クルーズ船「ボレアル号」で行く南極の旅(10)

現地時間 平成31年2月4日(月)7:00 朝食

日本時間 平成31年2月4日(月)19:00

 

ドレーク海峡を航海

 荒れることで有名な海峡だが、行きには船側から驚きを以て表明されたが凪(なぎ)続きであった。帰りに海峡に入ったその朝から大時化(おおしけ)である。ただ船には揺れ留めの装置があり、それが効いて私は特に船酔いはしなかった。

 荒天の中、船はひたすら航走するのみ、手持ちぶさたである。希望者には9時半から、14時から、16時半からと次々に勉強会が行われる。


「レクチャー ペンギンについて」

 ペンギンのうんちについての蘊蓄。うんち発出時のうんちの放物線の方程式

 

「レクチャー アザラシについて」

 アザラシ(true seal)とオットセイ(eared seal)の違い。

 二つの違い ear(耳があるか無いか), locomotion(移動、歩き方の違い)

                

「レクチャー 南極について」数人の専門家が講義


 

最も興味深く聞いたのは、「Happy Whale」というサイトがあるとのこと。           

帰ってからこのサイト(英文)を開いてみた。「これほどまでに!」と、驚くべきクジラ愛の世界である。

 

Your Whales as Individuals

Happywhale engages citizen scientists to identify individual marine mammals, for fun and for science

You submit photos of your marine mammal encounters

We identify your whales by their unique markings

Happywhale tracks your whales around the globe

 

 (日本語要約 文責佐々木)

 街の科学者がクジラの写真を撮って送ってくれれば、楽しみのためにそして科学のために、送られた写真で確認できる特徴からそのクジラを同定して、貴方の見たクジラが世界中どこを周遊しているかを必ず教示する。

 

 最新目撃情報のニュースなどが掲載される。 

 例えば、5月28日 場所はアラスカ沖

 この日は他にも多数の投稿があったようである。同定された投稿はすべて掲示されているようだ。そして団体としてはその個体の移動記録を蓄積していく仕組みのようだ。

*「Happy Whale」(https://happywhale.com/home


現地時間 平成31年2月5日(火) 7:00 朝食  

日本時間 平成31年2月5日(火) 19:00

 

  9:30 レクチャー 

 Biological  Adaptation 生物進化論(南極に於ける)

11:00 下船説明会

12:00 昼食

 

 「本船はビーグル水道を通過中」との船内放送

※ ビーグル水道 Beagle  Channel

 まさに今朝レクチャーがあった進化論のダーウィンが、ビーグル号で世界一周の航海をした。その時の経路であり、船名に由来してこの名前になったという。

 

 途中チリの小島の港に寄り、そこで給油船が接舷して給油開始。


14:00 パルケたたみ方講習

 ずっとお世話になっていたパルケ(極寒用外套)、嵩張るので置いていくことにしていた。たたみ方の説明会があって、持参して教えられた通りたたんでみると、あの嵩張るパルケが案外小さくなった。寒風から守ってくれた愛着もあり、急に「持って帰ろうか」ということになった次第。

 

17:00「Ms.SASAKIへの誕生祝い」として船からケーキが届く。

正真正銘のサプライズである。いつもレストランで顔を合わせる、愛想の良いベトナム人の給仕が二人。お祝いを言って、部屋のテーブルにケーキを置いて出て行く。重たそうなどっしりしたチョコレートケーキ。

 

 「誕生日は明日の6日なんだけどな」と首をひねる。だから誕生祝いは、明日の夜、アルゼンチンのブエノスアイレスですることに、出発前から決めていたのだ。しかし考えてみると、この船で5日午後5時は、日本時間では、2月6日午前5時になることに気づく。船の誰かが日本時間での誕生日として、ささやかなプレゼントをしてくれたわけである。



現地時間 平成31年2月6日(水) 5:00 ウシュアイア港に接岸  

日本時間 平成31年2月6日(水) 17:00

 

5:00 ウシュアイア港に到着 

6:00 朝食

     8時までに支度をして下船のこととの指示。

      この船は、今日の夕方また新しい客を乗せて南極へ出発するとのこと。

7:30 下船し、4台のバスで出発。飛行機の時間まで、ウシュアイア市内観光。涼しい。

            昼時間は2時間ほど自由時間で、買い物、昼食。

               健全な歯と食欲がある人は、安くでおいしい(おいしそうな)肉がたくさん食べられる。 


 

 もう来ることもあるまいが、ごつごつとした形の山々、広大な何千ヘクタールもある国立自然公園など素晴らしい避暑観光地である。前にも書いたと思うが、金持ちのヨーロッパ人がキャンピングカーを予め船で送り、自分たちは飛行機に乗ってここで休暇を過ごす、という贅沢をしているという。

 木造の空港ターミナルを持つウシュアイア空港から、真北へ2300km、4時間弱かけてブエノスアイレス国内空港に到着した。一転して猛烈に暑い。

 ブエノスアイレス市内に一泊、夜タンゴの店で家内の誕生祝。


 翌日また一日中市内を観光し、夜の便でダラスへ向け空路出発、ダラス空港内で数時間時間待ちして出発、翌日2月9日15時半に成田空港に到着した。

 検疫、通関、そして国内線で鹿児島へ。家内の運転でようやく自宅に帰り着いたのは23時過ぎになった。

 

 それにしても成田~ダラス間、ダラス~ブエノスアイレス間で、夫婦ともに初めてビジネスクラスを使ったが、そうでなければ持たなかったかもしれない。平成31年1月25日に自宅を出てから16日間の南極クルーズツアーも、無事に終了した。本メルマガの2019年9月号を皮切りに、今号の2020年9月号まで、10回にわたってレポートしてきた。私としては一年間このツアーの楽しみを「反芻(はんすう)」し、繰り返し楽しむことが出来たことになる。

 それにしても今の新型コロナウィルスの騒動は、当時想像すらすることもなかった。振り返って何と幸せだったことだろう。全く個人的な体験記である拙文に、長期にわたりお付き合い戴いたことに対し、心からお礼申し上げる。

(完)

(佐々木 幸久)


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コメント: 1
  • #1

    梶原 茂 (火曜日, 01 9月 2020 15:31)

    毎度お世話になっております。スズイチ梶原です。毎回無償で拝見出来る喜びを噛み締めております。各コンテンツが非常に面白く、時には大変勉強になります。写真部の皆さんはプロカメラマンのようですし、配信されるのを心待ちにしております。本当に有難う御座います。厚く御礼申し上げます。特に「ポレアル号の南極の旅」は、これ迄見たことも聞いたことも無い世界を教えて頂きました。半世紀以上前、小学校を卒業した時に、担任の先生から「コンチキ号漂流記」をプレゼントされました。小学6年生の子供にとって素晴しい感動でしたが、54年ぶりに「ポレアル号」の感動が上回りました。(笑) これからも配信されるのを楽しみしております。宜しくお願い申し上げます。