メールマガジン第20号>西園顧問

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★【西園顧問】木への想い独り言(2)「木材の耐久性」
 

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「木材」は、他の建築資材に比べて「人に優しい」という長所を数多く持っている。

しかし木材の利用途と総需要量の推移を振り返れば、この50年間はだんだんと尻すぼみとなっている。

その上に他の一次産業の農漁業産品とは違い、木材は既に昭和30年代にいち早く輸入自由化された事から、関税はゼロに近い状態となっていて、国際価格競争に巻き込まれ国産材は安い輸入外材との競争に負けた時代が続いていた。近年は「このままでは国産材産業は衰退するのみ」ではないかと心配された時期も有った。

 

しかし他の事業分野でも同じ例が見られるように、状況が落ちる所まで落ちれば、そこから新しい発想や改革の芽が生まれて来るもので、当に最近の「森林や木材への注目度」と、「新しく生まれ変わろうとしている木材のテクノロジー分野の開拓」には、大きな期待が生まれ始めている。

そんな林材業界の西日本での機関車役として、木材業界の発展に挑戦しているのが山佐木材と言える。

 

私が考える木材需要途が過去に減少して来た三大原因は、

  1. 同じ利用目的なら、コストの安い代替製品や工法の対処方法が次々と開発・供給されて来た事へ対抗して来なかった。
  2. 木材は燃える」弱点だけが宣伝され過ぎたのに、其の対処方法が有ったにも関わらず、一般市民に十分には浸透されなかった事から敬遠される事例が増えて来た。
  3. 木材は使用環境によっては腐朽やシロアリ等に弱い等の、耐久性への対応が不十分だった事等である。

素材として幾ら素晴らしい長所を持っていても、弱点対策がおざなりだと折角の長所も宝の持ち腐れになっていると言えるから、上記弱点の解消対策こそが木材需要復権の決め手にもなる。


その点で山佐木材は、大断面集成材建築だけでなく、強度が強く均質な幅広厚板の建築材料「CLT」や、新しい強度の高い構造材として提供出来る「サムライ集成材」事業を、他に先駆けて取組んで来た。

それらの新技術を活用するために技術対策も国の指導基準も進んで来ている。

そして27年6月には、学校建築木造3階建ても解禁される事が発表されているから、建築事例が増える事が期待される。


その他にも、山佐木材は「木材保存の分野」でも前向きに取り組んでいる事を知って頂きたい。

木材保存では、他の多くの企業が合成農薬系薬剤を多用しているのに比べ、「住人の健康を優先し、安心安全なホウ素系薬剤を利用し、木材の耐久性の向上」に取組んでいる。

山佐木材では「安全性の高いホウ素系薬剤を使用しながらも、高いレベルの耐久性を社会へ提供する」ために、我が国では最も木材利用には厳しい環境と言われる「奄美大島で各種の木材耐久性の試験」に取り組んでいて、3月も鹿児島県林業総合試験センター研究担当者と一緒に、定期的点検に行って来た。

奄美大島の野外試験の様子
奄美大島の野外試験の様子

 

写真は試験用のテストピースを覆っているコンテナを順次開けていた時に、何と「試験片のセットの中にマムシ」がトグロを巻いていたのである。(猛毒のハブでなくてホッとしたが。)

試験用テストピース
試験用テストピース
マムシ!?
マムシ!?


より耐久性の高い安全な木製品を皆様に提供すべく、木材使用に厳しい環境や過剰な条件の中で自ら試験を行い、商品開発にも努力している事をご理解頂ければと思う。

(山佐木材が行っている野外防蟻効力試験は既に開始後4年を経て、「南九州地区でのホウ酸処理木製品の適正処理濃度と効力との関係」等も明らかになってきている。)今後も厳しい試験を続けながら、「より安心な商品をお届けできる」様に努力して参ります。

 (西園)