メールマガジン第3号>さつま郷句

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★さつま郷句作品抄   渋柿会鹿屋支部
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題:師走(しわす)

青字は読み方です。小さな「っ」がポイント!

声に出して読んでみましょう。

分からない方は近くの鹿児島出身者に読んでもらいましょう!

師走街っ ジングルベルが 急がせっ

しわすまっ ジングルベルが いそがせっ

唱 まだボーナスも 出らん内から

  まだボーナスも でらんうっから

久永 時盛

 

【解説】年の瀬と言っても、まだ十二月に入ったばかりの商魂逞しい商店街では、早々に門松が立ち、サンタやジングルベルでお客の買気を煽って師走気分を高めています。

 

師走しなっ 女房がほろめっ 歳暮吟味

しわしなっ かかがほろめっ せぼぎんみ

唱 見掛ん良との 安し品は無かち

  みかけんえとの やしとはねかち

有馬 慶成

 

【解説】鹿児島で「ほろめっ」とは、泣き言、繰り言、あるいは愚痴やぼやきの意味で、お歳暮の品定めに女房の困った様子が見えるような気がします。

 

爺ん師走 煙草錢にち 注連練い

じんしわす たばこせんにち いぎれねい

唱 十個も売るれば そいで御の字

  とおもうるれば そいでおんのじ

山下 明良

 

【解説】昔から正月の注連飾り(しめ飾り)は、主に農家の副収入として細々と売っていますが、我が家の爺様はささやかな小遣い稼ぎに今年も頑張っているようです。