メールマガジン第21号>役員挨拶

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★役員からのメッセージ   常務取締役 有馬 宏美

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私どもの会社の正月は5月1日です。

先日5/2ブログで27年度の方針発表会の記事がアップされましたが、その中で私の所属する製材部も種々の目標に基づいて邁進していくことを確認致しました。

会社事業の中で源流に位置する製材部門は、製材品等の住宅資材、集成材用の原板、CLT用の原板、そしてツーバーフォー用の原板をそれぞれ関係する部署・お客様に安定的に供給する役割とその期待に十分に応える責任があります。

そのためには、いかにして工場の稼働率を向上させ、効率よくタイムリ-な供給を構築していくか、このことに全神経を集中させなければならないことは言うまでもないことでありましょう。


さて、2014年度の新設住宅着工戸数は88万戸と前年比で10.8%マイナスとなりました。

対前年比で下回ったのは、リ-マンショックの影響で落ち込んだ2009年以来となります。

また、木材業界にかかわる話題として、CLT、ツ-バイフォ-材の国産材化や木質バイオマス発電そして木材の海外輸出等があります。一見、これらの動向は木材需要拡大につながる大きな要素となって注目を集めておりますが、それぞれ単独に見るのではなく、ト-タルでみるとその影響力は計り知れず、間もなく各方面に広がりを見せることと思います。


因みに、肝付町から半径60km圏内で今年に入ってから、日南市にO社のバイオマス発電所、霧島市K社のバイオマス発電所の相次ぐ稼働開始、同じく霧島市内でさつまファインウッド様のツーバイフォー材工場稼働、そして輸出量第1位の志布志港からは、約18万m3の杉桧原木が韓国・中国・台湾へと輸出されています。大きな変化は、私たちの身の回り近くで起きています。

まさに、これまでの原木の消費構造から大量に消費・消化していくユ-ザ-に取って代わられていく、構造変化を目の当たりにしている状況です


一方、私ども製材工場のある町内並びに近隣に2つの原木市場があります。双方の年間取扱量を聞いてみますとそれ程減少していないということですが、月2度の市場入札に行きますと、それに見合う原木が置いてあるわけではないようです。市場を経由しない材の流れがあるのでしょうか。見た目の勘定が合いません。

また、これまで原木市場に出荷していた方々も有利販売をめざして、自動的に市場に原木を委託販売を依頼する形態から、なるべくユ-ザ-に近い業者へ販売する形態に変わる傾向にあり、実際表示されている単価の高さではなく、手元に残るお金が多くなる販売行動は至極当たり前の行動となっています。

このことは、1年前の駆け込み需要の影響が終わり新設住宅着工戸数の減少傾向が強まる中、製材品用途のA材需要の減退が生産側の行動をも一層変化させていく理由になっていると思われます。

【志布志港 丸太輸出材】
【志布志港 丸太輸出材】

 

木材のカスケード利用という言葉は、以前に習った記憶があります。

木材からは、いろいろな商品・産物が形を変えて作り出されます。まず割柱・鴨居等の化粧材や家具用材を取り出し、次に建築で見えないところに構造用材として使用し(A材利用)、小曲がり材・曲がり材は集成材用ラミナ、紙パルプやボード類の製造用として加工され(B材・C材利用)、そして最後に燃料用として木質バイオマス利用(D材利用)があります。

木材の使い方として良いものから順々に取っていって、最後まで余すことなく使い尽すことを木材のカスケ-ド利用と言われているそうです。

しかし、今やこの木材のカスケ-ド利用するための流通機構が崩壊するのではないか、私は危惧しています。伐期を迎えつつある杉原木の流通は、A材需要減退により市場で価格低迷の煽りを受け、よりB材・C材価格帯に近づくことになると、わざわざ利用料を支払ってまで市場で販売するよりは、生産する山から価格が安定しているB・C材需要用途に一気に無選別状態で送り込む形態に変化しつつあるのではと思われるからです。

 

資料:鹿児島県森林組合連合会 相場表から作成
資料:鹿児島県森林組合連合会 相場表から作成

手元に残すお金を多くする生産者の行動は否定されるものではありません。むしろ積極的に受け止め、これに応援していくことは当たり前のことと思いますし、恐らく自分も同じ行動をするでしょう。

問題は、価値あるA材から順次B・C・D材までを一緒くたに販売することで、それぞれの価値を活かすことができないことです。折角長い年月かけて成長してきた杉林。これを伐採し、生産するするならば、余すことなく利用し、また循環していく山にもどすことが大切である、誰もが思うことです。

そういった意味においても、また私どもの製材所がより安定的に工場を稼働させるためにも、もっと山側の人たちと交流し、情報交換はもちろんですが、それぞれが抱える課題点を共有し、一緒に解決していく行動を今後していきたいと思います。


今年より原木の受入方法として、3タイプで行うことになりました。

① 山側に近い中間土場状況

(大型トラックが出入りしやすい場所を選定) 

②市場を中間土場使用状況

(山と製材工場の中間地点にある)


③ 製材工場の原木選別機

ある素材業の方に、中間土場が出来たことにより、山での貯木の心配がなくなり、その日の生産をすぐ出せるようになったと先日お聞きしました。

(常務取締役 有馬 宏美)