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★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(14)

 「平成27年度CLT開発事業

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残暑お見舞い申し上げます。

昨年6月に鹿児島に来て二度目の夏を迎えていますが、感じた事として東京(大都市)の方が暑いということでした。鹿児島は九州の南の端にあるので先入観としては、「暑いだろうな~」と思っていたのですが、意外にも東京などよりしのぎ易いという驚きがありました。


都会のアスファルトの輻射熱やクーリングタワーから吐き出される熱が、天気による温度上昇以上に暑さをもたらしているのかと思われます。そして、やはり地面(土)や山が多いってことなのでしょうね。山・木は、こうした役目もあるのだ!と再認識。

 

さて本題ですが、

昨年度より取り組んでいるCLT普及のための林野庁委託事業を今年度も受託する見込みで、現在本格的な作業に向けて鋭意準備中です。昨年度に引き続き「超高層ビルに木材を使用する研究会」の最初の目的である鋼構造の床にCLTを使用するための課題を解決していく予定です。

 また、接合や防耐火に関しては、以下に記している昨年度の積み残しとなっている検討項目の確認作業を進めることとなりました。

  1. 接合については強度だけではなく、地震などの繰り返し荷重に対しての検討や天井材の保持強度など
  2.  防耐火については鋼材からの熱による影響や、CLTを固定するグラウト材の熱による影響など

今年度には実際に使えるまでの結果を出すという大きな目的があるので、責任も重く感じられます。


少し早いのですが、平成27年10月31日(土)には、福岡で「超高層ビルに木材を使用する研究会」の平成27年度総会を開催すると共に、研究開発の進捗状況についての中間報告会を計画しています。(※研究会の皆様はご予定に入れておいてください。)

 また、今年の2月に東京で成果報告会を開催し大勢の方に参加いただいたのですが、今回は東京での中間報告会として11月中旬に開催を予定しています。詳細日程などが決まりましたらご案内いたします。


上記と並行して前報やHPでご紹介していますが下記の2つの事業も実施を予定していますので、今年も大忙しの1年になりそうな嬉しい(大変な? えっ?勘弁な?)予感がしています。

① かごしま木づかい交付金事業

 二時間耐火性能評価、壁倍率・面内せん断試験や音関係の測定

②平成27年度 CLT建築等新たな製品・技術を活用した建築物の実証事業

 自社工場をCLTと鉄筋挿入集成材を使っての設計

 

それと もう一つ

鉄筋入集成材「SAMURAI」を弊社では、数年前から何とか一般に使用できるように様々な検討を進めてきましたが、ここにきて弊社だけではなく同様の課題を検討している企業様が名乗りを挙げられてきました。主に炭素繊維を使用する内容でT社、M社といった大企業が同様の課題に向けて動き出しています。

 弊社単独では、なかなか難しいこともこうして数社がまとまって動くことで、可能性は大きくなるのではないかと期待しています。また、今回の林野庁の委託事業の中でもそういった材料を使うためには、どうしたら良いか?などの検討をしていただける事業もあるとも聞こえてきていますので、「SAMURAI」が建築材料として利用できるまでの道程は、前述した弊社工場での実証第2号も併せて、また一歩前に進んだ気がします。


 ところで、SAMURAI の名前の由来って?? いったい本当のところは?

私も元々の由来は知らないのですが? 刃金のような・・とか 寸鉄を帯びて・・などの話も聞くのですが、他説ではS社長の「SA」、M部長の「MURA」、開発者のS教授の名前「S・Ichi」の「I」とも聞いていますが、さて本当のところは、何なのでしょうね?

もしそうならM部長が名前に一番占有していますよね (?_?)

今後、カタログを作る等の時のためにも、はっきりとしておきたいところですね。


TOPICS 1 <CLT加熱試験>

7月6日の試験結果は前号で報告させていただきましたが、続いて9日にも被覆材の仕様を変えて上面加熱試験を実施しました。

2時間加熱後に被覆材をはがしたCLT 焦げ変色なし!
2時間加熱後に被覆材をはがしたCLT 焦げ変色なし!

 結果としては、6日の試験同様CLTは焦げや変色も無く合格の内容でした。

これで、27年2月に実施した、下面載荷加熱試験の結果と合わせて、2時間耐火性能をもつ床として2仕様が、確認できたことになります。


 今後は、小型試験炉でより薄くて軽い仕様への挑戦を8~9月に実施し9月には、最終仕様を決定すべく再度、載荷加熱試験の実施予定です



TOPICS 2<CLTアイディアコンテスト>

(一社)日本CLT協会では現在、「CLTのアイデアコンテスト」を実施中です。


締切は平成27年9月30日ですので、まだ十分間に合います。副賞として最優秀賞には、来年度の協会主催の欧州CLTツアーにご招待他、豪華な賞品が用意されていますよ。良いアイデアを募集しています。

皆さん奮って応募下さい。

詳細内容については、日本CLT協会のHPを参照して下さい。

 

次号では、許される限りにおいて 弊社でお手伝いをさせていただいている

CLTの物件概要など書ければいいな・・と考えています。


では、また次号で。

常務取締役技術本部長 塩﨑 征男