メールマガジン第40号>役員挨拶

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★役員からのメッセージ          取締役  神田 稔

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森・林・木と樹

 明けまして御目出度うございます。本年も宜しくお願いします。

 

 日本の農林水産省は、人工的なものを林(人工林)、自然にできたものを森(自然林)と定めている。木は植物の一種を指す用語である。教育漢字でいうと木・林・森は小学校一年生で習い、樹は六年生で習うようであるが、正確に書ける(覚えた)ようになったのは数年後だったような気がする。しかしながら小生はこの樹の字が好きである。30数年前に生まれた娘に樹里と命名しようと考えたが当時「樹里」という名の喫茶店があり命名を断念したが、その後後輩のM田氏に長男が誕生しM樹と命名した時には一種地団駄を踏んだものであった。

 

 昨年12月、完成して20年になる宮崎県の小林市ひなもり台県民ふれあいの森にある「スギの木橋」(1997年3月竣工)を見に行った。設計荷重25トンの木造車道橋の第一号である。

 使用したスギの木は現地にあったものも一部伐採し、宮崎県産の杉を利用した。直接の施工担当者ではなかったが、当時から高欄の取り付け金具の貫通ボルト穴付近が気になっていたので数年に一回は見に行っていた。橋の設計で衝突荷重面から考えると高欄を橋面に取り付ける構造設計が難しい。この部分については今後も経過観察が必要であると考える。橋面は弾性舗装であったのでひび割れもなかった。

スギの木橋
スギの木橋

 

 2000年に完成した25トン設計荷重木造車道橋「金峰2000年橋」は地元永田様の山から切り出したスギの木も使用している。

 永田様は「峰仙」というそば屋を営まれていたが、その後売却され、永住の地として橋の近くに移られた。 

(写真はその石碑)

 

 この橋は地元「南さつま市」首長様、担当者様、地域の皆様のご理解で架橋後塗装等のメンテ工事をさせて頂いている。

 施工担当技術者として毎年数回訪問し観察しているが、橋面舗装の3層目センター部分横打ち継ぎ目が割れていた。舗装は3層構造で、横打ち継ぎ部はリャンコになっているので木床版への漏水はないものと思うが、次のメンテ工事はブロンアスファルト等を流し込んだ方がいいかもしれない。

 木材の防腐剤はNZNでありまだまだ十分な効果が期待できるようである。木製鳥居もペンキの剥げたところは自主的に補修を行う必要がある。


金峰2000年橋
金峰2000年橋

 

 さて2020年東京オリンピックでは木材が多用されることは報道等でも周知されているところであるが、木材は虫(シロアリ)と水(腐朽)に弱いところがある。この2点を考えて、それぞれの技術者達が衆知を集めて設計・施工してくれることを期待したい。

 

 昨年の8月、社長が古希の小宴を催され、ご招待を受けた。宴の最後にお祝いメッセージを認めるよう色紙が廻ってきた。酔いもまわり悪筆がさらに悪筆になりそうで、「森を見て、林を見て、木を見て、人を見て」という短文を書いた。善きにつけ悪しきにつけ在私職43年の思いを短文にしたのであるが、その中の最後の人について、今後のCLT事業は全社でベクトルの合う人(口先だけ合わす人でなく)を動員し、難局とも思える事業量をこなしてほしいと切に希望する。

(取締役 神田 稔)