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★【シリーズ】CLT(Cross Laminated Timber)(2)

       『CLTってどんな材料?』

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木材利用推進セミナーに参加して

建築・木構造関係の方であればご存知の方が多いと思いますが、先日依頼を受けて講師を担当したセミナーの参加者には、大手スーパーチェーンの方や食品業界の方など多業種の方がいらっしゃいました。CLTへの関心は建築業界に止まらないと再確認をしました。

ここで、ご存知かもしれませんが、簡単にイラストを使って CLTについて書いてみたいと思います。使用しているイラスト類は、先日全国7か所で開催されたセミナーのPPに使用されていたものを使用させていただきます。作成者名も記載してあります。

1.どんな材料?

・ひき板の層を各層で互いに直交するように積層接着したパネルです。

1990年代に欧州で開発され、8~10階建のマンションや、中・大規模の商業施設や公共施設、一般住宅まで様々な建築物が建てられています

・直交積層 ⇒高い寸法安定性

・厚みのある製品 (通常50~270mm程度) ⇒高い断熱、遮音、耐火性

・大判のパネル(欧州では、幅:3m×長さ:16m程度のサイズで製造)

⇒高い耐震性

 

2.他の木質材料と構成の比較

合板と同じく、層を直交させてつくるので 寸法安定性が高い材料です。

 

3.どんな性能を持つ材料?

もちろん、防耐火とか断熱など建物によって要求される性能に対しては、他の材料との組み合わせも必要とはなりますが、軽減はされると思います。

 

4.現在の取り組みについて

JASは既に施行され、当社含め、CLTのJAS認定工場は存在するのですが、

まだ基準強度や設計法の告示が制定されていない為、使用するには特殊な設計等が要求されます。多くの研究者、行政や関係団体が現在、CLTを一般の設計に使えるように、制定に向けて作業中です。

まず基準強度が決まれば、床材や屋根などの使用が出来るようになると思います。一日も早い告示の制定を待っている状況です。

 

5.海外の事例

多くのCLTのセミナーや説明会では、欧州諸国や北米の建設例が紹介されるのですが、今回は、先日建設されたばかりの台湾のCLT建築物の紹介をしたいと思います。

 

台湾視察へ

木構造関係の方は、よくご存知の京都大学名誉教授である小松幸平氏は、現在、台湾国立成功大学において木構造の教鞭をとられています。期間は平成26年8月までの為、いらっしゃる間に訪問をしたいという事と、台湾にもCLTの建物が建設されたという話を聞き、小松先生との再会とCLT建築物の視察を目的として平成26年6月24日~27日まで3泊4日の日程で佐々木社長と私を含め計4名で行ってきました。

CLT建築物以外の台湾視察については、佐々木社長が記事を書かれていますので、ここでは、建物の紹介のみとします。

建物情報

・物件名   SHIANG-YANG WOODTEK OFFICE BUILDING

・建設現場  台湾 台中市 后里区

・施主    SHIANG-YANG WOODTEK

・設計者 

  意匠 ?

  構造 EQ-Tec Engineering Ltd. EQUILIBRIUM.CONSALTING.INC

  構造 駿宏工程顧問有限公司

・施工    SHIANG-YANG WOODTEK

・材料・加工・施工指導  KLH

・規模・1階桁方向 15.12m 4階桁方向 21.303m

1階幅広い所で6m位~屋上幅9m位までオーバーハング部分が広がっている。

高さ5階床面まで 13.4m その上5階建屋の最高高さ 18.5m位の規模

※展示用においてあった図面を写真で撮ってきた程度の情報のため、部分的にしか寸法が判りませんでした。

 

KLHのCLTを使用して、台湾国内での木造建築物の拡販を目指す、SHIANG-YANG WOODTEK社の自社オフィスビルとして建設されています。

H26年1月より建設が開始され、私たちが視察に伺った時には、建て方も完了し、検査を待っているという状態でした。検査に合格後、仕上げ工事に入るということでした。 

台湾に行くまでは、4階建と聞いていたのですが、実際の建物は写真のように、屋上部分にも部屋が設けられた5階建でした。

事前に写真で知っていたとは言え、実際の建物のオーバーハングの迫力には、驚かされました。

1階の壁面から最上階端部(4階壁面)まで6mも跳ね出しており、一見不安定と思われたのですが、話を聞いてみると綿密な構造計算を行い、地震・風に対しても十分安全に設計されているとのことでした。

それにしても 目を引く建物です。CLTという壁材料としての強度と軽さがなければ、建てられない形状と思います。

 


それにしても、CLT先進国の設計、製造や加工技術には、驚かされます。

使われている金具類も、一般住宅用CLT金具は、見たことはあったのですが、それに比べるとサイズ・鋼板の厚さも大きく、ビス本数も多いのですが、規模に対しては簡易な金物で建てられています。CLT材面から かなり飛び出しているようですが、最終の仕上げで隠されるのでしょうか?仕上げ後にも見てみたいと思います。

 

基礎に取り付けられた金具

 上下階をつなぐホールダウン金物

 


視察者が多いのか、見学者用にKLHの資料や外壁モックアップが展示されています。写真だと読めませんが、データを拡大すると内容が読めます。

この建物ほど、大胆なものまでとは、言いませんが、日本でもこうした中高層の木造ビルが一日も早く建てられるよう、当社としては、まず材料の安定供給を確立すること! 日本CLT協会としては、告示の制定に向けての最大の協力と努力! 頑張りましょう!


室内
室内

 

「みんなでやらいや!CLT」

これは、8月22日~23日 東京ビックサイトで開催されるジャパン建材フェア(一社)日本CLT協会として出展・展示させていただくブースでの協会の合言葉だそうです。

この言葉を決めた 協会の某部長に「やらいや」ってどこの方言?と聞いたのですが、ご本人も知らないとのこと きっと気持が高揚して出てきた言葉なんでしょうね。

もちろんブースには、当社の材料も展示されます。

是非、会場に行かれた方は、その大きさにびっくりして下さい。

常務取締役技術本部長 塩﨑 征男