肝付歴史茶話会~やぶさめを支える人々

肝付町の歴史について語る会「肝付歴史茶話会」が行われていると聞いて、前々から興味があったのですが、4回目にして、やっと参加することができました。

今回のテーマは「流鏑馬(やぶさめ)」。しかも流鏑馬の道具を作っている人の仕事場を見学に行って直接話を聞こうという趣向。

私の好きなテレビ番組「和風総本家」の「〇〇を支える人々」シリーズのような、この企画。かなり楽しみです。

まず最初に、流鏑馬の矢(鏑矢)を作っている中村さんのご自宅へ。

11年前に四十九所神社の宮司さんに依頼されてから作り始めたそうです。

元々こういった仕事をされていたわけではない中村さん。

矢を作るにあたって前任者からの引き継ぎは全く無く(神事である流鏑馬ではそれが当たり前のことらしい)、前任者が作った矢を見本に、試行錯誤しながら作り続けたそうです。矢軸の材料となる箭竹(やだけ)や矢羽(鷹の羽)なども中村さんが自分で調達しています。

作り始めて11年目、今年の流鏑馬では、射手を務めた吉松君の要望を聞き、練習もずっと見に行って、吉松君が使いやすいように工夫されたそうです。これが今年の素晴らしい結果(9本中8本的中)につながったんだな、と納得でした。

矢を作るための道具は中村さんの手作り
矢を作るための道具は中村さんの手作り

次に、雁股(かりまた)を作っている「松元カジ屋」さんへ。

八幡馬場と言われるこの辺りは、昔は「鍛冶馬場」(かっばば)と呼ばれ、鍛冶屋さんがたくさんあったそうです。


「雁股」とは、矢の先端についている鉄製の矢じりのことです。二股に分かれたU字のような形をしています。

この雁股が的に刺さるのですが、松元さんの「ひっちゃれれば恥じゃ」(的に当たってから矢が落ちてしまったら恥だ)という言葉にプライドを感じました。

肝付町に1軒だけの鍛冶屋さん(肝付町どころか大隅地方に1軒ということらしい)、できれば地元で作り続けられるとよいなと思いますが、どうなるのでしょうか。ちょっと心配です。

材料調達も年々難しくなっているようですが(特に鷹の羽の調達が難しいらしいです)、道具は去年のものは使わず、毎年新しいものを作っています。

やぶさめは、神事を自分たちの手で守っていこうという想いを持った人々に支えられています。

総務経理部 佐々木(真)