M田のぶらり肝付町の旅・初春の宵、肴は野のほろ苦さなのだ

 新年のご挨拶を交わしてから早1ヶ月。寒中お見舞い申し上げます。

 気象庁からは全国的に暖冬傾向にあると予報が出されましたが、いかがでしたか?

 

 こちら南九州大隅では、特有の黒土の畑が真っ白な霜に覆われる朝もあれば、外水道のバケツには薄い氷が張る日もあるにはありましたが、いつもと比べれば冬らしい日の少ないお正月でした。

 

 そんな中、1月25日旧暦での元旦を迎えたとたん、鹿児島県内では南風が吹いて最高気温が20℃近くまで上昇。外での作業は汗ばむくらいで、上着を脱いでTシャツ一枚の人もおりました。さらに、26日の夜から翌日の明け方にかけては、季節外れの暴風雨が吹き荒れ、フェリーや新幹線など交通機関への支障も出るほどでした。

 ほんとの意味で初春を迎え、その陽気に応えるように、庭の梅もほころび始めています。

 

 

 やはり私たちの暮らしは、旧暦(太陰太陽暦)で日を追う方が何かとしっくりくるようで、花や木の開花や成長、昆虫や鳥などの活動・移動時期などはなおさらの感があります。27日未明の暴風雨は、季節外れではなくまさに「春の嵐」と呼ぶにふさわしいものだったのでしょう。

 

 そんなうれしい春になったので、とある日曜日、家人と野に出てみようということになりました。

 まずは、日当たりの良い畑の土手。ここは毎年、蕗のとうが一番早く顔を出してくれます。今年も丸くふっくらとした上物を期待通り収穫できました。独特の強い香りが早春を実感させてくれます。

 

 水源地近くの湿地には、柔らかくたけの長い芹が見つかりました。ゴム長を履いて、温んだ水から細い茎をすっと伸ばした新芽を根ごと抜き取ります。緑の葉と白く細い根。すっきりとした感じが食欲をそそるのであります。

 最後に、「まだ出てるはずないよ」と訝しむ家人をよそに、いつもの竹山へ。すりすり足で探索していると、ちっちゃいのがころころと転がり出て、そのすぐ近くに手のひらサイズのりっぱな筍を発見!思わずどや顔。ここは慎重に掘り出しました。

 

 

 その夜、とれたての筍と蕗のとうは天ぷらに、芹はかき揚げにすることにしました。前割りした焼酎「大海」には燗をつけて、準備万端。揚げたてを放りこむとほろ苦さと野の香りが口いっぱいに広がり、初ものをいただく喜びに思わず「わっはっは」と笑いたくなるのです。そして、一献。

 

(次はあの花か。M田)