渋柿会鹿屋支部

今月のお題 「方角」(ほがっ)

青字は読み方です。声に出して読んでみましょう。

分からない方は近くの鹿児島出身者に読んでもらいましょう!

(注)若い人は鹿児島出身者でもなかなか読めません

 

吉ち言う 方角か離婚れた 女房が居っ

   きっちゆう  ほがかわかれた    かかがおっ     

唱 撚ゆば戻そも 今はまだ無理

     よゆばもどそも  いまはまだむい  

 

    楠八重 渓流

【解説】夢のような新婚時代も過ぎた三年目、御多分に洩れず、つい浮気癖に火がついて発覚し、別居謹慎中の主人に

再び悪魔の囁きが・・・。でもその方角には何と恐い女房と同じ空近くにあり、一歩も二歩も尻込みせざるを得なかったのでありました。桑原々々。

 

 

始球式 途方ん無方角き 観客が沸っ

 しきゅうしっ   つがんねほがき みてがうぇっ

唱 精一杯投げたが 球は届かじ

     せっぺなげたが   たまはとどかじ

       東 竜王

【解説】スポーツの秋。とある野球場で年老いた選手がマウンドに登場。振りかぶって投じた一球はとんでもない所に転がり、期待していた見物人の落胆と失望の吐息が聞こえたという、まるで漫画のような句となりました。

 

悪戯坊 道標をば 逆き向けっ

 われこっぼ   みっしるべをば ぎゃきむけっ

唱 嵌った衆どが 役場べ捩じ込っ

     うたったしどが   やっべねじくっ

       

上瀬 明星

【解説】鹿児島ではいたずら坊やのことを悪戯坊(われこっぼ)と言ったりします。掲句の場合のような悪戯は絶対にしないようにしたいもの。

 

★解説は渋柿会鹿屋支部の有川南北氏にいただきました。

★写真:山佐木材写真部