M田次長のぶらり肝付町の旅・肝属川編④

◇下流域

 『シラスウナギ漁』

大隅半島は昔からウナギの稚魚(シラスウナギ)が多く獲れたため、養鰻業が盛んに行われ、養鰻生産高全国1位を誇る鹿児島県の中でも屈指の産地です。 

地元で「ノボイコ」とよばれるシラスウナギは、海から上げ潮に乗って川を遡上して来ます。これを、真冬の夜中、護岸に足場を仮設し漁り火をともして、小さな網ですくい獲るのが肝属川河口付近の習わしです。漁期は12月から3月と決められており、闇の中、河原に点々と続く漁り火は冬の風物詩ともなっています。

車上などから景色として見る分にはとても美しいのですが、寒風吹きすさぶ中、8㎝にも満たないような半透明のシラスウナギを、目を皿のようにして待つ漁はなかなか大変そうです。

小さくて半透明のシラスウナギ。暗い中これを探すのは大変そう
小さくて半透明のシラスウナギ。暗い中これを探すのは大変そう

さぞかし懐具合が良くなるのだろうと調べてみると、去年は全くの不漁で買い取り価格も1㎏当たり150万円を超えたとか。今年はまずまずのようで、1㎏当たり60万円ぐらいに落ち着いているそうです。

ちなみにシラスウナギ6~7匹で1グラム。一晩粘って1匹も取れないこともあるようで、この相場が高いか安いかは、いわゆる価値観の問題のようです。

しかし、夕飯もそこそこに暖かい家を出て、極寒の川面をまんじりともせず見つめる男たちと、その暮らしをサポートする奥様方に尊敬の念を抱かずにはおられない私です。風邪と寝不足には気をつけてと心から祈りたいと思います。

(M田) 

  • 取材協力:吉松誠様、隆子様