メールマガジン第22号>中国木材日向工場

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★中国木材様の日向工場へ行ってきました

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6月6日(土)、中国木材(株)様日向工場の第一期完成披露式にお招きを戴き参加しました。

このところ遠方から何組かの珍しい来客がありました。聞くと皆さまこの披露式参加のついでに、滅多に来ることのない僻遠の地の我が社をお訪ねになったようです。

 

これまで北洋材、北米材、乾燥材、集成材そして国産材へと大胆にかつ華麗に転換し、成功させてきた堀川氏が満を持して作り上げた工場です。「現在の国産材ゴールが日向工場で実現」と、当日配布された「日本国産材産業の創出」で述べています。

この巨大な工場は、いくつかの要素を持っています。港湾型立地であることは兼ねての堀川氏の持論ですが、もう一つは山で生産される小径から大径に至るすべての木材を、山側では何の手間も掛けずに直接工場(実際は宮崎県森連原木土場)に持ち込んでそこで目的別に仕分けされ、製品化され、文字通り木屑一片まで100%活用されます。


理屈でわかっていても、それをなかなか国産材で実現出来なかったのですが、ここではらくらくと実現出来そうに予感できます。それもこれまでの米材製材で磨いた超大型工場のオペレーションの経験と、10年に及ぶ国産材製材の経験です。そしてこれらの運営を収支面で支えるのは、異様なまでに高額での電力買い取り制度FITです。これが無くても住宅の先行き懸念される中、ここまでの投資を決断なされたかどうか。

 

原木調達や製品販売について、地域や同業者に対し全く敵愾心がないにもかかわらず、同時にいささかの斟酌も遠慮もありません。集められる原木は必要なだけはすべて集めるでしょうし、販売についても売れるところには売れるものすべてを売り込んでいくでしょう。同社の透徹した合理主義により、原木から販売まで、物流や中間マージンなども極限まで圧縮されるでしょう。国産材はある意味極めて公正な透明な市場環境に置かれます。これまで慣れ親しんできた国産材のビジネス環境は激変するでしょう。 


この工場(の事業スタイル)の出現によって、多くの同業者は自分の事業とのかかわりや、場合によっては自社の将来をいろいろ案じざるを得ない立場に気づかされるはずです。

(代表取締役 佐々木 幸久)


中国木材様が九州に国産材大型製材工場の設置するという話は以前から聞いていました。

 機会があれば、是非自分の目で見てみたいと思っていたところ、完成披露式へ社長が出席するということで車に同乗することができました。

 

堀川社長様のスピーチで『日向工場がこれからの製材のモデル工場になる』という言葉は非常に印象的で、実際この敷地に立つ工場群を拝見するとそう頷けるものです。

 国産材での超大型工場の出現、これについては机上で絵は描けても実際工場を稼働させることの難しさは想像以上のことと思います。

 

まず第1には、原料となる原木が集荷出来るかどうか。

 これについてはさすがは杉生産量日本一の宮崎県、森林組合連合会が全面的なバックアップ体制ができているようで、隣接して原木集荷ヤードを整備して膨大な数量の原木を仕分け作業をしています。

特に特徴的なことは、山から生産された原木を全て受け入れることが出来る工場である、材料の最後の最後はバイオマス発電用の燃料に使えることから、いわゆるA材からD材まで受入れ、その材質にあわせた製材加工方法を採用されています。


【中径木製材、大径木製材、低質木製材の設置】

最近のバイオマス発電所とは異なり、D材からでも最大限に製材品が取れるよう、2M材に再材し直し、製材加工しています。これは付加価値追求の理想的な形と言えるのでしょう。

原木選木装置
原木選木装置
原木はえ積み
原木はえ積み

2番目は、大量に出来た製品を販売すること。

中国木材さんは全国に14ヶ所に及ぶ配送センターを有し、かつ輸送では内航船を使った物流システムを構築していることから、通常の地域型製材業では出来ない国内全域を商圏として営業していることが大規模な販売を可能としています。

 

バイマオマス発電
バイマオマス発電

3番目には、副産物の活用方法です。

 工場で生産される製品の販売については言及するまでもないことですが、生産活動によって発生する鋸屑、端材、皮屑等々をどう活用するか、工場が大きくなればなるほど頭を悩ます課題となります。一般的にあまり価値を見いだせないものには多額の設備費を投じることはできませんが、高い電力買い取り制度に裏付けされたバイオマス発電所設置による効果の大きさは容易に想像出来ますし、鹿島の成功事例を最大限活かしていると考えられます。

工場内
工場内

工場内を見学するとその広さと設備規模には驚かさせられますが、私が最も良いと思えたことは鋸屑の集塵方法がダクト集塵ではなく、床にベルトコンベアによる集塵方式を採用していることでした。

 これだけの広さの工場の清掃を少人数で行うとすれば、この方法が一番。

自社工場を毎日清掃していて「床に集塵設備があればどれだけ楽になるだろうか」と毎度呟いているからです。

 

他にも多くのことを学ぶことができました。詳しくは別の機会があればと思いますが、最後に一言。

 この工場の出現は、これからの国産材のモデル工場になると同時に既存路線の上で生きている同業者の私たちが将来に向けてどう活路開いていくのか、それを問う鋭い諸刃の剣に思えて仕方ありませんでした。自分自身、とても身の引き締まる見学研修となりました。大変ありがとうございました。

(有馬常務) 


今回、中国木材日向工場第一期完成披露会に出席、工場見学させていただき、まず最初に工場の規模の大きさに驚かされました。30万m2の広大な敷地に、原木ヤード、大径・小径製材工場、乾燥施設、加工養生棟、バイオマス発電ボイラーなどの施設があり、年間生産量は現在30万m3を予定、行く行くは50万m3を

予定しているとの事で、またさらに驚かされました。


製材工場は、リングバーカー2機を頭に、ツインソー、横バンド、エジャーを主に2ラインで生産を行っていました。ほぼ一方通行による製材のため、一つ一つの機械作業も単純化され、製品が溜まることなくスムーズに流れ、全体の処理能力は高いものだと思いました。

(製材部・森田リーダー)


私もお三方と同乗し、完成披露会に出席し工場見学させていただきました。同一敷地内で30万m3の原木を製材する工場という工場は日本で最大のものであり、その工場をこの機会に訪れることができとてもいい機会をいただきました。

 堀川社長が、「製材と木質バイオマス発電所が相性がいい」とおっしゃっていましたが、これほどの大規模製材であれば、まさにその通りだと感じました。小径~大径木まで山で伐採される全ての原木を受け入れると、目的別に分けるとは言え、歩留りは落ちると考えられます。その際の発生する端材やバーク、プレーナー屑等はこの規模の製材工場になれば相当な量になり、それらを自社の発電施設施設で活用するということは運搬コスト等も考慮すると非常に合理的だと考えられます。

 また、特に九州における林業の課題の1つに大径木の利用があります。直径30~40㎝を超える大径木はツインソーで製材できなかったり(一昔前は台車挽きだったため製材できていたが)、歩留りが落ちるため需要が少なく、価格が安くなる傾向がありました。そこで、並材ではあるが芯去り材の研究等行われてきましたが、大幅な需要の拡大にはつながっていないのが現状です。このような環境で、大径木の専用ラインができ、大径木の需要が伸びることはとても良い取組だと感じました。

                                      (西胤)