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★鉄筋補強集成材(SAMURAI)の実用化に向けて
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 2014 年弊社敷地内に、スパン約18 m、奥行約20 m、1階建ての加工場を試作建設する予定です。

 

現在㈶日本建築センターへ性能評価の申請をしており、時刻歴応答解析によって構造安全性を確認してからの着工になります。

 

概要としては、右図のように18 mスパン方向は鉄筋で補強(鉄筋を内蔵)したスギ集成材【断面180 × 600 mm】を水平に架けたもので、梁間に柱はありません。柱にも配筋したものを使用しております。

(製造部長 村田)


★SAMURAI 集成材開発者である塩屋晋一教授(鹿児島大学大学院理工学研究科)より寄稿いただきました。

 本構法の特徴は、国産スギ集成材の弱点である「ヤング係数」と「曲げ強度」を飛躍的に増大させることです。

 一般の集成材に対しては曲げ剛性(硬さ)と曲げ強度が3倍になります。梁として用いる場合には、クリープ変形を考慮しなければなりませんが、鉄筋はそのクリープ変形も抑制します。この効果まで含めますと、一般の集成材に対して曲げ剛性(硬さ)は6倍になり、梁せいを55%小さくできます。

 部材の性能は、鉄筋コンクリート部材より遙かに硬く強い性能を発揮します。部材重量に対する曲げ剛性(硬さ)比で、鉄筋コンクリート造と比較しますと25 倍の性能を発揮します。

 

 今回、この性能を利用して18 mスパン長さの梁を屋根梁として架ける設計を行っています。梁中央のたわみは、クリープ変形後でも14 mmしか生じない設計になっています。これは設計制限値の25%に抑えてあります。

 本構法は、鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造と同等以上の構造性能を発揮し、木造建物の柱のスパン割長さなどを、飛躍的に大きくできます。これまでに無い柔軟な木質建築空間を創出できることになります。

 鹿児島大学大学院理工学研究科

建築学専攻 教授 塩屋 晋一