渋柿会鹿屋支部

今月のお題 「辛抱」(しんぼ)

青字は読み方です。声に出して読んでみましょう。

分からない方は近くの鹿児島出身者に読んでもらいましょう!

(注)若い人は鹿児島出身者でもなかなか読めません

 

五度車検 ごろいと雨が 漏いでけっ

   ごどしゃけん ごろいとあめが もいでけっ     

唱 鍵が掛けしてん 盗い奴ちゃ居らじ

     かがかけしてん  といやちゃおらじ 

        

池上 黒じょか

【解説】いくら辛抱強く丁寧に乗っても、五度も車検を受けた車であれば、相当なポンコツのようで、何処に放置してもそれを狙って盗をはたらくような奴はおるまいと現実離れした大袈裟な表現が面白と思います。「ごろいと」とは「とうとう」とか、「遂に」と言うときの方言に使います。

 

 

若け奴ん 下知ちも辛抱ん 再就職

 わけわろん   げちもしんぼん  にどづとめ

唱 うなち思もてん 胸内ち仕舞っ

     「うな」ちおもてん   むねうちしまっ

       米元 年輪

【解説】以前は部下にいろいろ指示していた作者。わけあって今は再就職場で指示される身。自分よりずいぶん若い上役に何かと下知され、不満だらけで反揆したいが今は残念ながら辛抱より致し方なく、「この野郎」と怒鳴りたいのを胸の内に仕舞う歯痒いさを詠んだ句です。

 

日の一日 辛抱ん竿い 鯛が跳ねっ

 ひのひして   しんぼんさおい  てがはねっ

唱 帰ろした時き 凄ぜ手応え

     もどろしたとき   わっぜてごたえ

       

吉岡 道場

【解説】連休の某日。久し振りに佐多岬の磯釣に。波良し、潮良し。だが全然釣果なく諦めて帰ろうとした時、竿に強い当りが。目の下尺余の鯛が跳ね上って来た。その凄い手応えに一日の疲れが一遍に吹き飛んだのでありました。

 

★解説は渋柿会鹿屋支部の有川南北氏にいただきました。

★写真:山佐木材写真部