M田部長のぶらり肝付町の旅・照葉樹林 秋の楽しみ きのこと滝

 

 暦のうえでは立冬を迎えましたが、南国大隅は、最高気温は20℃を上回り、最低気温は10℃あたり。日中は汗ばむ陽気が続いており、服装は長袖シャツに薄手のベストという取り合わせで心地よく過ごしています。

 この季節、当地に広がる照葉樹林帯では、樹々を見上げれば、むかご、あけび、こくわ、どんぐりなどがたわわに実をつけ、林床にはきのこの仲間が顔を覗かせているはずです。夏場はすっかり眠っていたはずの狩猟採集民の血が沸々と騒ぎはじめ、山へ山へと視線が向いてしまうのであります。

 

 日曜日の朝、ドリカムの「晴れたらいいね」(26年前のNHK朝ドラ『ひらり』テーマ曲)を口ずさみながら、庭の手入れをしていると、若い友人から「今年は、“ばかまつたけ”が豊作だそうな!」という夢のような情報が飛び込んできました。まつたけの前に「ばか」とは実にひどいネーミングですが、赤松林ではなく広葉樹林にはえるきのこで、香りは弱いながらも姿はれっきとしたまつたけの仲間なのです。20年ほど前この辺りの山中で何本か見つけて、大喜びしたことを思い出しました。

 

 早速、こりゃ山へ行こうと言うことになり、自宅から20分、国見トンネル上部の林道へとドライブ。この辺りは沢沿いに急峻な谷が照葉樹で覆われており、採集の楽しみにあふれています。

路側スペースに車を置き、藪を分け、沢を渡るとすぐに「万滝」の看板が見つかりました。

 

 地元で「万滝」と呼ばれ親しまれている滝へ通じる沢沿いの小径で探索しようという魂胆。

台風の風雨で岩崩れがおきて、上に根を張っていた大きな樹木が横倒しになっています。

 

 倒木にびっしりと生えている白いきのこ。ぬめりたけもどきです。弱々しい姿ですが、火を通すと実に良い食感になり、すき焼きに入れるととても美味しくいただけます。

樫の木の根元にも。

 

 ほうき茸の仲間を発見。菌のひだ先がネズミの足のように見えることから「ねずみ茸」とも呼ばれています。鹿児島では「ねったけ」、煮付けや煮染めにして食べられています。ふっくらとしたおなかのところが美味しいきのこです。

 

 

 枯れ落ちた枝には、野生の椎茸が良い感じで広がっています。よく似ている有毒の「つきよたけ」を誤食し、中毒する事故が絶えません。注意しましょう。

きのこを探して、下ばかり見ていると、沢の音が大きく聞こえてきました。入り口から上流に300mほども歩いたでしょうか。小径がなくなり沢を登ると、目のまえに大きな岩肌を滑り落ちる万滝が見えてきます。 

 落差は30mと言われていますが、近づくともっと高いように感じます。花崗岩の一枚岩を三段に流れ落ちる滝は壮観。秋の空に白い流れが良く映えていました。地味だけどしみじみとした風格を感じる滝です。冬には凍ることもあるという万滝。それも一度見に来たいと思いました。

きのこも採れたし、滝を見ながらコーヒーを一杯。ごちそうさま。   

 (次はばかまつたけの山かな?M田)