市場(佐賀県)、山佐木材(肝付町)などが出資する、「さつまファインウッド」(霧島市)が計画するツーバイフォー(2×4)工法用の木材加工。日本農林規格(JAS)認定を受けた加工施設を今年4月から操業開始する。

ツーバイフォー工法はこれまで外材で施工されてきたが、同社の取り組みは国内で初めて純国産化を目指すものとして注目されている。マンション運営大手の大東建託(東京)と連携し、初年度の売り上げは12億円を見込む。

 もう一つの取り組みが、山佐木材が進める直交集成板(CLT)の実用化だ。CLTはひき板の繊維を直交させて張り合せることで耐久性を高め、中高層建築にも耐えられる強度を持つ新建材。欧州では2000年代に入って急速に普及している。

 山佐木材は14年6月にJAS認定を取得、12月には専用の加工ラインの整備を終えた。国内で普及させるには構造計算に必要な基準強度策定などの課題があるが、国も「木材需要拡大の切り札」として作業を急いでおり、早ければ16年度中にも”木造ビル”に道が開かれる見通しだ。