メールマガジン第38号>役員挨拶

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★役員からのメッセージ            代表取締役  佐々木 幸久

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はじめに

 平成24年5月からスタートした中期計画が今年度末終了します。年末から来春に掛け次の中長期見通しを策定します。これから先、例えば10年先はどういう時代になっているか、あるいは会社をどう運営していくか、その見通しを立てるためのヒントを考えてみます。 

 

1.約30年の概況

 私は山佐木材の経営に携わるようになって来年7月に満30年を迎えます。

 その間最大の結節点は、当社発展の鍵となるものとの判断で、非住宅大型木造建築分野に進出するという決断でした。平成元年からコンセプト作りに取り組み、逐次土地取得、造成、工場建設に行ってきました。

 平成3年に当社受注第1号となる城山観光ホテル「ホルト」を3月に受注、そして完成、工場の完成、国内初めてのスギ構造用集成材のJAS認証、その後3町から3件の受注と、この年は誠に慌ただしいものがありました。

 この事業の進捗に伴い、数年のうちに売上は従来の数倍の規模になりました。製材のみの時代、昭和50年代の頃は円高が進捗する頃で木材価格は大幅に下落、頑張って加工量を倍にしても、売上高は殆ど伸びず低迷で苦しんでいました。新規事業が時代の波に乗ったときの強みを実感しました。

 ただビジネスとして軌道に乗るには随分時間がかかりました。売上の伸びに比して技術の未熟、人材不足が長いこと解消しませんでした。そして今思えばマーケットも未成熟でした。ノウハウ不足による収益の不安定に悩み、仕事がある時と無いときとの落差に泣きました。

 最近ではマーケットが成熟してきたということでしょうか、民間でも普通に木造が設計され、仕事が来るケースも出てきて、仕事量の季節変動も減りました。ノウハウの蓄積も進みかなり難しい仕事でもこなせるようになり心強く思っています。

 

2.これからの10年、住宅については厳しい予測

 商工中金が2014年に発表した「都道府県別の住宅着工と空き家の中期予測」は、住宅事業に関わるものには不可欠の貴重な資料と思われます。 

(商工中金ホームページより参照:都道府県別の住宅着工と空き家の中期予測(PDF))

 これによると鹿児島県の住宅着工件数は全国に先駆けて減少率が高いと予測しています。2009-2013年を100として、10年後の2027年を含む2024-2028年には、全国65.3に対し鹿児島県35.7で、更にその5年後の2029-2033には、全国53.1に対し鹿児島19.0との衝撃的な予測です。人口は84%なので余計に意外感が有ります。基数となっている2009-2013に対し、今年を含む2014-2018が107.4と好調なので、より一層落差感があります。

 

 ほかにも着工戸数予測20%以下の県が6つあります。北から青森、秋田、山形、島根、山口、長崎です。一方比較的減少の少ないのは沖縄の91.7、宮城の71.2、滋賀の70.3などがあります。九州は福岡54.4、佐賀37.6、熊本32.7、大分42.5、宮崎37.1とあります。 

 当社では現在、住宅向け売上が概ね半分を占めているので、危機感を持って打開策を検討しなくてはなりません。

 

3.これからの10年、非住宅の光と影

 以前「木造緩和の時代から、木造推奨の時代へ」転換した、と表現したことがあります。我が国では住宅は50%の木造率ですが、非木造建築は公共、民間共に規模の大きな建築では5%前後と木造率に大きな差があります。木造率が20%くらいになればかなり大きな新しい木材の需要が生まれます。

 一方住宅需要の長期低落を見越して、住宅分野から一斉に非住宅分野への進出が始まっています。供給者が増えるので当然競争は厳しくなり、一つの物件に対して複数の会社が競合するケースも増加すると思います。

 世界的に見て厳しいといわれている建築関連法規も、非住宅建築の進展に伴う技術開発を受けて、規制緩和が進むことを期待します。

 

4.当社の取るべき道

 1)一定の規模の売上を確保する

  経営の観点から売上の伸びは好ましいものです。適切な成長があってこそ、適切な年齢構成の維持、適度な昇進、昇給など組織の活力維持が可能です。

 そして地域中堅企業として青年達のために雇用の場を提供するという地域貢献の視点も持つべきです。大隅地区は高齢化、過疎化など衰弱の一途をたどると予測されています。何とか売上の増大を計り、継続的に新規雇用に努めて、私たちの力で少しでもこの流れを食い止めたいものです。

 

      10年後売上高の想定  ? 円

 

 2)収益の確保

 地域内にマーケットが乏しく、広く外部に販路を求めて行く必然から、技術開発の費用と設備投資とに、これからも資金需要は旺盛と思われます。

 また「十の誓い」実現のために、社員所得の向上や福祉対策にも収益が必要です。従来通り、社員1人当たり年間収益額で表示します。

 

       10年後収益の想定  ?円/人

 

 3)技術開発

 我が国大型木造建築は歴史がまだ浅いために、防耐火、構造、耐久性、新材料開発など取り組むべき課題は沢山あります。自社の知的資産として適切なテーマを選択しつつ、有力な共同開発者と共に、技術開発に積極的に取り組みます。

 

4)商品別販売戦略の検討

①製材

 製材は我が社の事業の原点です。また様々な木材加工の出発点でもあって、まず丸太を一次加工して各部門に、原材料としての製材を渡します。

 丸太を供給する林業との接点にいますから、まさに林業との車の両輪、共に連携しつつ双方が発展するという視点が非常に重要です。

 

②防腐防蟻処理

 今年再訪したニュージーランドで、構造材は50年保証であることがわかりました。我が国では保険会社の保険期間はわずか5年です。保険会社の防腐防蟻処理に関する評価は極めて低く、新規引き受けや新しい保険制度の計画は一切無いと聞きます。恐らく我が国の現行の保存処理(薬剤、処理方法など)は重大な問題を抱えています。

 昨年設置した柏原試験地を活かして、信頼ある保存処理手法を確立する、保存木材を作っていきます。

 そして同業者ととに私たちの処理法の信頼度を高め、ニュージーランドの構造材50年保証を見習って、徐々に保証期間の長期化を図っていくべきだと思います。

 

③集成材、SAMURAI

 異素材委員会(通称)   平成27年~28年

 法改正            ?年

 事業化            ?年

 

④CLT

 第2段階 増産体制整備    平成29年度

 第3段階 サイズ 2m×4m → ?m×?m  ?年度

 

⑤新しい取り組み

 その1    ?

 その2    ?

 

?部分はこれからの検討課題として、社員諸君で検討して欲しいと考えます。

(代表取締役 佐々木 幸久 )