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2016/1~2016/12


2016年12月28日(水)日刊木材新聞より

◆民間事務所をCLTで建設

県内初で南九州産杉使用 福岡・大匠建設

 福岡県筑紫郡那珂川町に、同県初となるCLT建築物が建てられている。大匠建設(筑紫郡、井上真一社長)の2階建て事務所ビルで、鹿児島、宮崎両県を中心とした南九州産杉材を170立方㍍活用する。そのうちCLTの材積は160立方㍍ほどだ。断熱材を使わず床や壁、天井に現しでCLTパネルを使用していることなどが特徴となる。また梁や柱など一部に集成材を使用し、2階の事務室には集成材梁9.5㍍を飛ばしている。

 CLT工法の同事務所ビルは、延べ床面積は374.20平方㍍。一番大きな壁が高さ4000×幅2000×厚み150㍉で、同床は高さ4000×幅2000×厚み210㍉となる。燃えしろ設計で、準耐火構造だ。工期は11月1日から来年2月末までの予定。

 大匠建設は環境意識の高いビルダーで、昨年度のCLTを活用した建築物の実証事業の補助を受け、建築に取り組んだ。コストは補助金分を除けばRC造とほぼ同等としている。1階は会議室やショールームなどでの活用を想定し、2階は事務室として使う。施工は同社、設計はブルクが担当。木材の調達やCLT部材の加工、供給は山佐木材(鹿児島県肝属郡)が担った。

 九州では今年7月に、熊本県西原村(阿蘇郡)でCLTパネル工法の平屋建て簡易宿泊所が設置されるなど、各地でCLT建築物が建てられている。福岡県もCLTは新たな木材需要につながるとして、普及させていきたい考えだ。8月には山佐木材の担当者を講師に招き、福岡市内で講演会を開いた。県内にCLTのJASを取得する集成材メーカーはないものの、将来の福岡県産材による公共施設へのCLT活用も意識する。技術面などを含めた情報収集や発信を行っている。

 20日は福岡県が主催し、大匠建設の事務所ビルの構造見学会を開いた。県担当者や施工、設計者が同材普及に向けた流れや補助金関連、施工上の注意点などを説明。午前と午後に分けて行った見学会には、県内を中心に設計事務所や工務店、行政担当者など70人近くが参加した。


2016年11月1日(火)日刊木材新聞より

◆ボロンdeガードを開発

日本ボレイト

 日本ボレイト(東京都、浅葉健介社長)は、工場処理用のホウ酸木材劣化対策(防腐・防蟻)「ボロンdeガード」を開発し、日本木材保存協会から優良木材保存剤として認定された。

 ボロンdeガードは、工場処理用に特化し、取扱者にも安全で効果が長期間持続するホウ素系木材保存剤で、多様化する木造建築の工法に対応すべく開発した。

 今後は、ボロンdeガードをプレカット工場やパネル等を生産している工場に供給し、処理方法の指導を行い、確かなホウ酸処理を保証付きで提供していく方針だ。

 浅葉社長は「今回の商品をプレカット工場やパネル製造を行っている企業に提案し、処理装置などの設置のアドバイスなども含め、採用を増やしていく。現場処理用のホウさん木材劣化対策(防腐・防蟻)”ボロンdeガード工法”も全国展開しており、この分野とすみ分けて展開していきたい」と語る。

 現場作業となるボロンdeガード工法は、有資格者の処理が必要な責任施工であることや、長期保証があることで取り扱いを伸ばしている。工場処理用ボロンdeガードについても同様に資格制度の確立など、普及に向けた体制作りを図っていく。

 なお同社は、10月26日から開催されたジャパンホームショーに同商品を出展した。

 


2016年10月15日(土)日刊木材新聞より

◆木造3階建校舎に高い関心

50年生の学校林使い、一部にCLTも 山形・羽黒高等学校

 来年3月末に完成すれば我が国初の木造3階建て校舎となる羽黒高等学校新校舎(山形県鶴岡市、牧静雄校長)の現場見学会が5日、現地で開かれた。山形県をはじめ秋田県や宮城県などの自治体関係者、長野県や東京都などの設計事務所、木材・建材関係者ら主催者予定数を上回る140人が参加した。

 建設中の羽黒高等学校は木造の3階校舎で、延べ床面積は5481平方㍍。木造3階建て校舎では全国で初めてながら床面積も大きく、1時間準耐火構造となる。素材は50年超の学校林を選別した杉を優先利用して構造用集成材とし、主な構造部位に使っている。

 また、1階カフェテリア部の天井となる2階床には木造校舎では初めて採用されたと見られるCLT(直交集成板、150㍉厚、5プライ、幅2㍍、スパン2.5㍍)を見ることができる。

 同校舎の木構造部を担当するのは三井住商建材(東京都、植木啓之社長)。構造用集成材による2方向ラーメン構造(サミットHR工法)でこれまで数多くの建築物件を手掛けてきたが、CLTを利用するのは今回が初めて。設計監理は日本設計、施工は鶴岡建設。

 カフェテリアは通学バスを待つ学生らのターミナルの要素を加味したもので、オープンスペースとして利用するには天井部が高く、一枚板で仕上がるCLTのデザイン製を評価したものとなっている。

 見学者からは、CLTと構造用集成材利用の違いや優位性、建築物全体の価格・納期、燃え代設計や準耐火構造など専門的な質問が相次いだ。

 牧校長は「学生たちも先輩が植えた木材が生長し、その木材を使った校舎への期待が高く、来春の完成を心待ちにしている」と述べている。


2016年10月22日(土)日刊木材新聞より

◆杉CLT床が実物件採択の段階へ

6階建て木造の詳細検討も進む

超高層ビルに木材を使用する研究会総会・記念講演会

 超高層ビルに木材を使用する研究会(稲田達夫会長)は15日、福岡大学で第4期通常総会及び記念講演会を開催した。CLT床2時間耐火構造の大臣認定を取得(山佐木材、旭化成建材の共同)したことで、今後は実物件での採択に向け取り組んでいく。会員数も法人13、個人48と拡大している。

 総会では稲田会長があいさつし「設立して丸3年が経つが、当研究会をめぐる状況も当初と大きく変わってきた。実物件でCLT床活用に向けどう進めていくのか、身が引き締まる思いだ。支えてくださった皆様に感謝している」と話した。昨年度は林野庁委託事業「CLT等新たな製品・技術の開発・普及事業(木質耐火部材開発)」で中間報告会、また東京で研究成果報告会を開催し約150人が集まった。今年度も「都市の木質化に向けた新たな製品・技術の開発・普及委託事業」(事業責任者=山佐木材、諮問組織=同研究会)で、鋼構造オフィスの床にCLT等を使用するために必要な検討を行っていく。

 記念講演では中島史郎宇都宮大学地域デザイン科学部建築都市デザイン学科教授が、我が国における中層建築物の木造化に関する研究開発、海外の高層建築物の木造化事例などを紹介した。特に木造6階建てを実現するに当たり、通常より強い耐力壁の仕様や通しボルト(タイダウン金物)の設計などの概要を話した。服部浩治林野庁木材産業課木材製品技術室課長補佐は、木材需要拡大のため都市の木質化に向けた技術開発が必要とし、同研究会の取り組みの重要性を指摘した。

 パネルディスカッションには稲田会長、中島、服部の両講師、また麻生直木竹中工務店東京本店設計部構造部門部長、佐々木幸久山佐木材社長が登壇。鋼構造ビル床のCLT化について、防・耐火、建築コスト、CLTの可能性と課題、日本の林業の経営問題、高層ビルでの使用状況、先導的プロジェクトによる支援策などの課題を挙げ議論した。


2016年10月19日(水)日刊木材新聞より

◆CLT床2時間耐火認定を取得

木材の新たな需要分野広げる  山佐木材、旭化成建材

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)と旭化成建材(東京都、堺正光社長)は、共同で杉CLT(直交集成板)床2時間耐火構造の国土交通大臣認定を取得し、鋼構造オフィスビルなど実物件での採用に向け動き出した。同認定により床の階数制限を受けなくなり、採用による建築物の軽量化、躯体のコスト削減や工期短縮など、様々なメリットを提案できる。

 認定番号はFP120FL-0141。構造名は「軽量気泡コンクリートパネル・強化せっこうボード重上張/けい酸カルシウム板・強化せっこうボード3枚重下張/直交集成板造床」。仕様は杉CLTパネルの床上(上面)側の被覆材に軽量気泡コンクリートパネル(36ミリ厚、1枚張り)と強化石膏ボード(15ミリ厚、2枚張り)、天井(下面)側の被覆部は強化石膏ボード(15ミリ厚、3枚張り)、けい酸カルシウム板(15ミリ厚、1枚張り)となる。CLTはラミナの樹種が杉で、幅1100ミリ(±3ミリ)以上、厚さ150~500ミリ。接着剤(ラミナの積層方向及び幅方向の接着)は水性高分子イソシアネート。

 山佐木材はCLTの需要先として、住宅、非住宅の中・大規模木造建築はもちろんだが、非木造分野での活用を推進することが木材、国産材の新たな需要拡大につながると考えてきた。2013年に有志で設立した「超高層ビルに木材を使用する研究会」(稲田達夫会長=福岡大学工学部教授) で、オフィスなど鉄骨造建築に木材を利用するための検討を開始し、まずは床を最初の目標に定めた。

 実物件での採用にはCLTの床2時間耐火構造の大臣認定取得が必須条件になるため、13年度から林野庁委託事業を受託(事業責任者=山佐木材、諮問組織=超高層ビルに木材を使用する研究会)、鹿児島県からの助成を得るなどして各種確認試験を実施してきた。その後、性能評価試験を申請し、試験合格の結果、16年5月24日付で国土交通省から大臣認定を取得した。

 林野庁委託事業では16年度も「都市の木質化に向けた新たな製品・技術の開発・普及委託事業」などに採択されている。

 耐火構造が求められる非住宅・中大規模建築の床(木造・鉄骨問わず)にCLTを使用するために必要な検討を行い、今後も実物件の施工などを通じて施工性やコストの問題に取り組み、より合理的な床システムの構築、木材利用推進に寄与することを目指す考えだ。

 山佐木材では今後、杉CLTの量産体制構築も計画している。今年度末に着工、来年秋の本格操業を目指す。


CLT(直交集成板)床2時間耐火構造の大臣認定取得

 鋼構造オフィスビル等の床にCLTを使用することを検討するにあたり、防耐火の問題が第一の課題となっておりましたが、このたび2時間耐火について、旭化成建材(株)と大臣認定を平成28年5月24日付で共同取得し、いよいよ実物件への採用が可能となりましたことをご報告いたします。

 この仕様は、建築物の軽量化につながり、躯体のコストダウンや工期短縮など様々なメリットが考えられます。今後は更に施工性やコストの問題に取り組み、より木材利用の推進に貢献して参ります。

※仕様等の詳細は下記PDFにてご確認いただけます

ダウンロード
【プレスリリース】CLT床2時間耐火構造の大臣認定取得について
CLT床2時間耐火構造の大臣認定取得.pdf
PDFファイル 332.0 KB

「超高層ビルに木材を使用する研究会」第4回総会・記念講演会を行います

■日時:10月15日(土)13:00~会員受付開始、14:00~一般受付開始

■場所:福岡大学 工学部11号館 1階1111教室

■内容(予定):

(1)13:30~14:00 総会

(2)14:15~16:00 総会記念講演会

 <基調講演>「中高層建築物の木造・木質化の可能性」 中島 史郎氏(宇都宮大学地域デザイン科学部教授)

 <林野庁講演>「都市の木質化のための新たな技術の活用」 服部 浩治氏(林野庁木材産業課課長補佐)

(3)16:10~17:30 パネルディスカッション「鋼構造オフィスビル床のCLT化について」

<パネリスト>

稲田 達夫氏  福岡大学工学部教授(超高層ビルに木材を使用する研究会会長)

中島 史郎氏  宇都宮大学地域デザイン科学部教授

服部 浩治氏     林野庁木材産業課課長補佐

麻生 直木氏  (株)竹中工務店東京本店設計部構造部門部長

佐々木幸久氏  山佐木材(株)代表取締役社長

(4)18:00~20:00 懇親会(会費制) 福岡大学内「フォレスト」(中央図書館1階)を予定しております

■定員:80名  ※受付終了しました

■参加費:無料(懇親会5,000円)

■申込方法:下記PDFをダウンロードいただき、10/7(金)までに参加申込書を事務局へFAXしてください。

※研究会については研究会ホームページをご参照ください。新規会員も受付中です。(事務局:山佐木材・総務)

ダウンロード
【超高層木研】総会記念講演会のご案内(参加申込書一般用)
28総会記念講演会のご案内(一般).pdf
PDFファイル 233.0 KB

2016年9月22日(木)

◆工場稼動状況のお知らせ

9月20日午前0時頃に大隅半島に上陸した台風16号の影響で、停電が続き、9/20から9/21にかけて工場がストップしておりました。電話、FAX、メール等の連絡も出来ない状況で、ご迷惑、ご心配をお掛けし、誠に申し訳ございませんでした。

一部建物や設備に被害があったものの、従業員は全員ケガなく無事です。

9/21(水)14:00頃には電気が復旧し、9/22(木)より段階的に工場再開いたしました。 


2016年9月3日(土)日刊木材新聞より

◆資格制度で非住宅木造を確固たる需要に

文化財で集成材利用の必要性を提起 インタビュー

 今年度から日本集成材工業協同組合の理事長に佐々木幸久氏が就任した。同氏は山佐木材(鹿児島県肝属郡)で、日本初の杉大断面構造用集成材JAS認定を取得するなど、大・中型木造建築分野のパイオニアとして活動。早くから同建築の設計、施工体制構築の必要性を指摘するとともに、実践してきた。理事長就任後、既に3つの提案を行い、活発な活動を展開する同氏に話を聞いた。

 日本集成材工業協同組合の理事長に選任され、業界団体として取り組むべき3つの提案を行ったところ、会員からもおおむね賛同が得られ、ありがたく思っている。

 まず、1つ目は文化財などの復元、修復のための材料を集成材で供給できる体制を整備することだ。

 近年、城郭などの復元や修復が話題になっており、それ自体は地域創生のためにも歓迎すべきと思っている。だが、かつて使用されていたムクの大径高齢級材をそろえることは年々難しくなっており、資源不足から本当の銘木は相場が高騰し、価格も不透明になっている。

 一方、城郭の復元事例を見れば、RCで行われているところも多く、それを考えれば、例えば人工林広葉樹などを用いたサイズ自由度の高い集成材を利用していくことを考えるのも必要ではないか。

 そこで、日集協として林野庁や文化庁に木材利用ガイドライン制定を呼び掛けていく。このため、どういったサイズの集成材まで供給できるかといった仕様を提案する。今月には関係者が参加する研究会を開く予定だ。

 2つ目は、非住宅木造建築に対応した資格制度が創設できないかということだ。

 東京オリンピックでの木材利用が話題となるなか、大手ゼネコンなどは衆人環視のなかで木造建築を手掛けていくことに不安を感じている。受注しても、木材業界には鉄骨業界のような業者の格付けがなく、誰がどういった技術を持ち、施工ができるのか分からないためだ。これに対応し、安心して取り組んでもらえる環境づくりができれば、非住宅木造建築が将来、確固たる需要を獲得していけることにつながると思う。

 理想としては、現在ある職種の大工工事業と鋼構造物工事業の間に「木質構造工事業」を新設できないかと考えている。技術者は、例えば木質構造監理士1、2級、同構造施工士1、2級などとする。新しい工事種類の新設が難しければ、建物面積(例えば500平方㍍未満と以上)で大工工事業の区分を設ける方法もあると思う。この場合、建物面積の小さい住宅が木造建築のなかで「格下」的な受け止め方をされないよう配慮する必要がある。

 加工・施工図作成から、実際の加工、架設(組み上げ)までを専門職にして一貫して携わり、信頼性ある木質構造物の構築を手掛ける。また、加工能力、施工実績、技術者等に応じ、第三者機関による格付けを行うことも視野に入れるべきだろう。

 3つ目は、大・中型木造建築では特注サイズの構造用集成材を使うことが一般化しているが、部分的でも標準化が図れないかということだ。ある程度の標準サイズ(10種類程度に限定)、共通価格を設定しておけば、各工場が在庫を持ち納期短縮などにつながる。お互いに融通しあうこともできると思っている。

 そして、これらすべてにおいて重要になるのは人材の育成だ。日集協だけでなく他団体にも呼び掛け、建築と木材業界をつなげられる高い知識を持った講師を集め、次代の担い手育成を進めていくことができないかと考えている。


2016年9月3日(土)南日本新聞より

◆新建材CLT視察相次ぐ

中高層木造建築活用に期待 肝付・山佐木材

 大規模木造建築を可能にする直交集成板(CLT)と呼ばれる新しい建材が注目を集めている。製造工場を持つ山佐木材(肝付町)には、県内外から建設会社、設計事務所の視察が相次ぐ。需要の増加を見越して、山佐木材は新工場の建設を計画している。

 CLTは、板の繊維の向きが交差するよう何層も重ねて接着した木製パネルで、通常のパネルより強度が増すのが特徴。一般住宅向けではなく、マンションやオフィスビルなど中高層建築での活用が期待されている。2020年の東京五輪メイン会場となる新国立競技場にも一部使われる予定で、政府はCLTの普及で国産材の利用を増やし林業の活性化につなげたい考えだ。

 ただ、新しい建材だけに、これまでは実験データに基づく詳細な構造計算書を建物ごとに提出して国土交通大臣の認定を受ける必要があった。山佐木材の施工実績も県外の7棟にとどまっていた。国交省は今春、強度基準などをまとめ、基準に沿えば認定が不要になった。

 手続きが簡素化されたことに加え、CLTの日本農林規格(JAS)を満たす認定工場が全国に5社と少ないことから山佐木材に視察が急増。佐々木幸久社長は「行政、商社含め月約20件は見学がある」と話す。

 8月末に訪れた大手ゼネコン幹部は、具体的な建築構想は未定としながらも「3、4階建てのオフィス事務所が建ち始めており、乗り遅れるわけにはいかない。今後、中高層ビルにCLTを使う流れになる」と予想する。同じ日には、日本の技術を学ぼうと、ベトナム最大の木材団体「HAWA木材加工協会」の一行11人も訪れ、工場などを見学した。

 山佐木材は14年にCLT工場を建設。年間4千立方㍍を製造して建設会社などに販売している。施工数が少なく、木材を多用するため、一般的な建材より単価は2割前後高くなるが引き合いは強く、年産1万立方㍍の新工場を17年秋までに建設する計画だ。

 佐々木社長は「床や壁、屋根にはCLTを、はりや柱には一般の集成材を使うなど、双方の特徴を組み合わせることで普及していけばいい」と話している。                                        

 (小野智弘)


2016年9月1日(木)日刊木材新聞より

◆CLT普及に向けて講演

県産材シェア倍増事業の一環 福岡県の木質化推進セミナー

 福岡県はこのほど、福岡市の県福岡西総合庁舎で第3回木造・木質化推進セミナーを開いた。設計事務所や工務店、県内の市町村担当者、大学などから70人以上が参加した。福岡県の県産材シェア倍増対策事業の一環で、村田忠山佐木材CLT部長が「CLT建築の普及に向けて」と題して講演した。

 村田氏は日本での普及に向けた議題として、建築面では法整備や試験データを蓄積していくこと、設計者や施工業者など技術者を養成することを挙げた。その他では施工性の向上や工期の短縮化、RC造などと比較した際の建築コストの検証を図ること、遮音性能や耐久性能の向上を説明した。

 将来的に、RC造やS造程度まで坪当たりの単価を下げる必要もある。供給面の課題では納期や物流、品質、価格の安定化という面で、他の建築材料と遜色のない供給体制を作ることを挙げた。製材メーカーやプレカットなど同業社との連携やパネルサイズや加工形状の規格化、カラ松や桧など樹種追加のためのデータ収集、国産加工機の性能向上も求められる。

 また海外での、CLT活用事例を紹介。欧州では、CLTが戸建て住宅はもちろん、大規模商業施設や8~10階建て集合住宅など多様な使われ方をしていることを説明した。木材利用の新しい方向性としては、非住宅建物の床の木質化を進めることで、1000万立方㍍超の木材市場の拡大につながると話した。

 講演後は、県担当者が木造建築における福岡県産材利用について、建築コストを中心に説明した。一般流通材を活用することが、費用削減につながると話した。


2016年8月20日(土)放送

◆MBC「ふるさとかごしま」で山佐木材が紹介されました

企業とともに、オンリーワンのモノづくり~県工業技術センター~

8月20日(土)放送のMBC南日本放送「ふるさとかごしま」で山佐木材の取り組みが紹介されました。

7分23秒頃から山佐木材が出てきます

鹿児島県工業技術センター様に技術支援いただいたのは「木材断面形状計測システム」という画像処理システムの開発です。丸太から板材を切り出す製材工程において、木材の断面形状や大きさをカメラ画像をもとに測定することができるようになりました。 

 

<効果>

■丸太の仕分け作業が不要に

■丸太置き場の縮小

■板材の歩留まりの向上

■新人オペレーターでも操作が可能に

画像処理のモニター画面
画像処理のモニター画面


2016年8月10日(水)日刊木材新聞より

◆非木造での活用に可能性

RCビルの耐震補強資材に

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)は2014年6月に杉CLTのJAS認定を取得した。同社はCLTにより非木造需要の開拓を進めることで、「木材需要全体の拡大を目指す」(佐々木社長)考えを持っている。

 同社で生産可能なCLTサイズは、厚さ36~450×幅1000~2000×長さ500~4000㍉。構成は異等級及び同一等級。強度等級は3層3プライ、5層5プライ、7層7プライ、9層9プライ、5層7プライなど。種別はA、B種で、接着剤もレゾルシノール・フェノールと水性ビニルウレタンに対応する。同社は幅はぎ(接着)を行っているが、JAS認定についてはメリットが感じられず保留している。ただ面内せん断力が上がることなどから、ユーザー、使い方などによっては評価を得ている。年間生産量は今年度2000立方㍍を目標にしている。

 同社は当面、2、4㍍など小判を中心に生産し、既存材料との共存を目指していく。住宅では一部の耐力壁など、オフィス・商業施設などでは集成材との併用、RCビルなどでは床、壁での利用など。直近で可能性のある分野として木造はもちろん、RCやS造などでの耐震補強用資材としての利用がある。既に採用例が出ており、高い強度、施工の容易さなどが優位点だ。

 RC高層ビルの床スラブに杉CLTを活用する取り組みでは、林野庁の採択事業などを受け、既に各種実験、設計などを進めている。5月にはCLT床耐火2時間構造認定を取得。実物件での採用に向けて前進した。コスト削減のできる使い方を検討している。

 一方、CLTの増産に向けて、地元の曽於地区森林組合と原木供給協定を結んだ。国産材需要拡大につなげるという考え方を具現化した例になる。


2016年6月24日(金)

◆平成28年度林野庁委託事業を受託しました

平成25年度補正、平成26年度、平成27年度に引き続き、平成28年度林野庁委託事業を6月24日付で受託しました。

・事業名「都市の木質化に向けた新たな製品・技術の開発・普及委託事業(木質耐火部材開発)」

本事業の目的である「鋼構造オフィスビル床のCLT化」の技術開発を実施工可能なレベルにまで引き上げるため検討・分析を行っていきます。

 

◇平成27年度林野庁委託事業の成果報告書はこちらからダウンロードいただけます 

ダウンロード
H27年度CLT等新たな製品・技術の開発・普及事業(木質耐火部材開発)成果報告書
PDFファイル 53.3 MB
ダウンロード
耐火試験報告書(別冊).pdf
PDFファイル 22.4 MB


2016年5月31日(火)

◆平成27年度林野庁委託事業の概要と成果報告書を掲載しました

CLT等新たな製品・技術の開発・普及事業(木質耐火部材開発)

ダウンロード
事業成果概要
(H27耐火)事業成果概要.pdf
PDFファイル 268.1 KB
ダウンロード
成果報告書
H27年度CLT等新たな製品・技術の開発・普及事業(木質耐火部材開発)成果報告書
PDFファイル 72.1 MB


2016年6月1日(水)日刊木材新聞より

◆CLT増産へ設備投資計画

3次元加工機、FJ、プレスなど

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)は、CLTの2015年度までの累計生産量が1000立方㍍となった。CLTのJAS認定取得やCLTの関連告示の交付などで今期は2000立方㍍の生産を見込む。17年度以降は現在の生産設備では対応できないことが予想されることからCLT加工棟を建設し、3次元加工機、フィンガージョインター、プレスの増設などを検討している。

 同社は大断面集成材などの製造に加え、新たな木造需要の拡大に向けて杉2×4材を製材するさつまファインウッドへの出資やCLT、SAMURAI(鉄筋補強集成材)などの開発を進めている。

 CLTも超高層ビルに木材を使用する研究会(会長=稲田達夫福岡大学教授)と協力して超高層ビルの床にCLTを使用する目標を立て、CLT床による2時間耐火の認定に向けて性能評価を終えている。SAMURAI集成材も異素材集成材として構造材で使用できるよう評価機関での検討を進めている。

 「18年度に商品化できるよう取り組んでいる。材料単価は上がるが、材積を減らせるのでトータルでは25%くらいのコスト削減につながる」(佐々木社長)。

 CLTについても九州・四国地区での公共物件などの需要が見込まれるため、3次元加工機、フィンガージョインターなどの設備投資を計画している。加工棟はSAMURAI集成材とCLTの複合構造で個別大臣認定を取得して建設する計画だ。


2016年5月28日(土)日刊木材新聞より

◆新理事長に佐々木幸久氏

引続き研究、ニーズの開発など進める 日本集成材工業協同組合

 日本集成材工業協同組合(東京都、貝本冨作理事長)は20日、第45回通常総会を開いた。JAS格付け等による品質性能の向上や流通集成材製品の買い上げによる自主的な強度調査等による品質性能の確保・向上などを盛り込んだ2016年度事業計画に加え、役員改選で佐々木幸久氏(山佐木材)が新理事長に選任された。

 会に先駆け貝本理事長は「集成材市場は、昨年度は需給調整を強いられ厳しい環境だった。そのなかでJAS格付け等による品質性能の向上や流通集成材製品の買い上げによる自主的な強度調査等を行い、品質の高い集成材を組合を通じて広めていけたことで、市場での信頼が高まっただろう。今後も信頼性の高い製品を供給していくことが必要だ」と語った。

 佐々木新理事長は「住宅着工数の減少などにより集成材需要の見通しは厳しいものの、木造建築物を推奨する流れから新しい需要が生まれている。このような新たなニーズに集成材需要が応えていけるように、引き続き研究、ニーズの開発などを進めていきたい」と意気込みを語った。

◇人事(新任のみ)

▽理事長=佐々木幸久(山佐木材) ▽副理事長=齋藤廣(齋藤木材工業)


2016年5月10日(火)日刊木材新聞より

◆FSC、SGECのCOC認証取得

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)が、4月25日付でFSC、SGECのCOC認証を取得した。製材、集成材、CLT、建設の各部で、両団体の森林認証材の利用及び生産、流通、加工への対応が可能になる。

 同社は杉など地域材の構造用集成材などを活用した大・中型木造建築のパイオニア企業。昨年には杉CLTのJAS認定も取得済みで、同分野でも既に出荷を開始している。

 FSC認証番号はSGSHK-COC-350036、SGECはSGSJP-W026。認証書期限は2021年4月24日まで。


2016年4月28日(木)日刊木材新聞より

◆CLT使用のモデルハウス完成

設計・技術・施工の各面を検証

 阿部建設(名古屋市、阿部一雄社長)は22日、同市守山区の大森エコタウン内にCLTを利用したモデルハウス「手しごとの家」をオープンした。林野庁の森林整備加速化・林業再生事業(CLT等新製品・新技術実証・展示加速化事業)の補助を受けたもので、今秋以降に宿泊体験館として運用する方針だ。

 モデルハウスは、木造軸組工法による2階建て(延べ床面積約162平方㍍)で、壁や床には長さ3000×幅1000×厚36㍉の国産杉製JAS認定CLTを合計109枚使用している。非住宅物件に対応するため階高を高く設計し、自然素材やCLTの耐力壁の採用などで木の質感あふれる堅牢な建物となっている。

 同社ではCLT利用について、NPO法人WOOD ACや岐阜県立森林アカデミー等と連携して木造軸組工法用のCLTによる耐力壁や水平構面の構造試験を実施し、各標準仕様を決定して設計・施工要領書を整備。今回モデルハウス建築を通じて設計・技術・施工の検証を行い、耐力壁の総数を減らすことができる点、一般的な施工方法で建築が可能な点、間柱の省略で空間を有効活用できる点などを評価した。また、CLTの採用で断熱性・遮音性・耐火性が確保でき、パシッブ機能や省・創エネ設備との組み合わせでゼロエネ使用を実現した。

 阿部社長は今後、「中・大規模建物への活用や地域材によるCLTの採用で、地産地消への貢献を進めていきたい」と話している。


2016年4月25日(月)プレスリリース

森林認証FSC®とSGECのCoC認証(加工・流通の認証)を取得しました

森林認証・ラベリングは、独立した第三者機関が一定の基準等を基に、適切な森林経営が行われている森林又は経営組織などを認証し、それらの森林から生産された木材・木材製品へラベルを貼り付けることにより、消費者の選択的な購買を通じて、責任ある森林経営を支援する取り組みです。

ラベリングした木材・木材製品の流通のために、流通に関与する者は消費者の手元に届くまでの各段階において、認証された森林からの木材・木材製品をそれ以外のものとは区別して取り扱う体制になっていることを認証されること(Chain of Custody認証:CoC認証)が必要です。

林野庁ホームページより

認証された森林から消費者の手に届くまでの木材・木材製品の流れ

認証機関により認証された森林 → CoC認証を取得した流通・加工業者 → 消費者

 

認証機関

FSC® (Forest Stewardship Council® (森林管理協議会)) リンク

SGEC (Sustainable Green Ecosystem Council (緑の循環認証会議)) リンク

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プレスリリース
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2016年4月23日(土)日刊木材新聞より

◆耐震性確保し工期を短縮

CLT使用で板倉構法の施設

 宗教法人大本が静岡県富士市内で建設を進めていた木造平屋の「静岡分苑」(神道の社殿)がこのほど完成し、14、15日に完成見学会が行われた。国産杉製のCLTパネルによる落とし込み構法を採用しており、伝統的な板倉構法を最新の部材で実現した点が注目された。

 同物件は、昨年度の林野庁補助事業「CLT建築等新たな製品・技術を活用した建築物の実証事業」に採択された。敷地面積約318平方㍍に木造平屋建て(床面積約290平方㍍)の構成で、柱と柱の間に厚い板材を落とし込んで壁を作る板倉構法にCLTパネルを組み合わせているのが特徴。意匠設計はLLPテイクス、構造設計は福山弘構造デザイン、施工は菊池建設、木材供給は影山木材、CLTパネル供給は山佐木材が担当。実大壁試験はストローグが実施し、事前に耐震強度を確認した。

 耐力壁となる落とし込み板のCLTには60㍉厚(3層3プライ)の製品が合計22立方㍍使用され、高い耐震性と断熱性を確保。そのまま内・外装の化粧材になっており、木造施設としての美観を高めている。このほか構造材の柱・土台に静岡県産の桧を、梁等に米松を使用。建物中央の祭壇の部屋には桧の無地材が全面使用され、壮麗な空間となっている。

 構造設計を担当した福山氏は「CLTを使うことで施工性が向上し、木造の神殿としての景観も十分なものになった」と指摘。工期もこの規模の施設で2カ月という短期間で終え、コスト削減効果も大きいとした。

 


2016年4月20日(水)日刊木材新聞より

◆非住宅から非木造分野へ

床板でコンクリート代替

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)は、杉大断面構造用集成材で非住宅木造建築の需要を切り開いてきた。今後はCLTで非木造建築での木材需要創出に取り組んでいく。特に木材、国産材の新たな需要につながる構造用面材に力を入れ、RC、S造建築物の床板(スラブ)でコンクリート代替として、杉集成材厚板床パネルや杉CLTの採用を目指す。

 同社の構造用集成材事業は、中・大型木造物件向けの構造材生産、また設計、建て方などを含め、受注生産が中心になっている。JAS認定は、大・中・小断面、杉+米松異樹種、構造用面材、CLTなどで取得している。昨今では、杉構造用集成材の材長(繊維)方向に鉄筋を挿入しヤング係数と曲げ強度を飛躍的に高めたSAMURAI集成材の開発・普及を支援している。もちろんビルダー向けの杉集成管柱、桧集成土台なども手掛けるが、やはり顧客の要望にあわせた特注対応品だ。一方、関連事業体の協同組合きもつき木材高次加工センター(肝属郡)では杉KD構造、羽柄材なども生産・販売している。

 杉CLTの生産能力は年間4000立方㍍。将来は製造ラインを集約して(下住工場)量産体制を整備する考えだ。同社は杉CLTの用途として木造施設、ビルなどの構造用だけでなく、非木造建築の床板などでの使用を重視している。従来の構造用集成材で対応できる部分ではなく、新しい木材需要として捉えているためだ。さきには耐火被覆型CLTで床の2時間耐火構造の性能評価に合格(建材試験センター)。今後は、建材メーカーと共同で2時間耐火構造の大臣認定申請を行っていく。既に鉄骨造5階建てビルの床にCLTを採用する計画もある。

 


2016年4月19日(火)日刊木材新聞より

◆ストラクチュラムプロダクツがCLT供給

18階建て木造ビルで

 来年7月に、カナダBC州に18階建ての木造建築が完成の見込みだ。ブリティッシュコロンビア大学の学生寮で、学生の居室は404室。建物の高さは53㍍、延べ床面積は1万5000平方㍍の規模で、1階がRC造、2階から18階は木造。建築時には世界最大の木造建築となる見通し。

 構造躯体(柱は集成材、床、屋根はCLT)を供給したのはカナダの集成材・CLTメーカーのストラクチュラムプロダクツ。同社のコリン・チョルノハウス、海外販売マネージャーは来日の際、その概要について次のように解説した。

 柱には400㍉角の集成材を利用、床には5プライのCLTが使われ、材質は米松やSPFを使用した。同社のCLTは「クロスラム」のブランドで販売しており、サイズは、3、5、7、9層で、幅10フィート、長さは40フィート。SPFを利用する場合に一般的にはNO.2材を使用するが、強度が必要とされる部位には場合によってMSRを使い、サイズ、強度表を元に、どの部位にどの材を使うかを使い分けるという。

 なお、2つのエレベーターがあり、シャフトが縦方向の力を受け止める構造となる。

 コリン氏は「CLTを利用した建築物は環境に優しくコンクリートより軽量で、かつ、モジュラー材で組み立てるだけなので、工期も短縮できる」とCLT建築のメリットを強調した。

 5月からCLTの供給を始め、来年7月の完成予定。学生は8月から入居する。

 


2016年4月19日(火)日刊木材新聞より

◆CLT2階建て実験棟完成

 日本CLT協会が建設していたCLT2階建ての実験棟が茨城県つくば市の建築研究所敷地内に完成し、このほど見学会が行われた。視察者は400人を超え、CLTへの業界の関心の高さがうかがえるものとなった。今後、協会では、建築研究所と共同で、CLT建築の耐久性や施工性、居住性などについて検証していく。

 実験棟は、先だって完成見学会が行われた、同敷地内の2×4の6階建て実大実験棟とともに、14年度の木造建築技術先導事業に選択された案件。

 実験棟「CoCoCLT」はCLTパネル工法により建設された2階建て(ロフト付き)で、構造計算は保有水平耐力計算で行われた。述べ床面積188平方㍍、最高高さは9㍍弱。使用材積は杉材94.14立方㍍。

 意匠設計は青島啓太十芝浦工業第宅赤堀忍研究所、構造計算は岡本建築設計事務所、施工は木村建造、CLTパネルの製造は銘建工業が、パネルプレカットはスカイが行った。

 パネルは、壁に108枚(3層3プライ、5層5プライ、厚さは90㍉と150㍉の2種)、床に計28枚(5層7プライ、7層7プライ、厚さ210㍉)、屋根(5層5プライ、厚さ150㍉)の杉CLTパネル、計136枚が使われている。つなぎ梁にはRウッド集成材が使用された。金物はU字型接続金物を採用しボルトで緊結している。

 建物はメーターモジュールで設計されており、搬送や建て方の効率を考慮して幅1㍍の壁パネルを使用した。これによりCLTパネルの歩留まり8割以上を達成できたという。

 設計特徴の一つが6㍍の通し壁を利用した開放感のある室内空間だ。国内で生産可能な6×2㍍の大判パネルの特徴を生かし、6㍍長のCLTによる高天井空間をCの字をずらして組み合わせる形とすることで、高い吹き抜けのある一体空間を実現した。

 もう一つの特徴は、南側テラス部分の3㍍跳ね出しの片持ちバルコニー。バルコニー分部屋を広く取れるのはCLTの特徴の一つ。バルコニー下をガレージにしたり、間接照明を付けたりして開放感のあるピロティ空間として活用できる。今後、バルコニー部分の床のたわみに関するクリープ試験を行っていく。内装はCLT現しとし、杉の香りのする空間となっている。

 施工は2015年11月に始まり、完成は16年3月。躯体の施工期間は約8日、建て方から仕上げまでは3カ月だった。施工では、外部足場を屋根の高さまで先行して立ち上げ、内部の作業は脚立を使って行った。建て方は13㌧ラフタークレーンを用いた。クレーンにカメラを設置し、作業の工程をカメラで記録し、パネルごとに作業人数、作業時間を継続した。

 施工面で難しかったのは、アンカーボルトを先行して設置してから基礎配筋を行うため、微調整が行いにくい点だったという。

 今後は、HEAT20新G1グレードを満たすよう外皮性能を計算し、断熱材の使用を選定する。また、金物にはセンサーを取り付けて熱損失を計算し、結露の可能性を検証する。屋根は陸屋根で防水施工を行っているが、今後の雨水の脱湿挙動について経過観察する。各部位の雨仕舞や劣化状況、CLT床の遮音、歩行振動、外壁CLT面塗装の評価、解体後の材の活用などについても評価を行っていく。

 日本CLT協会会長の中島氏は「実験棟では、6㍍長のパネルと跳ね出し3㍍のバルコニー、CLT現しの構造など見所は多い。今年がまさにCLT元年になるだろう」と今後の市場拡大に期待を寄せた。

 式典には元国土交通大臣の前田武志参議院議員はじめ、数人の国会議員が参加し、政界のCLTへの関心の高さを裏付けた。

 


2016年3月25日(金)日刊木材新聞より

◆CLT落とし込み板壁に

靱性あるコネクタを採用

  福山弘構造デザイン(東京都、福山弘代表)は、大本静岡分煙の建設に当たり、伝統的な落とし込み板壁による木造建築からいた壁の代わりにCLTを使うことを考え、施主の了解の下、設計を進めてきた。CLTが構造的に強いため、柱頭・柱脚部に強い引き抜き力が掛かることから、接合部に靱性を持たせることを考えてストローグ(富山県滑川市、大倉憲峰社長)で実大壁試験を実施、性能検証を行った。

 同建物は宗教法人の施設として静岡県富士市に建設されているもので、落とし込み板壁工法による内外現しの耐力壁を使用することを想定して計画されていた。CLTという大きな厚い幅広の板が普及してくると福山氏は予想、落とし込み板壁をCLTで置き換えられると考えた。

 通常の板壁だと壁倍率0.6倍のところをCLT3層3プライ60㍉の幅はぎ接着ありのタイプの杉CLTをFJなしで使用できる3㍍のサイズで、外装ラミナが縦になるように使用することを考えた。さらに雨仕舞を考えて、雨水が壁体内に入っても水はけが良いように設計した。

 また、CLTが強すぎると接合部への引き抜き力が強くなることから、60㍉のCLTを使い、柱頭部の接合にはストローグのHSS系のコネクタに靱性を持たせたタイプを使用した。試験の結果、壁倍率1.3倍相当の込み栓を使ったものと、同3.0倍使用のCLT壁を採用した。

 木造平屋建て述べ床面積329.80平方㍍で4号建築物に当たるが、許容応力度を計算して建設した。試算では落とし込み板壁よりCLTのほうがコスト的に安くなる。住木センターのCLT等活用に向けた実証事業にも採択された。

 


2016年3月25日(金)日刊木材新聞より

◆RC並みの構造性能

鉄筋補強杉集成材で

 SAMURAI集成材は、杉構造用集成材の材長(繊維)方向に鉄筋を挿入することで、ヤング係数と曲げ強度を飛躍的に高めたハイブリッド部材だ。同材を使用した講法を用いれば、RC造やS造と同等以上の構造性能を持った、従来にない木質ラーメン構造を実現できる可能性がある。

 開発を進めている鹿児島大学大学院理工学研究科の塩屋晋一教授はRC構造の研究が専門だが、コンクリートの部分に木材を使用するとどうなるかを確認した。その結果、杉を活用した場合でも、木材と鉄の長所が組み合わさりRCと同等以上の性能を持つ可能性が示された。構造材としての性能や接合部などの試験、実際の建築物での利用などでは山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)が協力している。

 梁材として使用した場合、Rウッド、米松など一般の構造用集成材と比較して曲げ剛性・強度が約3倍になった。また鉄筋がクリープ変形を抑制することで、同じ荷重に対して梁せいを半分強まで小さくすることができる。RC部材と比較しても重量に対する曲げ剛性比では約25倍の性能がある。

 山佐木材下住工場内には、同材を柱、梁に用いた構法で試験棟が建築され、製品倉庫として使用されている。18㍍のスパンを飛ばしたが、梁中央のたわみはクリープ変形後でも14㍉の見込みだ。

 SAMURAI集成材を活用することで、杉のみでも大スパン構成を含めた柔軟性の高い設計の木造建築物実現に期待が掛かる。今後の大規模木造建築や中規模ビルで同材とCLTを併用することも考えられる。

 


2016年3月24日(木)日刊木材新聞より

◆杉CLT耐震壁の実物大試験

10階建て防災拠点庁舎

 宮崎県は、県産杉材CLTを活用した県防災拠点庁舎の建設計画で、22~25日の4日間、建材試験センター(山口県山陽小野田市)でCLT耐震壁の実物大試験を行う。同庁舎に使用するCLT耐震壁は7層7プライで高さ2.6㍍、幅1.8㍍、厚さ21㌢。CLT活用は、設計業者からの提案を受け検討を開始した。県担当者は「10階建て高層建築物の耐震壁にCLTを使うのは全国初だろう。新庁舎に使用することでCLTの普及促進につながり、県内の林業振興にも期待が持てる」と話す。

 新庁舎は地上10階、地下1階建て、地下と移設させる5号館を含め延べ面積2万4800平方㍍となる。鉄骨造に一部鉄筋コンクリートとし、4~9階にはCLT耐震壁を採用する。使用する県産杉は、製品ベースで180~190立方㍍ほどになる見込み。耐震壁以外にも、1階エントランス部分を中心に、内装の木質化を検討する。

 今回のCLT試験体は山佐木材(鹿児島県肝属郡)製で、県から同社に製造を委託した。実際の新庁舎に使われるCLT加工や県産材の供給もとは、まだ決定していない。実物大試験に先立ち、宮崎県木材利用技術センター(都城市)による、めり込み、面外せん断試験などが既に終了している。同試験には、ウッドエナジー協同組合(宮崎県日南市)がCLT素材を提供した。

 新庁舎は、災害時の防災拠点としての機能性の確保を最優先に、県庁舎としての基本的性能も考慮して整備する。耐震性の確保のため、1階床下に免震装備を配置する。3~7階は災害時の応急対策活動場として、危機管理防災センターと位置付ける。設計は山下設計、岩切設計、ごとう計画・設計によるJV。現在、3、4、5号館の各庁舎などが立地している敷地を整備して建設する。

 2017年10月に着工し、19年9月末の完成予定だ。今年1月、基本設計案が公表されている。

 


2016年3月18日(金)日刊木材新聞より

◆CLTの可能性を討論

接合部や設計法、耐久性が話題に

 日本住宅・木材技術センターは木構造振興との共催で9日、東京都内で「CLTの可能性~普及への課題と展望」と題した講演会を開いた。2015年度の林野庁補助事業「CLT建築等新たな製品・技術を活用した建築物の実証事業」の成果として5件の報告を行い、学識経験者らを交えてパネルディスカッションを行った。

 CLTの基準強度などを定める告示が4月にも公布される見通しで、香月英伸林野庁木材製品技術室長は「時宜を得た企画になった。CLTの大型工場も稼働する予定で、欧米のCLTと国際価格で競争できるよう各地での工場整備を期待している」とあいさつ。澁谷浩一国土交通省木造住宅振興室長は、「国土交通省では基準類の整備を進め、通常の建築確認で建てられるよう告示の4月制定を目指している」と話した。

 実証事業の成果報告では、塩崎征男山佐木材常務が自社工場をCLTと鉄筋挿入集成材「SAMURAI」を使って建築するための構造実験の結果などを説明した。

 福山弘福山構造デザイン代表は大本静岡分苑新築工事で落とし込み板壁の代わりにCLTを使うことを考え、板壁ユニットをCLTに置き換えることを検討。コスト面でもCLTの方が安価になるため4号建築物として取り組んだとし、CLTありきの計画ではないことを示した。

 松尾和午三井ホームコンポーネント技術部長は2×4工法で建てた埼玉工場の事務所で非構造用として1・2階の床、天井、外壁などにCLTを使用し、床パネルとしての施工性や断熱材と現し仕上げ材を兼ねた素材としての効果を検証する。断熱性能については2日間の実測で、断熱材なしでCLT90㍉を外壁に張った仕様と通常の2×4工法の外壁とを比べた結果、CLT外壁仕様の方が夜間の室温低下が少なかったことを報告した。

 内海彩KUS一級建築士事務所代表取締役は神戸で建設中のCLTカフェについて紹介した。工務店が在庫していたCLTを再利用し、延べ床面積41平方㍍の小さな建物を海岸沿いの堤防を挟んで建てることになり、「縞々の断面を生かした設計としてずらして重ねることを考えた」。大判LVLから1200×6000㍉の階段状の梁を作り、そこにCLTを乗せていく手法を取った。

 疋田慎二氏(ウッドワン住宅営業部)は自社のB種LVL(直交層を設けたLVL=LVB)とCLTを組み合わせたマシッブホルツを使ったショールームの計画を解説した。2階床にCLTを使い、上下階の壁にB種LVLではさみグスクリューボルト(LSB)とABRで接合、LSBの脆性破壊を確保することを検討している。鋼材の性能のばらつきを理解して設計することの重要性にも触れた。

 パネルディスカッションは坂元功東京大学名誉教授をコーディネーターに行われた。河合直人工学院大学教授は、CLTを柱-梁の軸組に組み込んで使うと接合部から破壊する可能性を指摘した。福山市は、大本静岡分苑の設計は落とし込み板壁をCLTに置き換えたもので、薄いCLTを壁倍率1.3倍で使い、外観を生かしたことや、水抜きを考えてCLTの方向を決めたことなどを説明した。

 有馬孝禮東京大学名誉教授は木材の断熱性能について、平衡状態での木材の熱伝導率に目が行きがちだが、CLTを躯体に石膏ボードで仕上げたものとRC造で石膏ボード仕上げしたものでは蓄熱を含めて温熱環境に違いがあるはずとの考え方を示した。また、CLTの木口の処理など耐久性の課題に向けて液体ガラスを使用した例なども報告された。

 


2016年3月5日(土)日刊木材新聞より

◆CLT床で2時間耐火性能評価に合格

1棟目の建設に向け検討

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)は3日、東京・新木場の木材会館で「鋼構造オフィスビル床のCLT化」研究成果報告会を開き、耐火被覆型CLTで床の2時間耐火構造の性能評価に合格したことと、鉄骨造ビルの床にCLTを使用する計画が進んでいることを明らかにした。今後は同社と建材メーカーの共同で2時間耐火構造の大臣認定申請を行っていく方針だ。

 2時間耐火性能試験に合格したのは、CLT7層210㍉に、強化石膏ボード15㍉厚3枚張りの上にケイ酸カルシウム板15㍉2枚張りの上にALC板36㍉を張ったALC仕様の2タイプ。

 建材試験センターでの性能評価試験は、かごしま木づかい推進交付金事業として実施された。ISO834-1の試験方法で加熱面の非損傷性と遮熱性を確認、木部の炭化などもなく要求性能を満たしていることを報告した。

 耐火被覆材はケイ酸カルシウム仕様で4層60㍉、ALC仕様で3層66㍉の厚さになり、施行性についても、モックアップを作成し、工場で被覆材を張り現場で取り付ける方法や、現場でCLTを施工した後に下側から昇降機や人力で被覆材を張る施工試験を実施。CLT被覆仕様を床に張り、下側から天井を張るためにALCハンガーを打ち、吊ボルトで天井を吊った場合の強度や、火災時にボルトが熱橋になってCLTが炭化しないかなどを検証した成果を示した。

 CLTが床の2時間耐火構造の大臣認定を受けると、床については階数制限を受けなくなり、超高層ビルでも使用が可能になるため、超高層ビルに木材を使用する研究会(稲田達夫会長=福岡大学工学部教授)が研究を行ってきた。稲田教授は「CLTの構造基準が4月にも公布され、2時間耐火も大臣認定申請まできた。まだまだ課題はあるが、一つずつつぶしていきたい」と話している。

 


2016年3月3日(木)

「鋼構造オフィスビル床のCLT化」研究成果報告会を開催しました

多数のご参加、誠にありがとうございました!

配布資料はこちらからダウンロードできます→リンク

(1)日時:3月3日(木)13時30分~17時

(2)場所:木材会館 7階檜ホール (東京都江東区新木場1-18-8 「新木場駅」前)

(3)目的:CLTの鋼構造オフィスビルの床への使用についての可能性を検討し、その接合方法・強度・施工・耐火構造等に関する技術資料を提供すること

(4)内容:平成27年度林野庁委託「CLT等新たな製品・技術の開発・普及事業(木質耐火部材開発)」成果報告


2016年2月19日(金)日刊木材新聞より

◆CLT活用目指し技術講演

関係者の周知、普及へ

 鹿児島県木材協同組合連合会(柴立鉄彦会長)は10日、鹿児島市内で「木材利活用に関する新技術講演会~直交集成材(CLT)が切り開く未来」を開いた。今後の新たな木材需要として期待される国産材杉CLTだが、地域の設計・建築、行政関係者などの間で周知、普及が進んでいるとは言い難い。これを受け、鹿児島県の助成により今年度2回の技術講演、1回の現場見学会を企画した。

 開会のあいさつで鮫島士郎鹿児島県環境林務部かごしま材振興課課長は、「鹿児島県でも国産材資源の充実が進み、利用期に入っている。当県では、発電、2×4、輸出など新たな国産材需要が台頭しているが、街のなかでこれまで木材が使われていなかった需要をCLTによって拡大してほしいと思っている」と話した。

 講演では河合誠日本CLT協会専務理事、塩崎征男同技術部長がCLTの開発状況や活用事例、今後の動きなどについて説明した。

 河合氏はCLT工法の設計に関するパブリックコメントが予想以上に早い8日に公示されたことを受け、日本CLT協会ができるだけ早く一般でも使いやすい設計マニュアルを作成すると語った。また世界の動向は環境問題への関心の高まりから木造、CLTへの取り組みが進み、欧米ではすでにCLTを使ったユニット工法による大型建築物、湾曲CLTなどの製造、オーストラリアの企業は東南アジアへの売り込みを開始していると話した。

 塩崎氏は国内でのCLT製造の状況、各種の耐震実験の結果などについて解説した。CLTの特徴として工期短縮があり、今後の人手不足が懸念されるなかで建築分野での活用が広がる可能性を持つ。鹿児島県でCLTのJAS認定を取得している山佐木材では、林野庁、鹿児島県の助成を得て、床版2時間耐火、金物メーカーと連携した非住宅用耐力壁、鋼構造の床版などに使用する場合の施工性確認、遮音性能の試験、開発などを進めているとした。

 


2016年2月17日(水)日刊木材新聞より

◆設計者育成の体制づくりを

CLTなど新需要に必要

 「九州の森林・林業・木材産業交流会in福岡」(九州経済連合会主催)が10日、福岡市内で開かれた。今回は九州の木材産業の活性化、特に木造建築の新規需要について、業界の川上、川中、川下の情報共有促進を目的としている。当日は、九州の広場から行政、金融、建築関係者なども含め約60人が参加した。

 初めに香月英伸林野庁林政部木材産業課木材製品技術室長が、CLTなど新しい国産材の技術開発や利用方法について説明した。

 稲田達夫福岡大学工学部建築学科教授は、非住宅大規模建築物の床スラブに国産杉材、内装に間伐材を活用する構造システムを紹介した。

 建物の軽量化や建築計画上の自由度拡大など利点を挙げ、建築費用や防・耐火などが課題となるとした。

 また、建物の重量軽減や工期短縮によるコスト削減効果を説明し、CLT部材も受注生産から市場製品になることで、価格競争力が付くとした。

 また、建物の重量軽減や工期短縮によるコスト削減効果を説明し、CLT部材も受注生産から市場製品になることで、価格競争力が付くとした。

 「木材超高層の技術は、実現可能な段階にある。その第1号を誰が手掛けるかだ。ぜひ、この技術の可能性を理解し追求してほしい」と話した。

 次に稲田氏の司会で香月氏と塩屋晋一鹿児島大学大学院学術研究院理工学城工学系教授、佐々木幸久山佐木材社長が加わり「木造建築の新規需要について」のテーマで議論した。佐々木氏は、同社方針として時代変化に対処するため今年創設する非木造建築木造化事業などを紹介した。塩屋氏は山佐木材と共同開発した鉄筋入り集成材SAMURAIを説明した。

 また、CLTについて「同材を用い、どれくらい魅力のある建物が造れるかだ。設計者やデザイナーの育成などを含めた体制作りをしていかなければ厳しい」と話した。

 ディスカッション後は、会場からの質問も受け付けた。「CLT普及に向けた流通での川上側の役割について」「今後、日本のCLT技術を東南アジアなどに売る込むことは可能か」などの質問が出た。


2016年2月3日(水)日刊木材新聞より

◆越後杉CLTでバス待合所

県内導入の機運高まる 志田材木店

 志田材木店(新潟県長岡市、志田喜弘社長)は、越後杉CLTを使ったバス待合所を原子力発電所で知られる刈羽村に2棟建設する。新潟県CLT等普及協議会が主催する組み立て作業見学会が同社工場で開かれ、CLT加工機導入に向けた機運も高まっている。

 昨年7月に同協議会が設立され、構造用集成材メーカーの同社は幹事会社として携わっている。前回、その設立総会に合わせ、越後杉ラミナを銘建工業(岡山県真庭市、中島浩一郎社長)に運び、CLT展示ブース(高さ2500×幅3950×奥行き1635ミリ)を作製した。

 今回はそれに次ぐもので、バス停の雨掛かりを考慮しレゾルシノール系の接着剤を使用、山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)が製造した。

 越後杉CLTバス待合所は、建築面積4.3m2平屋建て。CLTの厚みは壁150、屋根180ミリ。最大サイズは4000×2000×180ミリで、総CLT使用材積は5.2m3。

 バス待合所の場所が分かりやすいようにCLTを壁状に利用し、シンボル的な要素を採り入れ設計した。CLTの表面の木部をできるだけ見せることにより、外部は地域の景観に調和し、内部は居心地の良さが感じられる。またCLTの利点を生かし、屋根をオーバーハングさせることで、日除け・雨宿りの場を設け利便性を高めている。

 工場で組み立てたままの状態でユニック車に載せて現場設置。その後、屋根工事・サッシ工事・取り合い材取り付けで完了となる。2棟とも2月中にう建設する計画だ。

 


◆CLTのバス待合所「BusStop-O」 ウッドデザイン賞受賞!

当社のCLTを使用いただいた大分県のバス待合所「BusStop-O」が2015年ウッドデザイン賞(ソーシャルデザイン部門)を受賞されました!

*大分駅北口(県庁側)出口を出て右手側、高速バス乗り場の待合所として利用されています。

 

工事場所:大分市要町2672-7

設 計 :伊藤憲吾建築設計事務所様

建物構造:CLT工法

建築面積:4.76㎡(高さ:2.56m)

建物用途:バス待合所

*杉CLT210㎜厚(7層7プライ)を使用しています


◆2015年のNewsはこちらをご覧ください