メールマガジン第2号>特集バイオマス

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★【特集】バイオマスについて(2) 代表取締役 佐々木幸久
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 ところでバイオマス活用として発電事業が話題になっています。

 南九州でも多くのプロジェクトが話題に上っています。これらの多くは極めて大規模なもので、確かに発電効率は規模が大きいほど高いと言います。

 ただバイオマスは、かさや重量の割には発熱量が低いので、運搬コストはかかります。しかも木材は通常そのままでは沢山の水を含んでいるために、運搬効率はさらに悪いのです。

 規模が大きければ、遠方からも燃料集積の必要が出てきます。規模が大きくなることで、確かに発電効率は高まる一方、規模が大きくなることで広範囲な集荷を行わざるを得ず、化石燃料を多量に消費する、という矛盾に見舞われることになります。

 

 バイオマス発電の熱効率は30%前後と言われています。

 つまりバイオマスの持つ熱量の70%前後は電気に変換できず、温排水として廃棄される事になります。この温排水を何かに有効活用できれば、発電効率は変わらずとも総体的な熱効率は向上します。

ただ周辺にそのような熱利用できる環境があるかどうか。発電の規模が大きければ大きいほど、副産物の熱も大量に産出します。

 熱の供給には、それが蒸気の形であれ、温水の形であれ、配管というインフラ整備が必要で、近郊での熱活用に限定されますが、特別な場所を除き、量的な限界があります。

従って、総体的な熱効率を高めることを目指せば、あまり大規模な発電施設の計画は無理があるように思われます。

 

家庭のエネルギー利用

家庭では、下表のように給湯と暖房に占める比率が結構高く、これは比較的容易にバイオマス転換ができます。

バイオマスを電気に変えて、それをまた熱利用するのではなく、最初からバイオマスから熱を取り出して、直接熱利用する方が、社会的なコストも熱効率からもはるかに効率的です。

 

バイオマス利用エネルギーの形態とそれぞれの特質

バイオマス活用の形としては、個別の独立型もありますが、事業として考えると、発電以外に熱供給事業、コージェネレーション事業などがあります。

それぞれの特質(得失)を、荒っぽく以下のような表にまとめてみました。

発電専焼については、この程度の熱効率であってもペイする現在の電力買い上げ制度(価格)は問題が多いと思います。

このコストアップ分は電気料金に転嫁されることから、現在は時代の寵児として持てはやされている「バイオマス発電」が、将来は一転、庶民の怨嗟の的になるのではないかと懸念します。

今回のヨーロッパ視察で、既にヨーロッパでは行き過ぎた自然エネルギーの買取価格が、電気料金の高騰から大幅に見直されていることを確認しました。

我が国でも環境先進国として尊重しているヨーロッパの動きは情報が入っているはずなのに、なぜ参考にしないのか不思議でなりません。

次回のメルマガ3号以降、今回目にした事例を紹介していく予定です。

代表取締役 佐々木幸久