メールマガジン第58号>役員挨拶

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★役員からのメッセージ     監査役 神田 稔

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 6月の中旬、M日本新聞に40年来の知人であるK氏の投稿が掲載された。87歳である。今なおしっかりとした文体で、矍鑠としておられるのだと当時を思い出す。

 

 K氏との出会いは、小生が山佐入社3年目の土木部課員時代である。本庁に勤務されていたK氏から「山佐の技術者の中から農業技術連盟の総会で技術体験発表をさせるように」と電話があり、社内検討された結果「神田が適任ではないか」ということで指名された。 

 当時小生は技術と言われるような知識技量もなく固辞したが、最後は無謀にも、「体験発表」することになった。さて、発表内容をどうするかが問題であったが、結局発表内容は、K氏の期待された技術体験とは程遠い会社の宣伝で、期待を裏切ったのではないかと思う。同じ発表者の中に、現在の広域農道(グリーンロード)にある有明大橋の工事に従事した技術者の発表があり自分の原稿との差に愕然としたが、無事30分を使い切った。

 

 総会終了後、「会社ン宣伝やったなア」と言われたが、何故かこれを契機にK氏との長い付き合いが始まったのである。立派な技術者に育つようにという思いであったのか、幾度となく農技連の研修旅行、全国大会出席は「神田に」と指名の電話が先代社長に入ったり、「出張で土産を買ってきたから取りに来るように」と電話が来たりで、青春時代の素晴らしい体験をさせて頂き、素晴らしい思い出を残してくださったが、その期待に応えることなく木材関係の仕事に従事しているのである。

 

 農業、林業を取り巻く現在の環境は、生産、育林、販売価格に対しては厳しく、K氏等の尽力で整備された山間部の農地も、後継者難で耕作従事者を探すのに難儀している。山のスギを伐採した後の植林放棄も深刻な問題である。小生の中学時代の同級生で国有林や民有林の山林保育伐採に従事しているO君がいる。彼が近ごろ実生から苗木生産をしている苗畑を見せてもらった。早成樹の「コウヨウザン」である。曰く、スギは2,3月に植林しないといけないが、その頃は山林伐採で忙しい。コウヨウザンは6,7月に植林できる。数十年後伐採した後は萌芽更新できるとのこと。樹脂が多く材質は桧に近く、ヤング係数も高いらしい。シロアリにも強いとか。ただ新芽を兎が好むらしいから桧のシカ害と同じらしい。

 

 一方、小生は「マテバシイ」の木の実生に挑戦していることはメルマガにも記したが、昨年、小生が管理していた社有林が勘違いで伐採されてしまった。先代社長時代からの思い入れのある社有林である。伐採されてしまった場所を社長と現地確認した時、いろいろな対処法を検討したのだが、一つの対処法として、そこに落下していた「マテバシイ」と「シイ」の木の実を育ててみることにした。拾った実を水中保存し、3月ビニールプランターに播種した。まだ発芽はしていない。またほかの場所で拾ったマテバシイの実は山に直接播種し発芽を観察するものと畑に播種したものとプランターに播種したものがある。今回山に直接播種したのは植え付ける手間が省けるから行ったが、発芽率が良ければ今年購入した耕作放棄地(地目山林)に行いたいと思う。

                                  

  今回のK氏の投稿は農業土木の技術士らしく硫黄山の噴火に関連し、農家を憂い擁護した内容で、頭の下がる思いであることを末尾に記す。 

(監査役 神田 稔)

 

コウヨウザンの苗木
コウヨウザンの苗木
昨年のマテバシイの苗木
昨年のマテバシイの苗木