M田のぶらり旅・さつまの国「手作りバイキング 味処正ちゃんで昼ご飯」

 

第2回 手作りバイキング 味処正ちゃんで昼ご飯

 鹿児島県の地図を広げると、西側が薩摩半島、東側が大隅半島、南に薩南諸島が続いている。その地図を右に90度回転すると、薩摩半島は子牛の首頭のように見えてくる。きれいに弧を描く首のあたりが吹上浜、47kmにおよぶ砂丘である。海岸線に沿って、国道270号線がいちき串木野市から日置市をへて南さつま市まで、南へゆったりと延びている。

 

 日置市は、2005年に伊集院、東市来、日吉、吹上の4町が合併して誕生した平成大合併のまちである。東シナ海を望む薩摩半島の西に位置し、ちょうど鹿児島市と背中合わせに隣接している。

 

 

 鹿児島市からはまず市役所のある伊集院にはいる。この町には、関ヶ原の戦いで徳川家康軍の中央突破を果たした戦国武将島津義弘公の菩提寺が置かれている。毎秋、義弘公の遺徳を偲ぶため鹿児島市を起点に、大勢の人々が甲冑を装して歩き参拝する「妙円寺詣り」は、町の一大行事となっている。武将姿もさることながら、実は、歩きながら謳われる「妙円寺詣りの歌」こそが次代に伝えたい肝心のところなのだと思う。

 

 JR伊集院駅前に建つ、島津義弘公の像は、歴史好きならずとも、一度見ておくのも悪くはなかろう。

 

JR伊集院駅前に建つ島津義弘公の像
JR伊集院駅前に建つ島津義弘公の像

 

 ここから国道3号線に乗って西へ20分ほど移動すると東市来のまちが見えてくる。

 東市来町といえば、司馬遼太郎著「故郷忘じがたく候」で描かれた沈寿冠窯をはじめとする薩摩焼の窯元が集まる苗代川美山が有名である。高台の美山から海のほうに下ると、東市来の市街地だ。町に入るとすぐに、湯之元温泉という泉質のよい立ち寄りの湯がいくつも軒を並べている。温泉はしごを好む向きにはたまらないところだ。

 

湯疲れには、山椒の葉の香りもさわやかな「湯之元せんべい」がお勧めである
湯疲れには、山椒の葉の香りもさわやかな「湯之元せんべい」がお勧めである

 

 そこから国道270号でさらに南へ向かうと旧・日吉町だ。道沿いに、明治維新の十傑のひとりといわれる「小松帯刀」ゆかりの看板が目につくようになる。彼は、養子としてこの地にはいり、22歳で日吉城領主となった。薩摩の小松として大政奉還を成し遂げた後、病により36歳の若さで世を去った帯刀は、いまは小松家歴代の墓所円林寺跡にねむっている。

 

 そろそろ昼食でもと思いながら日吉町吉利の広い畑地の一本道を走ると右手に「味処 正ちゃん」の大きな看板が立っている。先客も多いようだが、駐車場は広い。

軒下には、日替わりランチ(サラダバー、コーヒー付き)890円の文字。よく見るとの字が上書き修正してある。物価高の波はここにも押し寄せているのだ

 


 

 この店のランチは、主菜に加えて、取り放題のバイキングがついている。

  サラダはもちろんだが、焼きそばもナポリタンスパゲッティもある。麻婆豆腐もカレーもあるし、野菜炒めも蕪の酢の物もある。ありふれたバイキングメニューではあるが、よく見ると料理の一つひとつに手作り感があふれている。決して豪華さはないが、産直の野菜が調理されて並んでいる安心感が伝わってくる。しかも、どれも美味しそうだ。

しかし、昔のようにはいかない。今日の主菜は天ぷらの盛り合わせだ。冷静に自制心をもって、みあった料理を選び適量を皿に盛ること。特に、仕上げにカレーライスなどもってのほかなのである。

 

 

 思い留まることができずに多すぎる昼飯をすませて、駐車場に出ると海からの心地よい風が吹いてきた。  松林のむこうは吹上浜、そして東シナ海が広がっている。

 おおいに元気をもらった。これから、さらに南へ、旧吹上町から南さつま市にむかって車を走らせよう。

 

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味処正ちゃん 

営業時間11:00~14:00  休み日曜・月曜

日置市日吉町吉利1589

(M田)

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コメント: 1
  • #1

    吉原賢三 (水曜日, 15 2月 2023 18:35)

    故郷の景色が目に浮かぶようです。
    その土地乃の歴史にも触れられていて、新たに知る事も有りとても興味深い記事です。次回も楽しみです。
    ちなみに日替わりランチ100円の値上げのようですね。