メールマガジン第9号>役員挨拶

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★役員からのメッセージ  常務取締役 有馬  宏美
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4月1日の消費増税から、はや2ヶ月が過ぎ、景気の一時的な減速は小幅にとどまるとの見方が広がってきました。4月以降の鉱工業生産の減少は緩やかに推移し、97年の増税時のような急激な減産は避けられそうであり、労働者の賃金増も景気を下支えしていると言う見方もあります。       

また、テレビ・マスコミ報道を見聞きしていますと、売上の落ち込みも「想定内」との声が多いように思われます。

 

しかしながら、私どもの業界に大きく関係する住宅建築着工動向では、13年まで景気を支えてきた市場が大きく減速しそうで、国交省が発表した3月の新設住宅着工戸数は前年同月比2.9%減と、19ヶ月ぶりに減少に転じ、足元ではブレーキがかかったような状況となっています。

実際、得意先各社に感触を聞きますと、昨年10月以降、戸建て注文住宅を中心に受注の反動減が顕著に表れており、今後の住宅着工の落ち込みが心配という声が帰ってきます。

前回の増税後あるいはリ-マンショックでの住宅着工戸数の落ち込みは、私たち木材業界にとって大きな影響とダメ-ジを与えたこと、また少なからずそこから立ち直るまで時間と苦しみを味わったことは忘れてはいけないと考えているところです。

現況、今回の駆け込み需要の忙しさ、そしてまだ引き続き市場が活性化している間に、自分の立ち位置、これからの事業のベクトルをどう考えるか、のちょうど良い機会ではないでしょうか。

そういう意識のもと、最近は国土交通省、総務省、そして農林水産省のホ-ムページや関連資料をよく見るようにしています。いろんな情報の中、前からも知っている事ながら今の自分が改めて見ると新鮮に見える情報があります。たくさんある中、3つの表をはやりのコピペして並べてみます。見る人によっていろんな捉え方がありますが、たまに見ると情報の再確認でき、良いと思います。

2つの表、住宅ストック数からは居住していない住宅が700万戸以上あるということ。また、世帯数では、人口の減少とともに今年・来年をピ-クに減少していくこと。をはっきり示しています。

少子高齢化が言われはじめてずいぶんになりますが、人口・世帯数の減少は、住宅余剰にますます拍車かけることになると見込まれます。

 

一方、新設住宅着工戸数をはじめ、木造住宅建築・2×4住宅建築の動向を示す表をみると、平成21年を境に新設住宅着工は増加傾向に転じるとともに木造率も回復しています。その中でも2×4住宅は一貫して増加し、木造住宅の20%強のシェアを占めるまでになっており、引き続き今後も伸びると思われます。

 

周知の通り、この2×4住宅建築に使用される部材は、ほぼ100%が北米から輸入され、国内の枠組壁工法用製材JAS規格により格付けされ使用されています。在来工法用製材からみるとまさに未開の市場であります。この国産材化については技術的・供給的な課題等たくさんありますが、需要拡大に向けた大きなテ-マでもあります。

時に私は、『アフリカに営業に行った靴の営業マン』の話を思い出します。2人の営業マンのどちら判断が正しいかは解りませんが、少なくともアフリカで靴が売れると判断した営業マンには1つのチャンスが生まれたと思います。2×4材のようなグロ-バル商品にチャレンジする困難の大きさを感じつつも、狭隘化していく国産材市場で生き残る難しさも確かなことです。

 

近年、全国各地で、この2×4材の国産材化に向けて試験研究がされたり、先駆け的な住宅メーカーの一部では、国産材を試用していると聞いております。

遅ればせながら、当地鹿児島でも官民一体となって試験研究することになっており、課題・問題点を明らかにしつつ、一緒に取り組んでいけたらと考えております。

(常務取締役 有馬 宏美)