M田次長のぶらり肝付町の旅・肝属川編②

肝属川は、四季を通じて、私たちにその豊かな流れを見せてくれています。しかし、この川の上流のさらに上流、源流はどうなっているのでしょうか。

36もの支流には、それぞれ趣の違う源流があるはずです。肝属川の源流については、前回「高隈山系御岳」の懐にあることをお伝えしました。

今回は、山佐木材のすぐ近くを流れる支流「高山川」と「串良川」をさかのぼり、源流を訪ねてみたいと思います。

高山川(こうやまがわ)

肝付町の分水嶺、国見山系の最高峰「甫与志岳」(ほよしだけ・標高967m)。この神話の残る山懐から高山川は流れ下っています。

正式な源流があるのでしょうが、私が調べた限りでは不明でした。そこで「もうここより上に水の流れは無いよ」というところを源流と呼ぶことにし、登ってみることにしました。

ルートは二股林道を経て、甫与志岳登山口から渓流沿いをひたすら登る林道です。道すがら一番上の小さな流れを見つけていこうという簡単明快な方法です。

小春日和に恵まれた12月初め、頂上を目指して源流への旅の歩を進めました。きつい山道を一時間ほど登ったところで渓流は途切れ、ゴツゴツとした花崗岩の割れ目から清水が流れ落ちています、ここを私ひとりの高山川源流としたいと思います。

ちなみに、一つの大きな花崗岩塊からなる山頂からの眺めも良かったです。

甫与志岳中腹の石清水。ここを高山川の源流ということにしました。
甫与志岳中腹の石清水。ここを高山川の源流ということにしました。

串良川(くしらがわ)

山佐木材から見る高隈山系の向こう(北)側に垂水市高峠、鹿児島大学農学部附属高隈演習林があります。周遊道が整備され、一般の人も演習林を見学できるようになっています(注1)。


より大きな地図で 鹿児島大学農学部附属高隈演習林 を表示

この見学コースを1キロ半ほど下りきったところに「冷水谷」という、串良川の源流となる小さな湧水池があります。

架設されたウッドデッキを池の奥まで進むと、細かい軽石の層から湧き出る澄み切った水を味わうことができます。

この地層は2万5千年前の姶良火山の噴火による堆積層とのことで、これが地下水を磨いているのでしょう。周囲の植生も豊かで、夏には蝶やトンボ、イモリがたくさんいました。お子様連れでも楽しめる施設です。

ウッドデッキの周りはクレソンが茂っていました。
ウッドデッキの周りはクレソンが茂っていました。

今回訪ねた源流は、どちらも独特の魅力を持っていました。そして、それぞれの支流沿いの町で育まれる文化も独自のものがあるように感じられます。次は、中・下流域をたずね、そのあたりのことも調べてみたいと思います。

(M田)

(注1)鹿児島大学演習林事務所で利用許可の簡単な手続きが必要です。