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★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(23)

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熊本は、まだまだ揺れが続いています 桜島も久々に爆発的噴火が・・

 平成28年4月14日以降、熊本県で発生した地震の被害により亡くなられた方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。 

 今熊本では、余震がつづいている中、建築学会や関連団体の被害調査が続けられています。CLT建築物の大規模なものはまだ熊本には建っていないのですが、集成材・製材を使用した大規模木造は、数多く建てられているのでその状況が心配です。調査結果によっては、その修理なども考えなければなりません。調査報告やお施主様のご連絡を待つことにします。

一方の鹿児島では、桜島で5月1日午後に爆発的噴火が発生し噴煙が4,100m上空まで達しました。噴煙が4,000mを超えたのは昨年の5月21日以来実に11カ月ぶりだそうです。今年43回目の噴火だそうですが、昨年に比べて少ないな~と思っていた矢先の大きめの噴火だったので 熊本地震と関連が?などと火山に関して素人の私は思ったりもしました。

 

自然の力はやはり大きいですね。「災害は忘れた頃にやってくる」まさにその通りです。もう一度思いなおして 備えておくことにしましょう。

  


先にお知らせです

 2年前から日本CLT協会内活動として法律で定められないけれど建築には必要な項目である、遮音・接合・製造加工・施工・耐久性・防耐火などについて、WGを立ち上げ、検討を進めてきました。その検討を続けてきた2年分の報告会を今月東京で開催します。すでに日本CLT協会のHPにて募集中で、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、聞いてみたいと思われる方は是非お申込み下さい。

 弊社からは、私と取締役CLT部長の村田の2名が発表をさせていただきます。詳細・申込み方法は 下記を参照願います。 

http://clta.jp/events/2951/

ダウンロード
日本CLT協会 技術報告会2016 概要
gizyutuhoukokukai-2016.pdf
PDFファイル 87.1 KB

もうひとつのお知らせ 私事ですが

 このコーナーを担当している私は、昨年度まで日本CLT協会の技術部長を仰せつかっておりましたが、弊社の業務もあり協会に常駐が出来ず、協会にもご迷惑をおかけしておりました。今年度より協会の組織も開発技術部と名称を変え常駐の部長が新しく着任いただけたので、より一層の(一社)日本CLT協会の活動が充実されるものと期待しています。

 これにより、山佐木材としてのCLT・集成材に関しての業務により注力できるようになりました。皆さま問合せ・お仕事 待っています。(笑)

 ただ私も協会をクビになった訳でもないので、今後もCLT普及拡大に向けての協会活動には、最大の協力を継続していくつもりです。 

 そうした協会の活動の中で 今一番の急務とされているのが、告示の解説です。3月31日、4月1日に続けてCLTの設計に関する告示が施行されました。皆さんも興味をもって官報などを読まれていることと思います。現在、日本CLT協会では日本住宅・木材技術センター様と一緒に国土交通省他関係者のご協力の下、告示解説本の編集を進めており 早ければ来月にも告示解説の第1回目の講習会が開かれる話も聞こえています。

 日本CLT協会のHPで募集がなされると思いますので、注意してHPを見ていて下さい。

 


いよいよ 鉄骨構造の床にCLT使用に向けての本格的な検討が始まります。

 「超高層ビルに木材を使用する研究会」と共に林野庁委託事業などにおいて、必要な項目の検討・試験を続けてきた中で、会長である稲田先生の営業努力もあり実際に採択しようという物件が現れ、その時間的なゴール地点が見えてきました。

 そのための最大の問題となるであろう、接合部の仕様の検討が特に急がれます。この2年間の林野庁委託事業においても接合部の加熱試験を数度実施し、問題なくクリアできる仕様については確認が出来ています。ただその内容は、通常の鉄骨における要求される耐火被覆に対してプラスαを加えています。このプラスαを減らす事で建設費の低減(材料・施工性)や合理化が出来ると思いますので、今年は・・というか この実物件が、今後上手く進めば11月に着工予定でもある為、早急に進めたいと考えています。 

被覆材・CLTの施工確認試験
被覆材・CLTの施工確認試験
鉄骨構造床にCLT敷設時の歩行振動測定
鉄骨構造床にCLT敷設時の歩行振動測定

 

 特に昨年度は、この実物件の話も出ていたので上記写真のように「被覆材の施工試験」・「耐火2時間仕様での歩行振動・床遮音試験」など必要と思われる試験を重点的に実施し、その結果より実現時の性能に対する十分な手応えは感じています。 さぁ~ いよいよ今年は実現に向けて、あと一踏ん張りです。

 

 先日、実現に向けての具体的な打合せを4月に稲田先生含め関係者で行った時、昨年度当社に大分県から研修にきており、本事業を中心となって進めてくれていた西胤さんもその日の業務終了後、駆けつけてくれました。打合せに参加というよりもどちらかと言うと飲みに?(笑)

 

 大分県に戻られてからも、元気に頑張っているようで、あっと言う間に 以前一緒にいた時の飲み会の雰囲気になれました。

 西胤さん これからもよろしくお願いします。

 

稲田先生と西胤さん
稲田先生と西胤さん


山佐木材のもう一つの大きな課題 SAMURAIも再始動します

 昨年度、木構造振興・日本住宅・木材技術センターのCLT実証事業において、設計を完了した「山佐木材CLT工場新築工事」の日本建築センターでの木構造評定に向けての作業をスタートしました。と言っても昨年度にほぼ構造設計(時刻歴応答解析)・図面・確認試験も終了していますので日本建築センターへの申請手続きからスタートです。

 

 すでに事前打合せを行っているのですが、今月もう一度委員会前に事前説明に行き、来月の木構造委員会に取り上げていただく予定です。

 一方、昨年度より検討を開始いただいている「異素材」を含む木質材料に関する委員会は、今年度も継続していただけるとのことで、今年度の検討により 何らかの道筋を設けていただけるものとその結果に期待しています。

 

 

建材試験センターでの面内せん断試験
建材試験センターでの面内せん断試験

 こうした、検討委員会の委員の皆様による前向きのご検討に期待すると共に、自社で出来ること(「実証物件」の建設を進めること)を進めていくことで、有効な木質材料である「SAMURAI」が、一日も早く一般的な建築資材として使用出来るように進めていきたいと考えています。 また「SAMURAI」に関しては、もう一歩進んだ検討を来年度に挑戦したいと考えてもいるのですが、これについては もう少し煮詰まった段階でご紹介したいと思っています。

 

 当社へのCLTに関する問合せは、今まで通り寄せられているのですが、CLTの告示が施行されて以降、何となくですが・・その問合せの内容が、少し変わってきている気がします。告示内容(強度・設計法・接合 等)についての具体的な質問や、実物件検討に向けての問い合わせが多くなっているようです。

 そうした問合せには、出来るだけ詳しい対応をさせていただきたいと思いますので、ご連絡・問合せなどお待ちしています。 

常務取締役技術本部長 塩﨑 征男