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2020年12月16日(水)日刊木材新聞

CLTで非木造建築 木材利用を推進

床、制震壁の開発へ 山佐木材 佐々木幸久会長

 大断面構造用集成材やCLT、鋼材と木材をハイブリッド化した集成材「SAMURAI」など様々な木質構造部材や中大規模木造建築に取り組んできた佐々木幸久山佐木材会長に日本のCLTをめぐる状況について聞いた。佐々木会長は「非木造建築の一部を木材に置き換えていくことを考えるべきだ」といい、床専用のCLTやCLTを使った制震壁などの開発を進めている。

 私が初めてCLTを知ったのは2000年ごろ、小松幸平京都大学教授(当時)にオーストリアで面白いものがある。興味があるなら案内するといわれて、10人ぐらいでオーストリアを訪問した。

 そこには開発されて間もないCLTがあった。当時、木造3階建て事務所が建てられ始め、柱、梁は大断面集成材で頑丈だが、壁や床は適応する材料がなく、建物として安っぽく見えるきらいがあって不満だった。

 CLTを見て、これは多層階木造建築のためには良い床材、壁材になると思った。帰ってCLTを試作しようと考え、探したところ合板工場の中古のプレス(7尺)が見つかり、購入し、幅はぎ、FJをしたラミナでCLTを作ってみた。

 ただ、当時はCLTは規格、基準強度がなく構造材としては使えなかった。それでも100立方㍍ぐらいは作ったと思う。日本ではCLTを構造材として使うのは当面無理だと考え、この時は事業化を断念した。

 せっかく設置したプレスは、当時需要が出始めた木橋の2次接着に重宝した。150、200㍉厚の構造用集成材の4丁積層などをして600~800㍉厚、1000✕2000㍉の集成材を2次接着で作った。

 CLTについて国内の流れを変えたのは、銘建工業の中島浩一郎社長で、その後レングスの中西康夫理事長(当時)とともに3社で日本CLT協会(任意団体)を作った。行政の後押しもあり、CLTもJAS化され、設計法なども確立していった。協会は一般社団法人化し、会員は増え、CLT利・活用は国を挙げての潮流となったが、これらは中島さんの功績だ。

 私が20年前にオーストリアで見た時はCLTの加工は大きな丸鋸を使い、人手で行っていた。十数年後に同じ工場を見た時は、NC加工機を数台使い、出荷を待つ大型トレーラーが数台待機しているという大規模、近代的な工場に進展していた。

 ちょうど私が社長に就任した昭和の終わりから平成の初めにかけて建築基準法が改正され、何か新しいものができると考え、大型木造に取り組んだ。構造計算も自社でやらないと誰も出来ない時代だった。公共需要が多く、10月ごろから忙しくなり、翌年2月ぐらいまでが大変忙しく、後の時期は暇になるという繰り返しだった。

 忙しいときは体育館だけで年に10件くらい受けた年もある。平成の市町村合併で、箱もの需要は減少し、ブームとしての木造建築はいったん終わった。

 ただかつてのように売り込みに血道を上げずともごく普通に木造建築が採用され、構造計算は既に行われているという状態になった。マーケットが成熟してきたといえる。

 欧州では壁、床、すべて大判のCLTで建築が出来ている。日本は、道路事情と地震国であることを前提に考える必要がある。柱と梁は構造用集成材、もしくは鉄骨で、床と壁をCLTにする選択肢も考えるべきだ。

 福岡大学の稲田達夫教授(当時・現在山佐木材顧問)が、「木材工業」の論文で、鉄骨造のビルの床に木材を使うことの構造的なメリットや、木材需要拡大にかかわる環境面への貢献につながることを述べていた。共鳴を覚え稲田教授に面会し、さらに九州内の専門家らに声を掛け、「超高層ビルに木材を使用する研究会」を13年に設立した。主要構造部すべてを木造にすることを性急に求めず、非木造建築のなかで木材の部分利用の可能性を考えたものである。

 山佐木材の事業形態を分かりやすく整理するために考えた概念がある。

 第1分野=住宅部材、第2分野=非住宅木造建築、第3分野=非木造建築での部分的木材利用。

 福岡大学を定年で退職した稲田教授は引き続き同研究会の会長であり、当社第3分野非木造建築での部分的利用の提唱者でもあり、顧問として迎えた。

 稲田顧問の下で検討している課題がいくつかある。前述のJASで認証されたCLTは壁でも床でも何にでも使える優れ物だ。少し発想を変えて床だけに用途を絞ればコスト低減が図れ、非木造建築の部分利用に弾みをつけられるかもしれない。

 壁でも制震壁としてCLTと鋼管を加工した金物、LSBを組み合わせたものを考えている。鹿児島大学塩屋研究室と実用化を目指している鉄筋集成材(SAMURAI)とともに新しい木材利用の方途を模索している。


2020年12月16日(水)日刊木材新聞

ウッドデザイン賞2020 有明競技場が最優秀賞

長官賞に高層木造やチェンバロ

 今年で6回目を迎えたウッドデザイン賞2020の最優秀賞(農林水産大臣賞)に、有明体操競技場(日建設計ほか)が選ばれた。優秀賞(林野庁長官賞)9点、奨励賞(審査員長賞)15点、特別賞(木のおもてなし賞)4点も選定された。表彰式は18日に木材会館で関係者のみで行い、その模様はオンラインで配信される。

 ウッドデザイン賞は、木で暮らしと社会を豊かにするモノ・コトを表彰し、国内外に発信するための顕彰制度。今年は昨年より20点多い432点の応募があり、191点が入賞作品として選ばれた。さらにこのなかから合計29点が上位賞に選出され、11日に発表された。

 最優秀賞を受賞した有明体操競技場は、日本各地から木材を調達し、カラ松の大屋根、杉の外装や観客席などで木材を約2300立方㍍使用。競技エリア天井の木架構の現しなど日本の伝統的な木造建築の美しさを醸しつつ、多くの観客を迎え入れる競技場としての機能性を併せ持つ、世界に発信すべき建築と評価された。

 優秀賞には、CLT PARK HARUMI(三菱地所ほか)、Continuum(九銘協ほか)、木硯(YOAKEほか)、奈良県コンベンションセンター(奈良県ほか)、八ヶ岳カラマツチェンバロ・プロジェクト(八ヶ岳高原ロッジほか)、筑波大学睡眠疫学プロジェクト(森林総合研究所ほか)、FLATS WOODS 木場(竹中工務店ほか)、西脇市立西脇小学校保存・改修に伴う基本計画および工事(西脇市ほか)、1964東京オリンピックゆかりの木プロジェクト(日本オリンピック委員会ほか)が選ばれた。

 奨励賞には、椿茶屋(石飛亮建築設計事務所ほか)、東馬込の家(松井郁夫建築設計事務所ほか)、蔵の家(川上聡建築設計事務所ほか)、北海道産エゾマツ材サイレントウクレレ(クワイアンほか)、QRwood(ハッチ・クリエイト・ワークスほか)、Sou(atelierthuほか)、富士屋ホテルRE-BORN(乃村工藝社ほか)、六甲の糸&六甲山の香り(六甲山サイレンスリゾートほか)、木製ブロック  ズレンガ(浅尾)、HITASUGIしめ縄(髙村木材)、mother's+(北海道種鶏農場ほか)、みなと森と水ネットワーク会議(みなと森と水ネットワーク会議)、クラフトジンの商品化を通じた里山との関係構築(中国醸造ほか)、古民家・古木サーキュラー・エコノミー(山翠舎)、2✕4工法床構面開発事業(ウイング)が選ばれた。

 

 特別賞には、CONTEXTED(REVearthほか)、THE HIRAMATSU京都(NTT都市開発ほか)、HEXa(GRIND ARCHITECTSほか)、ひねり髪すき(アートフォルム)が選ばれた。

 審査委員長の赤池学氏は「ウッドデザイン賞」も6回目を迎え、良い意味での転換期に入ったと思う。建築・空間分野では中・高層建築の木造、木質化の果敢なチャレンジが目を引いた。一般住宅も単に木を使っただけではなく、それを生かした心地良さや適材適所の木の使い方など実験的・提案的な作品が受賞した。木製品分野では、単に素材に木を使っただけの作品は厳しい評価となった。これは、もっと地域のデザイナーやデザイン系の大学と連携して質を高めてほしいという審査員からのエールでもある。斬新で洗練された、次なるウッドデザイン賞の登場を期待している」と述べた。


2020年12月8日(火)日刊木材新聞

分譲マンションでさらなる国産材活用へ

購入者のし好やメンテ含め積極検討 野村不動産

 野村不動産(東京都、宮嶋誠一社長)は、東京・神田駿河台に同社高級分譲マンション「プラウド神田駿河台」を木質ハイブリッド構造14階建てで建設中だ。同社は、国産木材を積極活用する方針を打ち出すなど、木材利用の促進を強化している。

 同社では、大阪府伊丹市の「プラウドシティ伊丹」の近くに木造のカフェがあり、その居心地の良さを生かそうと共用部の木造化に取り組んだ。「プラウドシティ吉祥寺」では、担当者が木材活用でやりたいという話が出た。神田駿河台は都市部でも南側傾斜地に木が多く、都心部で「木質化をキーワードに取り組もう」の機運が高まり、竹中工務店に相談したという。

 こうした流れで木造化に取り組み、神田駿河台ではプランニング段階で14階建ての上層部4層に1時間耐火が必要になったために、燃エンウッドの1時間耐火部材を使った。それより下の階は2時間耐火を求められることからRC造とし、耐震壁の一部にカラ松LVL耐震壁(キーテック)にした。

 上層部は住戸内の間仕切り壁でCLT(山佐木材)を耐震壁として両面現しで使用する。

 LVL、CLTの耐震壁は水平力のみを受けるように設計することで耐火規制を受けずに木材を現しで使用できる。

 LVL耐震壁はRCの400㍉厚の壁の一部に用いられる。厚さ170㍉で片面を現しに使用。当初は平面を現しで使おうと考えたが、ショールームでの来場者の反応から「節の出方、色の違い、接着層の色などを気にすることが分かり、木口面をスライスして表面に貼ることになった」(同社)という。

 「当社のプラウドシリーズという高級分譲マンションを購入するから、節や経年変化などには厳しい見方をする」(同社企画担当者)。そのため床材には色むらを敬遠する傾向になり、「国産広葉樹では難しい」(同)。

 分譲マンションの場合は、完成前にモデルルームを見て購入を決めるので、実際に入居してイメージが違うとクレームにつながる。

 同社商品開発担当者は「外装材に天然木を使いたいが、メンテナンスの課題がある」と話す。大規模マンションの場合は、維持管理計画のなかに木材外装を定期的に盛り込むことも可能だが、「小規模マンションの場合は、30年間ノーメンテナンスを求める」。従来は木調サイディングなどを使用してきたが、熱処理や薬品処理などをした木材で使えるものがないかを調査している。

 分譲マンションならではの要求性能があるなかで、国産木材の使用を40~50代の購入者に訴求するという。同社は「木材利用は世界的な潮流で、日本は遅れている面がある。量産効果やユニット化などによる工期短縮などのメリットも追及していきたい」と話している。


鹿児島県主催「CLT構造見学会」「CLT技術講習会」

講習会は「会場」と「WEB」で同時開催されます

構造見学会:2021年1月12日(火)13:30~14:30

・場所:曽於市 末吉中央公民館

   (曽於市末吉町諏訪方8598番地)

※駐車場は曽於市末吉総合センターをご利用ください

 

技術講習会:2021年2月4日(木)13:30~16:30

・場所:鹿児島市国際交流センター 多目的ホール

   (鹿児島市加治屋町19-18)

 ※WEBでの受講も可能です

 

・定員:各50名、・参加費:無料

・申込み:添付PDFをFAXまたはメールしてください

・問い合わせ:TEL 099-224-4543(鹿児島県住宅センター)

 

ダウンロード
CLT構造見学会・技術講習会案内(鹿児島)
技術講習会案内(鹿児島).pdf
PDFファイル 374.2 KB


2020年11月13日(金)日刊木材新聞

集合住宅で国産木材を積極活用

共用棟の木造化や内装で 野村不動産

 野村不動産(東京都、宮嶋誠一社長)は10月29日、同社の新築分譲マンション「プラウド」が掲げる5つの顧客への価値提供のうち、「機能性と心地よさ」「環境と未来への対応」を実現するため、今後建設する集合住宅で国産木材を積極活用していく方針を決めた。

 同社は、マンションの共用棟として、「プラウドシティ伊丹」(2018年竣工)、「プラウドシティ吉祥寺」(20年竣工)で木造を採用してきた。今後、独立した共用棟を設置する場合、原則、木造にし、積極的に国産木材を活用する。

 現在発売中の「飛鳥山レジデンス」でも国産木材を使用し、計画中のプラウド練馬中村橋マークス」(仮称)や、若潮ハイツ建て替え計画でも木造共用棟の建設を予定している。

 また、独立した共用棟を設置できない中小規模の集合住宅でも、共用部の壁や床といった内装、建具、家具などで国産木材を使用していく。

 現在建設中の「プラウド神田駿河台」(14階建て、36戸)は、木質構造部材を使用した高層分譲マンションで、構造部材として鹿児島県産杉、山梨県産アカ松を使用。中層階(2~11階)では、LVLハイブリッド耐震壁を、高層階(12~14階)では、CLT耐震壁、燃エンウッドを使用する。

 いずれも耐火被覆なしで木材を現しで使用し、木のぬくもりとともに、この建物で暮らすこと自体が環境への貢献となるようにデザインした。


2020年10月21日(水)日刊木材新聞

防災庁舎、運用始まる

杉CLT耐力壁を採用 宮崎県

 宮崎市内に地上10階建、地下1階建ての宮崎県防災拠点庁舎が建てられ、8月から運用が始まっている。構造は鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造で、4~9階には県産杉CLT耐力壁を採用した。延べ床面積は約2万5000平方㍍(5号館含む)。

 庁舎は災害時に県民の生命などを守るため十分な耐震性能を持ち、災害応急対策を円滑に実施でき防災拠点としての司令塔機能を果たせるよう設計された。南海トラフ地震などに備える免震構造の採用などにより、災害応急対策業務や通常業務を継続して行うことができる。屋上には県防災救急ヘリや自衛隊の救難ヘリが発着できるヘリポートを設置した。

 また人や環境に優しい庁舎として、利便性やユニバーサルデザイン、環境負荷軽減、経済性、景観など様々な面で配慮している。

 CLT耐震壁は7層7プライで、高さ2.6✕幅1.8㍍✕厚さ21㌢。耐力壁以外に1階エントランスホールも、県産材を活用した木質化を図っている。建設工事は2018年1月に始まった。


2020年8月7日(金)日本経済新聞(九州・沖縄)

国産木材、住宅以外にも

山佐木材  下住工場(鹿児島県肝属郡)

 木質材料を使った大型建造物を目にする機会が増えている。市場拡大をけん引するのが、集成材やCLT(直交集成板)だ。いずれも板材を接着剤で積層したもので、安定した強度を持つ。山佐木材(鹿児島県肝付町)は1991年にスギの構造用集成材で全国初の日本農林規格(JAS)を取得するなど、先駆け的な存在だ。

 大隅半島の中ほど、肝属川沿いの田園地帯の一角に広がるのが山佐木材の主力工場、下住工場(同町)だ。東京ドーム2個分に相当する8万6000平方㍍の敷地には10棟の工場が建ち、製材から設計図面に合わせた最終加工まで、ほぼ全ての工程を担っている。

 「国産材の用途を拡大したいというのがきっかけ」。木材の供給基地である鹿児島県で集成材加工を始めた理由を、新永智士総務経理部長はこう話す。それまでは一定以上に太く成長した木しか住宅用として利用できなかった。だが、集成材は「小さいパーツを接着して加工するため、用途が広がらなかった間伐材なども有効理由出来る」。

 集成材は丸太を「ラミナ」と呼ばれる板状品に製材した後、乾燥工程で含水率を調整。最後に個々のラミナの強度などを勘案しながら接着剤で張り合わせ、圧締して完成する。一つ一つは自然の材料のため強度が異なるが、強弱をうまく組み合わせて加工することで強度性能を保証できる。

 ラミナの繊維を平行にして積層する集成材に続き、10年ほど前からは繊維方向を直交させて積層するCLTにも参入。集成材の内部に鉄筋を渡し、屋根の梁(はり)として使う際のたわみを抑えた「SAMURAI集成材」も鹿児島大学の塩屋晋一教授と共同開発。教育施設や商業施設など中大型建造物への用途拡大にも取り組んでいる。

 下住工場では工場棟の一つでCLTを専門に加工する。棟内には巨大な5軸CNC(数値制御)加工機が置かれ、設計図面に合わせて最大で厚さ300㍉㍍、幅3000㍉㍍、長さ1万2000㍉㍍の大型部材を加工できるという。

 こうした大判パネルが加工できるため、鉄筋コンクリート製だったビルの床の基礎部分をCLTに置き換え、木目を生かしてそのまま床面として使用するケースも徐々に拡大している。「ライバルは鉄筋コンクリートという感覚が高まっている」(新永部長)と手応えを感じている。

 強度の面で一部にベイマツなど外材を使うケースもあるが、原料の9割は国産材だ。大半が鹿児島県産というが、自治体からの受注案件ではその地域の木材を取り寄せて使うケースもあるという。国内の森林資源を有効活用し、循環型のシステムを構築するためにも木造建築の市場拡大の重要性が増している。

(鹿児島支局長 久保田泰司)


2020年7月30日(木)日刊木材新聞

ハイブリッドで高層木造実現

山とマチをつなぐ森林グランドサイクル 竹中工務店

 竹中工務店(東京都、佐々木正人社長)は、中高層木造ハイブリッド建築への取り組みを進めている。10階建てを超えるハイブリッド木造は仙台と東京都内で実績があり、今後はハイブリッド木造部分が14層を超える建築へ取り組んでいくため3時間耐火大臣認定取得に向けた技術開発を進めている。松崎裕之竹中工務店・木質建築推進本部長は「燃エンウッドの技術をベースに製作方法の合理化、標準化などに取り組み、コスト削減を図りながら3時間耐火に取り組みたい」と開発の方向性を示している。

 同社では2019年3月に竣工した三菱地所の10階建て賃貸マンション「PARK WOOD 高森」(S造との混構造)、20年2月竣工の自社事業「フラッツウッズ木場」12階建て(RC造との混構造、免震)など適材適所に木材を使ったハイブリッド構造による中高層木造を実現してきた。

 昨年6月には野村不動産「プラウド神田駿河台」14階建てマンション(RC造との混構造)、今年3月にはヒューリック「銀座8丁目開発計画」12階建て(S造との混構造)が着工している。

 2025年に実現を目指いしている「アルタ・リグナ・タワー」は高層木造ハイブリッド建築のコンセプトモデル。このモデルビルは、2時間耐火の燃エンウッドを活用し、上層14層を木造、下層6層をS造で計画した20階建てとなっている。現在はこのすべての階を木造とすべく3時間耐火認定の取得へ動き出した。松崎本部長は「実際の案件でも3時間耐火を検討するケースが出ている。アフターコロナの世界では健康建築や抗菌など木材の機能が注目されてくるだろう。また、木を使うのならば、現しで使いたいと考えている」と話している。

 そして単に木材を使うだけでなく、「森林グランドサイクル」という「森林資源と地域経済の持続可能な好循環」の実現を目指している。

 ある建築で使う木材を国産材や県産材という広い産地ではなく、山長商店(和歌山県)や田島山業(大分県)、三井物産や東京の林業家の山崎さんなど、様々な森の山主と産地を特定し、建築主や同社社員が訪れて伐採作業を見るなど、直接話をして顔の見える関係をつくっていく。

 中央大学多摩キャンパス学部共通棟の工事では学生とともに林家を訪れた。

 都会でのキノマチづくりを通じて山の産業を創出し、その資金で持続的な森林づくりを進める。生産された木材からは燃エンウッドをはじめとした様々な用途開発をしていく。

 

 最新の技術として、大スパンを可能にする鉄筋挿入「燃エンウッドSAMURAI」や屋外用に開発した「燃エンウッド柱」、LVLを丸柱に巻いた「木巻ペンカラム柱」、「CLTエストンブロック壁」などを開発し、フラッツウッズ木場に採用した。同プロジェクトは多様な開発技術のショールームとしても活用している。


2020年7月29日(水)日刊木材新聞

鹿児島に総合木材事業体設立

MECインダストリ― 三菱地所、竹中工務店等7社が出資

 三菱地所(東京都、吉田淳一社長)は、ゼネコンなど7社で総合木材事業を行うMECインダストリ―(鹿児島県霧島市、森下喜隆社長)を設立した。同社を生産、流通、販売、一部施工にもかかわる総合事業体とし、従来とは異なる、山側に欲しい木材を伝えるプル型の調達スタイルで、「配筋付き型枠」やCLTなどを使用したプレファブ型のユニット住宅などを開発、新たな市場を創造していく。1シフト年間5万立方㍍の素材を使用し、10年後に100億円の売上高を目指していく方針だ。

 三菱地所では、4年前に社内の新事業提案でCLTを活用した大規模木造建築事業が採択され、CLTユニットを結成。みやこ下地島空港ターミナル、パークウッド高森(S造との混構造による10階建て賃貸マンション)、大通西1丁目プロジェクト(仮称、ホテル、11階建てハイブリッド木造)など複数のCLTを活用したプロジェクトに取り組んできた。

 伊藤康敬MECインダストリ―副社長は、「プロジェクトに取り組むなかで自分たちが生産プロセスまで入り込まないとコストダウンは難しい」とし、鹿児島県湧水町の県立栗野工業高校跡地に工場棟、製材棟などを建設する。配筋付き型枠などの新建材とCLTなどを使ったユニット住宅などの生産を計画するほか、2×4製材やCLTなどの部材の供給も行う見通し。 

 工場は8月7日に着工し、2021年4月に工場部分を稼働して、配筋付き型枠、ユニット型住宅などの販売も始める。22年3月に工場を竣工、同4月からの本格稼働を計画している。現在の従業員は7人、工場稼働時には100人を想定している。

 工場は1シフト年間5万立方㍍の素材消費量で、5年で事業を軌道に乗せ、10年後には売上100億円を目指していく。

 

 森下社長は「鹿児島県は南九州から木材資源を調達しやすい。これまで付き合いのある山佐木材に研修などを担ってもらえる」としたうえで、将来は他地域で2つ目、3つ目の生産拠点の整備と山林、素材生産という、さらなる川上への取り組みも視野にあることを示した。

 出資比率は三菱地所が7割、残り6社で3割。出資者のコメントは次のとおり。

 

 吉田三菱地所社長「鹿児島は近代日本を切り開いてきた歴史があり、革新的な取り組みでSDGsを目指したい」。佐々木正人竹中工務店社長「都市に木造を建て森林グランドサイクルを確立し、中高層の木質化を進めたい」。大隅健一大豊建設社長「当社は土木が得意。各地で災害が起きるなかで治山治水は大事な政策。地域活性化、地方創生に寄与したい」。中嶋孝次松尾建設常務「5年前に老朽化した本店を木造で建て直そうとし、2年前に6階建てハイブリッド木造の社屋が完成した。床にはCLTを使った」。永山在紀南国殖産社長「当社は鹿児島の地域総合商社。林業機械、木質バイオマス発電にも取り組んでいる。高品質、ローコストの木製建材の販売に寄与したい」。長谷部義雄ケンテック社長「鋼製トラスに代わる新建材は、温かみがあり、高級感がある」。有馬宏美山佐木材社長「平成に入り大断面集成材、杉と米松のハイブリッド集成材、最近はCLTに力を注ぎ、都市部のニーズへの対応を考えている」。


2020年7月28日(火)南日本新聞

湧水拠点木材会社 三菱地所が設立発表

南国殖産、山佐木材も出資

 不動産大手の三菱地所(東京)は27日、栗野工業高校跡地(湧水町)に整備する木材加工施設を拠点とした総合木材会社「MEC Industry」の設立を発表した。建設業など全国の7社が出資して設立され、鹿児島県からは南国殖産(鹿児島市)、山佐木材(肝付町)が名を連ねる。

 三菱地所によると、鉄筋コンクリート造りと鉄骨造りに木を取り入れた新建材を供給する「新建材事業」と、大型木製パネル「CLT」などを使用し、工場で作った部材を現場で組み立てる建築工法で、一戸建て住宅を提供するのが主な事業。敷地内には製造棟や製材棟が整備される。工場の操業は2022年4月の予定で、雇用は100人程度を見込む。

 27日、都内で設立会見があった。南国殖産の永山在紀社長は「新設の工場は高校の跡地。雇用創出と地域活性化に大変有意義」と話し、山佐木材の有馬宏美社長は「人材育成、木材加工、技術的な面で協力をしていきたい」と述べた。


2020年4月16日(土)日刊木材新聞

構造計算から建て方まで受注

月産300m3で前年度並み 山佐木材

 山佐木材(鹿児島県肝属郡、有馬宏美社長)の2019年度の構造用集成材とCLTを合わせた契約物件数は50件だった。そのうち同集成材を主体とした物件数が31件で、残りがCLTを主体としたもの。

 同集成材の月産量は300立方㍍で、前年度並み。ただ物件用数量は1割程度減少しており、製品販売が素の減少分を補った。製品販売では長大物や特殊寸法またプレカット工場等からの受注がメーンだ。

 構造用集成材の供給、完成工事の実績としては、龍南中学校屋内運動場(鹿児島県)や安心院地域複合支所(大分県)など。

 集成材事業は中・大規模物件向けの構造設計から製造、加工、建て方まで一貫受注がメーン。20年度は昨年度より問い合わせが多く、計画案件を見ると物件数も多くなる見込み。ただ新型コロナウィルス感染症の影響が今後どの程度出てくるかが懸念され、既に営業活動でも支障が発生しつつある。

 同社が開発・普及支援する杉構造用集成材の材長方向に鉄筋を挿入し性能を高めた集成材「SAMURAI」の基礎的技術の蓄積は終了している。今春、指定建設材料の品質に関する性能評価(法37条性能評価)の予備審査に入る。ただ「乗り越えなければならない課題解決には今しばらく時間を要する」(有馬社長)。

 CLTの直近1年間の供給量は1500立方㍍で、鹿屋女子高校多目的ホール棟(鹿児島県)などに供給した。構造用集成材、CLTともに今年度、生産設備の増強などの計画はない。


2020年3月3日(火)日刊木材新聞

14階建マンションを木造ハイブリッド化

LVL・CLT耐震壁を採用 野村不動産

 野村不動産(東京都、宮嶋誠一社長)は、竹中工務店(同、佐々木正人社長)の設計・施工で木質系構造部材を使用した日本初の14階建て高層分譲マンション「プラウド神田駿河台」(RC造+木造ハイブリッド構造、36戸)を建設していることを発表した。

 同マンションは、東京都千代田区神田駿河台の580.71平方㍍の敷地に、建築面積211.36平方㍍、延べ床面積2529.45平方㍍の規模で、2019年10月に着工した。

 基本構造はRC造で、中層階(2~11階)はLVLとRC造耐震壁を組み合わせた「LVLハイブリッド耐震壁」、高層階(12~14階)はCLT耐震壁と燃エンウッドを採用した。木質構造と他構造のハイブリッド建築物として14階建ては初になる。

 いずれの部材も耐火被覆なしで木材を現しで使用し、積極的に木構造を住戸のインテリアとして使用する。併せて共用部のエントランスの壁、床、住戸内の天井の一部にムクの杉材を使用する。

 LVL耐震壁は高耐震性と高生産性を両立。パネルが軽量であることに加え、独自の接合機構で、接合金物を使わずに施工が可能。

 CLT耐震壁も地震時の水平力を負担するもので、耐火被覆が必要なく、木材現しで使用できる。

 燃エンウッドは化粧を兼ねて使用する。

 使用する木材は、鹿児島県産の杉、山梨県産のアカ松など、今回のプロジェクトを契機に、分譲マンションでの国産材利用と促進し、国産材の需要創出を図ることで森林資源の循環と持続可能な社会づくりに貢献する。

 なお、建物の竣工は、21年3月下旬の予定。


2020年2月6日(木)日刊木材新聞

耐火集成材で大スパン実現

燃エンウッドSAMURAIを共同開発 竹中工務店

 竹中工務店(東京都、佐々木正人社長)は3日、山佐木材(鹿児島県肝属郡、有馬宏美社長)、鹿児島大学と共同で「燃エンウッドSAMURAI」を開発したことを発表した。竹中工務店の木造耐火集成材技術と山佐木材と鹿児島大学の共同開発による鉄筋内蔵型集成材SAMURAIを組み合わせた耐火集成材で、大スパンを飛ばせる技術として開発。国土交通大臣の2時間耐火認定を取得し、都市の木造建築で大スパンを可能にする要素技術として活用していく。

 燃エンウッドSAMURAIは、梁として使用する構造用集成材の外装部の上下に鉄筋を埋め込み、強度を高める。これにより、伐期を迎えて需要拡大の必要に迫られている杉材を梁として活用しやすくする。中大規模木造の梁では高強度が求められるためカラ松構造用集成材を使用することが多かったが、燃エンウッドSAMURAIでは「2~4倍に剛性を高めることができる。杉を使うと梁せいが大きくなりすぎたが、10メートルスパンで梁せい700㍉を、この技術だと500㍉くらいに圧縮できる」(竹中工務店)

 燃エンウッドでは、荷重支持部にモルタルバーなどの耐火被覆層を設け、その外側に燃えしろ層として木材を使用する。これにより、木材の意匠を持った木質耐火部材として使用実績を伸ばしている。

 燃エンウッドは、2013年の大阪木材仲買会館、15年のATグループ本社、18年の有明西学園、19年のパークウッド高森等で採用された。そして、2月に完成したフラッツウッズ木場(RC造+一部木造12階建て)では燃エンウッドSAMURAIを12階の屋根の梁に採用している。

 同社は、都市と地方生産者をつなぎ、資源と経済の循環を目指す「森林グランドサイクル」の実現を目指して、木造技術の開発を進めている。


2020年1月30日(木)南日本新聞

かごしま材 交流に一役

4月完成 選手村施設、玄関や床

 東京五輪・パラリンピック選手村の交流施設「ビレッジプラザ」(東京都中央区)が29日、報道陣に公開された。かごしま材(県産材)をはじめ全国63自治体から集められた木材が使用されており、4月に完成予定。

 ビレッジプラザは木造平屋。計5棟あり、延べ床面積は約5300平方㍍。各国選手の入村式が開かれる施設で、雑貨店や銀行も入る。選手のほか家族や関係者が利用する。

 県が提供したかごしま材は、中高層施設も建設可能な大型木製パネル「直交集成板(CLT)」。厚さ9センチの板100平方㍍分が、正面エントランスの一部と、カフェやインターネットラウンジが入る棟(1千平方㍍)の床に活用された。

 同日は各自治体関係者が参加した内覧会もあった。県環境林務部の村山浩美次長は「カフェなどでリラックスする世界中の選手に、かごしま材の良さを知ってもらえれば」と期待した。ビレッジプラザは大会後に解体され、木材は返却された自治体が公共施設に再利用する。


鹿児島県主催「CLT技術講習会」「福岡」で開催されます

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CLT技術講習会案内(福岡)
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・講習会:2020年1月30日(木)13:30~16:20

・場所:天神チクモクビル 5階 大会議室

   (福岡市中央区天神3丁目10-27)

 http://hall.chikumoku.co.jp/access

 

 

・定員:各50名

・参加費:無料

・申込み:添付PDFをFAXしてください

・問い合わせ:TEL 099-224-4543(鹿児島県住宅センター)



2020年1月17日(金)南日本新聞

ウッドデザイン賞2019 県関連3件入賞

山佐木材技術「最優秀」に

 山佐木材(肝付町)や三菱地所(東京)の4社が手掛けた構造を一部木質化した10階建て集合住宅の建築技術が、ウッドデザイン賞2019の最優秀賞に輝いた。NPO法人こどものけんちくがっこう(鹿児島市)による教育活動と、地元の杉をふんだんに使った屋久島町庁舎も優秀賞となった。

 集合住宅は三菱地所が仙台市に建設し、昨年完成した。山佐木材の新しい大型木製パネル「直交集成板(CLT)」が構造の一部や床に使われ、今後期待されている非住宅分野での木質化の推進につながる技術として評価された。

 こどものけんちくがっこうは、木や森について学ぶ授業を通年で開いている。ツリーハウス作製のような体験活動もあり、地域資源を街づくりに生かす重要性を伝えている点が認められた。

 屋久島町庁舎は木造平屋一部2階建て(延べ床面積約3630平方㍍)で、構造材も含めてほとんどを地元産の杉で賄った。建物全体が木材利用推進の発信につながっているとして選出された。

 木の良さや価値を伝える建物・活動を表彰するウッドデザイン賞は、国土緑化推進機構などが主催。413点の応募の中から最優秀賞1点、優秀賞9点が選ばれ、昨年12月に東京で表彰式があった。

 こどものけんちくがっこう理事長で、鹿児島大学の鷹野敦准教授(40)は「鹿児島から3件が入賞し、うれしい。教育活動を通し、地域資源の適切な利用のほか、森林を含む住環境への関心や親近感の向上につなげたい」と話した。


2020年1月15日(水)日刊木材新聞

人工乾燥材JAS供給量が大幅増

CLT製造拠点が各地に広がる

 1985年に始まった日米間でのMOSS協議(日米林産物協議)で日本国内の木造建築が緩和される方向性が示されると、旧三井木材工業などが先駆者として大型木造建築に取り組み、当初は構造材として米松構造用集成材が主に使用された。91年には山佐木材(鹿児島県)が杉構造用集成材のJAS認定を取得し、国産材利用への道筋を開く。

 その後、現在まで非住宅木造建築の構造材の中心は構造用集成材が担っており、強度の出る欧州材のRウッドや国産材ではカラ松などの活用が進んだ。杉は重量の軽さなどが評価され、異樹種構造用集成材の実用化も進んだ。近年では不燃や鉄筋との複合により性能を高めた構造用集成材や合板では厚さ50ミリ以上の超厚合板の開発が進められている。また、構造用LVLがコストメリットや意匠性の高さから採用を増やしている。

 CLT(直交集成板)は従来にない早さで2013年12月にJASが制定され、現在では銘建工業(岡山県)、山佐木材(鹿児島県)、西北プライウッド(生産施設=宮城県)、鳥取CLT(鳥取県)、中東(石川県)、サイプレス・スナダヤ(愛媛県)、協同組合オホーツクウッドピア(北海道)など、製造拠点が各地に広がってきた。供給量は年間1万5000~2万立法㍍で推移している。

 CLT工法は高層木造建築の可能性を切り開くとともに、木造軸組+CLT壁・床やRC高層ビルなどでのCLT床採用などにも可能性があり、木材使用量を広げることが期待されている。また、賃貸住宅大手の大東建託(東京都)も積極的な活用を検討するなど、ホテルやコンビニなどの店舗、アパートなどで一定の需要量が確保されれば、コスト低減や安定供給につながるだろう。

 一方、非住宅木造物件にも地域材を積極的に活用し、地域の建築、木材関係者等への経済波及を重視する動きが広がるなかで、JASムク製材品の供給に関心が高まっている。

 現在につながるJAS制度は1967年に制定されて約50年になるが、全体とすれば製材工場数全体の減少とも連関しながらJAS製品供給量は減少傾向をたどってきた。だが、この15年ほどは人工乾燥製材JASの格付け実績数が大幅に増えている。2003年度の人工乾燥材の同実績数(全数検査区分を除く)は36万6300立方㍍だったが、17年度は74万200立方㍍、このうち機械等級区分は29万8600立方㍍が63万6500立方㍍と倍増した。

 10年の公共建築物等木材利用促進法施行を受け、11年に国土交通省が策定した木造公共施設の設計指針となる「木造計画・設計基準」では、製材の規格は原則としてJASに適合するものまたは国土交通大臣の指定を受けたものと明記された。また、設計関係者は構造計算が必要な中大型木造物件では品質が明確で、等級と樹種に応じて許容応力度計算時に利用できる基準強度が設定されている機械等級区分や木質等級区分の構造用製材を使うべきと指摘する。林野庁は非住宅物件のJAS製材調達費支援事業やJAS製材工場に対する設備導入補助事業を進めてきた。これらを背景に、全国の中堅以上の製材メーカーがJAS製品の供給に再び力を入れ始めている。特に機械等級区分のJAS認定数は増える見込みで、人工乾燥製材で年間100万立方㍍の供給量が視野に入ってくる。


2019年12月10日(火)日刊木材新聞

ウッドデザイン賞2019 最優秀賞に三菱地所ほか

受賞企業と自治体の協業に期待

 今年で5回目を迎えたウッドデザイン賞2019の表彰式が、5日にエコプロダクツ展の会場で開かれた。最優秀賞(農林水産大臣賞)に選ばれた「日本初となる中高層木造ハイブリッド建築を実現する技術の実証」(三菱地所ほか)を手掛けた三菱地所、竹中工務店、山佐木材、田島山業をはじめ、優秀賞(林野庁長官賞)9点の関係者へ太田豊彦林野庁次長から表彰状が贈られた。

 表彰を受けた三菱地所は「当社は木造に関して高い知見があるわけではないが、ほかの3社の知見を得ることで実現できた。伐採から加工、建設、消費者への販売まで、川上から川下までのバリューチェーンを築いた点を評価してもらえたのだと思う」と述べた。

 太田次長は「最近、木を使う様々な動きが出ており、その最先端が今回の受賞作品に表れている。木材利用推進においてウッドデザイン賞は非常に意義があり、今後も応援していく」と語った。

 赤池学審査委員長は受賞作品について、「今年始まった森林環境譲与税の使途の模範となるものを選ぶという視点で、5日間侃々諤々の審査を行った。間違いなく譲与税活用のモデルになる」と述べた。また、「最優秀作品のように、大手デベロッパーが木造の中高層ビルに目覚めてきている。こうした大手企業と地方の自治体が戦略的に協業し、ビジネスモデルになっていくことを期待している」と受賞後の発展に期待を示した。

 さらに、優秀賞や奨励賞について、「今回は特に、こんなものが木で作れるのかと驚くものが多かった。木の御朱印帳など、発想は斬新だが古くて懐かしい作品も多かった。また、森のなかで結婚式を開く新しいビジネスも出てきた。今後、木材にとどまらず森林の新しい利用の形もどんどん出てほしい」と語った。



2019年12月6日(金)日刊木材新聞

三菱地所 CLTパークHARUMI竣工

オリパラ通じ内外に木の良さアピール

 三菱地所(東京都、吉田淳一社長)が東京・晴海で建設を進めてきた「CLT  PARK  HARUMI(CLTパークハルミ、旧プロジェクト名=CLT晴海プロジェクト)」が11月29日に竣工した。今月5日に関係者等を集めて披露した。

 同施設は、三菱地所として首都圏で初めてCLTを使った計画で隈研吾建築都市設計事務所がデザインを監修、三菱地所設計が設計・監理を行い、三菱地所ホームが施工した。

 14日に開業。2020年秋まで1年間、東京・晴海で運用し、CLTの魅力を伝えるシンボルとして国内外にアピールする。

 パビリオンには岡山県真庭市産のCLTを680立方㍍(銘建工業、7層210㍉、桧)使用。グーグルによるデジタルスキル取得をサポートする施設「グローウィズグーグル ラーニングセンター」やプレースホルダーによるエデュテインメント(教育+エンターテインメント)型アトラクションを活用したコミュニティースペース「プレイフォレストディレクテッドバイプレースホルダ」などを設けている。

 晴海での運用後は部材をリユースし、CLTの生産地、真庭市の国立公園蒜山に移築し、観光・芸術・文化の発信地点として利用する計画だ。

 パビリオン棟は地上1階、高さ約18㍍、S造とCLTによる混構造。延べ床面積601.38平方㍍。CLT約235立方㍍(桧、銘建工業)を使用した。

 鉄骨の柱間に斜めに加工したCLTを梁のようにして、柱間をつなぐ。移設を前提としていることから鉄骨柱接合部とCLTパネルユニット接合部の間はボルト接合し、各パネルユニットはボルトの付け外しで個別に取り外せる。

 屋内展示場は2階建て、高さ約9㍍。CLT造による木造で、延べ床面積は985.38平方㍍、CLT約445立方㍍(杉、銘建工業・山佐木材)を使用した。

 吉田社長は、「オリパラの約1年、晴海で展示し、その後、真庭市に移築する。三菱地所グループがそれぞれの個性を生かしてワンチームで取り組んだ」と語った。

 隈研吾氏は「1年後に真庭市に移築するが、真庭は木の聖地のようなところ。移築して再生することはコンクリートではあり得ない」と、移築して再利用する持続性をアピール。

 太田昇真庭市長は「移築後は、真庭で大阪万博の太陽の塔のように永遠に輝いてほしい」と話した。


超高層ビルに木材を使用する研究会:第7回総会および総会記念シンポジウム開催いたしました

■日時:10月19日(土)12:30~会員受付開始、13:45~一般受付開始

■場所:電気ビル本館 地下2階7号会議室

    〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2丁目1番82号

■主催:超高層ビルに木材を使用する研究会(https://tyoukousoumokuzai.jimdo.com/

■内容(予定)

(1)13:15~13:45 総会

(2)14:00~14:10 シンポジウム開会挨拶

(3)14:05~15:00 特別講演

          「CLTの抱える課題と今後の展開」

             京都大学生存圏研究所教授 五十田 博氏

 (4)15:00~17:30 パネルディスカッション

          「進化する建築・進化する木質構造-CLTの課題と今後の展開-

 (5)18:00~20:00 意見交換会 「大名やぶれかぶれ渡辺通り店」

   ■参加費:無料(※意見交換会は会費5,000円を予定)

   ■定員:80名 ※会員優先、会員外は先着順   

   ■申込:下記ご案内をダウンロードいただき、参加申込書ご記入の上、事務局へFAXしてください

       ※申込締切 10月9日(水) ※受付を締め切りました

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超高層ビルに木材を使用する研究会 シンポジウムのご案内
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2019年9月20日(金)日刊木材新聞

杉2×4ラミナ活用のCLT開発 三菱地所

都内狭小地8階建てビルの床で採用

 三菱地所(東京都、吉田淳一社長)は、杉2×4ラミナを使ったCLTを山佐木材(鹿児島県肝属郡、有馬宏美社長)で製造し、ハウスプラス確認検査で性能評価を受け、現在建設中の「千代田区岩本町3丁目計画」(仮称)で採用した。2×4と2×6のラミナを組み合わせた5層5プライ190㍉厚で、従来の杉CLT・MX60の1.5倍以上の強度があることを確認。同社CLTユニットでは「CLTを使った建築物のコストを削減し、循環型社会の実現に向けて、性能評価の結果もオープンに使用できるようにしていきたい」と話している。

 三菱地所では、専門部署のCLTユニットを設け、CLT建築物の実用化に向けて3年前から取り組んでいる。

 今春、仙台市で竣工した10階建て賃貸マンション「パークウッド高森」では、床と壁の一部にCLTを採用。この経験を踏まえCLTを使った床構造のコスト削減に取り組んだ。

 コスト削減のため杉2×6材を弱軸方向に、杉2×4材を強軸方向に使用し、それぞれを幅ハギ・積層し、イソシアネート系接着剤で接着した。CLTのJASではラミナ厚を36㍉までとしているのが、杉2×4材の市場が広がりつつあり、流通しているサイズであることから2×4材の38㍉ラミナを使用。さらには最外層ラミナとして30㍉よりも強度が高いことなどもあり、性能評価試験ではMX60の1.5倍以上の強度性能を確認した。

 また、1700×4000㍉のサイズでCLTを製造し、ラグスクリューボルト(M12×120㍉)をCLT上端に設置した。コンクリート打設時に鉄筋の代わりとして機能するもので、CLTへの加工を極力行わないことでコストを削減。鉄骨梁にはコーナー金物を取り付け、CLTははめ込むだけ、コンクリート80㍉とSLプラスター(2時間耐火60㍉、1時間耐火40㍉)を打設することで上端の耐火被覆にもなる。CLTには水分を吸収しないよう撥水材を塗装した。

 下端の耐火被覆は2時間耐火で石膏ボード15㍉×3とケイカル板15㍉、1時間耐火は石膏ボード21+15㍉で大臣認定を受けている。

 さらに鉄骨梁の耐火被覆にはロックウール耐火被覆材「マキベエ」を使うことで施工性を向上させた。

 今回の岩本町のプロジェクトはS造+木造(CLT床)の8階建て、敷地面積145.61平方㍍、延べ床面積645.05平方㍍の規模。CLTは約57立方㍍使用した。施工は久保工、設計・監理は久保工、三菱地所設計。来年3月末の竣工を見込んでいる。

 


2019年6月1日(土)日刊木材新聞

CLT構造で国内初の8階建てビル 三菱地所

都心部の小規模・高層建築のモデルに

 三菱地所(東京都、吉田淳一社長)は、CLTを床構造に採用した8階建て事務所ビルを東京都内で着工した。CLTを構造材として使用する6階建て以上の事務所建築は国内で初めてとなる。

  同社は住宅業務企画部内に専門部署「CLTユニット」を組織し、CLTの普及に向けた様々な建築プロジェクトを実施してきた。今春、仙台市内で完成した10階建てマンション「パークウッド高森」には、床に湿式工法で施工性を高めたCLT2時間耐火構造床(CLTは210㍉)を採用している。

 今回の物件(千代田区岩本町3丁目)は、仙台の事例を参考に、5~8階は1時間耐火、3~4階は2時間耐火と階数によって耐火仕様を使い分けている。スラブの鉄骨梁の天端をCLT床として、側面と下端の3面を耐火被覆することで性能を確保し、コンパクトな収まりを実現。材料費、施工費の低減につなげる。

 5月29日に着工し20年3月末に竣工予定。

 敷地面積145.61平方㍍、延べ床面積645.05平方㍍の鉄骨一部木造8階建て。CLT床は、55.68平方㍍、全体では334.08平方㍍。CLT使用量は約57立方㍍を見込む。

 木の温もりが感じられる商品計画で、外装には木ルーバーを使用。オフィス内も内装、家具の木質化を推進することを検討している。

 2018年度のサスティナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択され、小規模敷地で高層建築が密集する都心部市街地でのモデルケースとなることを期待されている。

 設計・管理は久保工、三菱地所設計、施工は久保工が担当する。

 


2019年5月28日(火)日刊木材新聞

新需要の創出目指す

中大規模担い手育成継続 日集協・総会

 日本集成材工業協同組合(東京都、佐々木幸久理事長)の第48回通常総会が17日、東京都内で開かれた。事業計画には集成材製品の品質向上や普及・啓発を盛り込んだほか、中大規模木造建築工事の担い手の確保・育成に向けた活動に継続的に取り組むことを確認した。

 佐々木理事長はあいさつで「世界的に見ると、国際競争が激しい時代になっている。一方で日本では森を守り、木材利用を拡大する動きが活発化している」と話し、トレンドの動きが目まぐるしい現状でも日集協として市場発展と組合企業の発展に尽力する姿勢を示した。

 昨年度事業については、日集協組合員の集成材生産量が152万2000立方㍍(前年度比3%減)だったことを報告した。用途別では構造用が144万2000立方㍍(同2%減)。断面寸法別では小断面が前年度比3%減、中断面同8%減だった。造作用は4万5000立方㍍(同3%減)だった。昨年度の大きな活動としては、中大規模木造建築物の担い手育成に向けたテキストを作成し、3月にはプレ講習会を開いた。また、大断面集成材の規格化にも力を入れ、組合企業とユーザーの双方が活用しやすい規格設定に取り組んできた。

 今年度も、テキストの完成度向上や、担い手育成の活動普及を柱の一つとして取り組んでいく。

 このほか、集成材製品の品質向上、造作用集成材の新たな利用による需要創出など需要拡大のための普及・啓発活動、規格化大断面集成材の利用推進、各種セミナー・講習会の開催などに取り組む。

 森林環境税・森林環境譲与税の創設、改正建築基準法の施行に伴う告示の制定・改定等が木材利用や集成材利用の追い風になると期待し、関係省庁や関係団体と連携しながら事業を推進していく。

 


2019年5月29日(水)日刊木材新聞

厳しい自然環境下、木造に挑戦 屋久島町新庁舎

木部保護はリボス自然塗料で対応

 屋久島町新庁舎が竣工し、5月から供用を開始した。同庁舎は合計床面積約3600平方㍍。戦後植林された屋久島産国有林地杉を原材料に、地元の製材工場・建設会社・大工が中心となって建設に取り組んだ。設計はアルセッド建築研究所(東京都、三井所清典・大倉靖彦代表取締役)。

 同社は設計のほか木材調達、製材及び建設工事業者、住民、関係者とのワークショップなどの全体調整も担当した。高温多湿の厳しい自然環境下での木造建築であり、特に木部の耐久性に関しては、ドイツ製のリボス自然保護塗料を外装、内装に全面使用した。

 新庁舎はフォーラム棟、窓口棟、事務棟、議会棟、機械室棟で構成され、合計床面積は約3600平方㍍。耐火木造棟を挿入して1000平方㍍以下に分割することで内装制限等を緩和させた。木材製品使用量は約1000立方㍍。

 木材製品の原材料は、屋久島森林管理署が管轄する国有林から地杉丸太2350立方㍍を出材し、地元の製材工場で構造材などを粗挽き製材、養生天然乾燥後、山佐木材(鹿児島県)で人工乾燥、プレカット加工した。構造材は全数検査し、含水率20%以下、強度E70適合材を、接合部はストローグのコネクタを使用。床材、羽目板、天井板などの内装材と外壁材等は屋久島町木材加工センターで加工した。

 島内の製材工場、大工等職人が限られていることから、彼らの通常業務に大きな影響を及ぼさないよう製材・建設工事を平準化し、構造材の基本寸法は4~6㍍長、材幅4寸に単純化させた。

 各棟ともに切妻とし、地杉現し仕様で設計。平屋建てのフォーラム棟は、中央に6㍍×400㍉角の杉を八角に加工した列柱を構造材として設置した。一部2階建ての窓口棟は、中央に8寸角芯柱を配置、そこから3種類の樹状トラスを組み、両側合計で最大16.4㍍スパンを確保した。事務棟は中央に中廊下を配し、廊下を挟んで千鳥に柱を設置、そこから樹状トラスを組んだ。また、1階耐力壁で3層45㍉厚の化粧CLTを使用した。議会棟無柱空間架構は、小トラスによる八角形4層構造とし、同心円状トラスが徐々に中央部によっていく立体感のある構造とした。

 内装もすべて地杉を原材料とし、島内で床材、壁材、天井材等を製造・加工、島内と種子島等で各種建具、テーブル天板、木製家具、什器等を製造した。外装も地杉を原材料に、屋久島で昔から使われている目板押えとした。木部はイケダコーポレーション(大阪市)のリボス自然保護塗料仕上げ、内部はカルデット2回塗り、外部はシーラー処理後タヤエクステリア2回塗りとした。

 アルセッド建築研究所は「屋久島特有の厳しい自然環境の下、木造建築の耐久性向上に向け、特に雨掛かり対策が重要だった」と語り、切妻方式とし、屋根に石州瓦を使用、深い庇による開口部保護、目板縦張りによる雨水対策、高い基礎など、島で長年培われてきた建築様式を新庁舎設計にも反映させた。

 


2019年5月23日(木)日刊木材新聞

1年で約3,800㎥供給  山佐木材株式会社

CLT実績は下地島空港など

  山佐木材(鹿児島県肝属郡、有馬宏美社長)の構造用集成材の月間生産量は300立方㍍。2019年4月までの1年間の構造用集成材とCLTを合わせた契約物件数は68に上る。同集成材の供給材積は約3800立方㍍、CLTは約2000立方㍍だ。

  直近の完成物件は、構造用集成材では鹿児島県屋久島町の金岳小学校、同志布志市の伊崎田中学校があり、ともに供給と集成材工事を行った。

 CLTでは下地島空港(沖縄県宮古島市)ターミナルビルの新築工事に1530立方㍍を供給し、CLT工事も担った。仙台市泉区の10階建て賃貸マンションにCLTを供給し、1~5階の耐震壁などに使われた。

 このほかの供給実績として、構造用集成材では鹿児島県種苗生産施設ブリ種苗生産棟の新築工事に92立方㍍納材した。由布市(大分県)インフォメーションセンター新築工事に87立方㍍を供給し、うち湾曲材が71立方㍍だった。

 CLTでは森林総合研究所九州支所(熊本市)の共同特殊実験棟の建て替え工事に530立方㍍を供給した。

 構造用集成材事業では、中・大規模物件向けの構造設計から加工、建て方などを含めた受注生産が中心となる。構造計算を含めた技術的提案のできるメーカーとして営業展開を進める。杉構造用集成材の材長方向に鉄筋を挿入し、性能を高めた集成材「SAMURAI」の開発・普及支援も行う。

 CLT材供給に向けては、17年に設備増強を図った。

 


2019年3月15日(金)日刊木材新聞

CLT使った高層マンション竣工 三菱地所

内装木質化住戸の付加価値化図る

 三菱地所(東京都、吉田淳一社長)が仙台市泉区で建設を進めていた、CLTなどを活用した10階建て賃貸マンション「パークウッド高森」が竣工、23日から入居を始める。CLT床を利用した高層建築物は日本で初めてで、湿式工法による床構造として2時間耐火構造認定を取得し、RC造と比べて工期を3カ月短縮することができた。

 このプロジェクトは、三菱地所の社内事業提案によりCLTユニットが結成され、事業化に向けて取り組みが進められた。10階建て賃貸マンション4~10階の床にCLT床を採用するほか、1~5階の耐震壁の一部にもCLTを採用。一部の柱に燃エンウッドの1時間耐火、2時間耐火を使い分けるなど木材利用を重視した。

 CLT床などは耐火被覆で覆われてしまうが、一部の居室の柱に燃エンウッドを現しで使用するほか、壁や天井の一部に木材を現しで使用している。同社では「木質内装部分のある部屋をプレミアム仕様とし、賃料に反映させるために見学者にアンケートを実施。5%程度の価格差なら木質内装を好む層が存在することも分かった」と話している。

 床は、三菱地所、三菱地所設計、竹中工務店、山佐木材の4社で取得した2時間耐火認定の仕様。SLプラスター60㍉、トップコンクリート80㍉、CLT210㍉、強化石膏ボード15㍉×3枚、ケイ酸カルシウム板15㍉で、CLTの上面はSLプラスターを流し込むことで従来の上下石膏ボード被覆の乾式工法よりも施工性を高めた。CLT耐震壁は水平力のみを受ける形で、CLT150㍉5層5プライを鉄骨梁に固定する。水平力のみを受けるが、鉄骨梁との取り合い部などから熱が伝わるのを防ぐため、石膏ボードを被覆した。上端はせん断プレート+ドリフトピン(ストローグ)。

 燃エンウッド柱は2~6階が2時間耐火560㍉角(荷重支持部はカラ松、燃えしろ層は杉)、7~10階は1時間耐火の杉仕様で外形は520㍉角を使用。プレミアム仕様の住戸では現しとした。

 CLTは竹中工務店が田島山業(大分県)から丸太で調達、山佐木材へ供給し、CLTに加工して199.8立方㍍を使用。燃エンウッドは齋藤木材工業製で18.5立方㍍を使用した。1階のエントランスには杉12㍉と15㍉の板を不燃処理してデザイン性の高いパネルとして使用した。

 敷地面積3550.15平方㍍、延べ床面積3605.11平方㍍、10階建て、39戸で2LDK、3LDK。賃料は9万3000~14万1000円で内装木質化の住戸は5%程度賃料を高めて付加価値化を図っている。

 駒田久三菱地所取締役常務執行役員は「当社は、下地島空港、晴海プロジェクトなどでCLTの経験値を高めていく。CLTは軽量で構造をスリム化でき、工期短縮にもつながる」と話している。

 


2019年3月19日(火)日刊木材新聞

CLT市場の創造へ取り組む

床耐火仕様のコスト削減に注力 三菱地所CLTユニット

 三菱地所(東京都、吉田淳一社長)は、社内新規事業提案制度を受け2017年度から住宅業務企画部内にCLTユニットを組織し、「CLT」を使った事業を検討している。取り組み始めて約2年、仙台の「パークウッド高森」に続いて「下地島空港旅客ターミナル施設」も3月末に完成する。東京オリンピックの開催に合わせてCLT晴海プロジェクトや豊島区西池袋5丁目プロジェクト(仮称)と、CLT活用プロジェクトが続いている。

 CLTユニットのメンバーの柳瀬拓也主事は、「CLT活用が事業になるかは、まだ決め手がない。RC造より安くなるなど明確な糸口を見付けたい」と様々なプロジェクトの実施を通じて、検証を重ねている。

 検証テーマの一つが床の耐火構造だ。既存のCLT床の2時間耐火構造は上下面を強化石膏ボードで被覆する仕組みで既に大臣認定取得済み。ただ、石膏ボード21㍉厚を2重に施工するのは手間が掛かる。そのため、仙台の10階建て賃貸マンションでは鉄骨梁にCLT床210㍉5層7プライMx60を使い、下面は強化石膏ボード15㍉×3枚、ケイ酸カルシウム板15㍉を施工。上面はトップコンクリート80ミリの上にSLプラスター60㍉を打設する湿式工法を採用した「湿式工法にすることで40平方メートルくらいなら2~3人がかり半日で施工できる」(柳瀬主事)という。4~10階の床スラブをCLT床にし、同じ階でもCLTの原板からの歩留まりや床レベルの違いからCLTスラブを部分使いにした。

 また、豊島区西池袋プロジェクトでは、6階建てのため、上から4層をCLT床として1時間耐火認定を取得する。CLT床は2時間耐火構造しかないことで仕様が過剰になることを避けたい考えだ。鉄骨梁からCLT床の距離を離し、鉄骨梁の耐火被覆を通常の鉄骨造の仕様にする。下面は強化石膏ボード21+15㍉の2枚重ね。CLTは210㍉で上面にSLプラスター40㍉を施工する。

 CLTを事業で活用していくうえで床、壁がポイントと考え、床の施工性を高める工夫をしている。

 コスト削減に向けた取り組みを行う一方で沖縄県の下地島空港の旅客ターミナル施設では屋根構造材に大判のCLTを使っている。CLT板とCLT板の接合部にGIR(グルード・イン・ロッド)を使い、そのために多くの破壊試験を実施した。「下地島は特殊な事例だが、木造で新しいことをやるには実験がつきもの。多くの実験を行うことで一般解にも応用できる」(同)。

 鉄骨造は年間2000万平方㍍の市場があり、この5%を木造床に切り替えるだけでも膨大なCLTの需要が期待できると新市場開拓へ取り組んでいる。

 CLTユニットは三菱地所専任3人に三菱地所設計、三菱地所ホーム、三菱地所住宅加工センターなどグループ会社のメンバーも含めて9人で取り組んでいる。

 


2019年3月17日(日)宮古新報

リゾートにふさわしい空港に

盛大に竣工式典 下地島空港ターミナル 関係者集い完成祝う

 今月30日に開業するみやこ下地島空港ターミナルの神事・竣工記念式典が、16日、三菱地所の吉田淳一社長をはじめ、多くの関係者多数が出席し同ターミナルの完成を祝うとともに路線の発展と運行の安全を祈念した。神事に続いて開かれたレセプションで、あいさつした三菱地所の吉田社長は「無事竣工を迎えられたのは皆さんのおかげ。エコアイランド、リゾート地にふさわしい空港を建設したつもりだ。この空港の活用で沖縄、宮古の観光を盛り上げて行きたい」と述べ、空港ターミナルの完成を祝った。

 2017年10月に着工した同ターミナルは、およそ1年半の工期を経てこのほど完成。この日、午後行われた神事・竣工記念式典では三菱地所の吉田淳一社長、下地島エアポートマネジメント(SAMCO)の伴野賢太郎社長をはじめ、内閣府の宮腰光寛特命担当大臣(沖縄・北方対策)、県選出の衆参両議員、玉城デニー沖縄県知事、下地敏彦宮古市長ら多数の関係者が出席した。午後2時から神事が行われ、神主の祝詞奏上完成を祝、安全運行を祈念した。

 祝賀会は、竣工式典会場の国内・国際線供用搭乗待合室フロアで行われ、琉球國祭り太鼓のメンバーによる勇壮な太鼓の演舞で幕を開けた。

 始めにターミナル施主の吉田社長があいさつに立ち「無事、竣工の日を迎えることが出来たのは、国、県、市それに、多くの関係者の支えがあったからと感謝している。宮古地域を一大リゾート地にという戦略に寄与しようと、ターミナル建設に至った。リゾート地にふさわしい空港にしようと、従来の空港には無かった開放的な空間で、木材を新しい工法で組み立てたCLTという構造材を我が国で初めて使用。エコアイランド宮古にマッチしたもの。今後宮古の観光や経済が盛り上がりを見せるよう頑張りたい」と述べた。

 続いて宮腰大臣が「沖縄担当大臣として宮古圏域が一層発展するよう力を尽くしたい」と述べ、下地市長は「この空港が宮古島市の国際化に寄与し、末永く親しまれるよう祈念する」とあいさつ。

 そして、ゲストのオペラ歌手・中丸三千絵さんがその美声で「アベマリア」などを披露した。最後は関係者による鏡開き、沖縄県商工会議所連合会の石嶺伝一郎会長の乾杯の音頭が行われ、ターミナル竣工を祝った。

 


2019年3月17日(日)宮古毎日新聞

「第2の玄関」に期待大

下地島空港ターミナル竣工 吉田社長「宮古盛り上げる」

 30日開業の「みやこ下地島空港ターミナル」の竣工記念式典が16日、ターミナル施設内で開かれた。各界各層から関係者多数が出席し、宮古空港に次ぐ、「第2の玄関」の利活用に伴う観光振興に期待を寄せた。ターミナルを整備した三菱地所の吉田淳一社長は「皆さんと手を携え、宮古島、日本を盛り上げたい」と決意を語った。17日は一般向けの内覧会が行われる。時間は正午から午後2時。

 神事で安全と観光振興を祈願した後、午後3時から竣工記念式典を開いた。

 宮腰光寛沖縄担当大臣をはじめ玉城デニー知事、県選出の国会議員、県議会議員らも顔をそろえた。そのほか国内外の経済界から多数の関係者が出席した。

 式典で吉田社長は「沖縄県は、世界トップレベルの観光リゾートを実現する戦略を掲げている。私たちもその戦力に少しでも寄与したいと、総力をあげて空港ターミナルの整備に取り組んできた」と地域への熱意を語った。その上で「宮古島という世界屈指のリゾート地にふさわしいターミナルを整備にした。国内外から多くの方が来てくれると確信している」と話した。

 続いて宮腰大臣が「(ターミナルの開業は)伊良部大橋の開通によって可能になった下地島空港の利活用を大きく進める」と話して潜在力に期待した。「引き続き民間の創意工夫を生かしたエアポートセールスが行われるとともに、官民連携で受け入れ体制づくりに取り組むことで、宮古圏域及び沖縄振興を加速させると確信する」と述べた。

 玉城知事は「下地島空港は宮古島の第2の空の玄関口として新しいスタートを切る。下地島空港を利用して多くの方に訪れていただけるよう関係者と協力して取り組んでいきたい」と継続支援を約束した。

 下地敏彦社長は「ターミナルは、青い空、太陽、風を感じることができるまさに宮古島のイメージにマッチした施設であり、空港だけではなく、観光施設としても十分に活用することができる」と述べ、宮古島市の活性化に貢献するターミナルの完成を喜んだ。

 関係者多数による鏡割りの後、参加者全員で祝杯を上げ、ターミナル竣工に伴う下地島空港の利活用と観光振興に期待を込めた。

 レセプションではオペラ歌手の中丸三千繪さんが施設全体を包み込むような歌声を披露し、竣工記念パーティーに花を添えた。

 みやこ下地島空港ターミナルの延べ床面積は1万2027平方㍍。基本はRC造りで、一部は鉄骨造と木造。地上2階地下1階の建物だが、旅客エリアは地上1階のみ。運営は下地島エアポートマネジメント。

 エコの取り組みとして板の方向が層ごとに直交するように重ねて接着した大判のパネル「CLT」を屋根の構造材に使った。1棟当たりのCLT使用量としては日本一の施設になる。

 就航が決まっている路線はジェットスター・ジャパンの成田-下地島と関西-下地島、香港エクスプレスの香港-下地島。

 


2019年1月9日(水)日刊木材新聞

地域材による非住宅建築、各地に 九州

 九州各地で中大規模の木造・木質化物件の建設が続いている。公共建築物等木材利用促進法などの整備が進んだことや、木材の品質・防火技術の向上などが背景にある。木材業界や行政の一部は、木造に精通する設計士の育成に継続して取り組んできた。2018年も地域の木造・木質化非住宅物件のモデルケースとなり得るような県産のムクや集成、CLT材などを活用した公共施設や事務所が多く誕生した。長期的には新築住宅が漸減していくことが予想されるなかで、プレカット工場も非住宅への対応も進めており、併せて紹介する。

 

CLTと鉄骨の混構造事務所

勾配屋根で7.2スパン実現 JR九州・熊本支社

 JR九州(福岡市、青柳俊彦社長)はJR熊本駅(熊本市)の新幹線及び在来線高架下に移転する熊本支社の新事務所を、S造とCLT造の混構造1階建てで整備した。事務所棟の一部、また乗務員などが利用する乗泊棟は、熊本県産を含む南九州産杉を使用したCLT造となった。

 事務所棟会議室などは、勾配屋根を採用して7.2㍍のスパンを飛ばし、高架下でありながら大空間を実現した。燃えしろ設計の準耐火構造で、屋根と壁には現しでCLTパネルを使用した。

 CLT使用量は製品ベースで330立方㍍。鹿児島県産杉が88%で、残りは熊本県産。パネルは銘建工業(岡山県真庭市)が事務所棟に、山佐木材(鹿児島県肝属郡)が乗泊棟に供給した。一番大きいパネルはエントランス(事務所棟)の壁で長さ5000×幅2000×厚み210㍉。7.2㍍スパンを実現する事務所棟の勾配屋根は、厚み150㍉のCLTパネルを地上で組み立てた後、揚重で取り付けた。安全面が確保でき、工期短縮にもつながった。

 また同棟は、高架柱を囲むように効率的にCLT耐力壁が配置されている。住友林業(東京都)がCLT構造の設計や同部分の木躯体工事を担当した。CLT造の事務所棟が1時間耐火で、同造の乗泊棟は45分準耐火建築物だ。S造の事務所棟一部と会議室棟も耐火構造となる。

 新事務所棟の延べ床面積は3109.01平方㍍で、そのうちCLT構造部は1256.33平方㍍。

 JR九州は、近年では大分支社の内装木質化などに取り組んでいる。ただ、構造躯体に木材を取り入れたのは熊本支社が初めてとなった。2018年3月から新事務所での業務が行われている。

 

交流施設と一体の木造校舎

杉集成梁12㍍の大空間 広川町立下広川小学校

 福岡県の広川町立下広川小学校(八女郡)は構造材に同県産集成材を活用した木造2階建てだ。地域交流施設と一体となっており、小学校と交流施設を合わせた延べ床面積は約4800平方㍍だ。

 小学校の多目的ホールは杉集成材梁で12㍍のスパンを飛ばし、無柱の大空間を確保している。吹き抜けを設けて2階からも見渡せる設計にした。交流施設は1階に家庭科室と和室、2階に音楽室が入る。

 木材使用料は原木ベースで900立方㍍となる。地元の福岡県八女森林組合(八女市)が3年に分けて300立方㍍ずつ供給した。

 構造部にはすべて集成材が使われ、ウッドエナジー協同組合(宮崎県日南市)で集成材加工した部材は宮崎県内のプレカット工場で加工された。山佐木材で集成材化した部材は熊本県内のプレカット工場で加工している。外壁や床の仕上げ材にも杉、桧を使用した。

 当初はRC造での計画だったが、木材の利用促進などを考え、木造での建築となった。広川町はこれまでも中学校や町民交流センターなどを木造で整備し、公共施設の木造化を推進してきた。

 


2019年1月9日(水)日刊木材新聞

新需要開拓へ供給体制構築

立地優位性背景に複数企業進出 大隅地域

 流通やメーカーがそれぞれの地元にとどまるのではなく、事業にとって優位性のある場所に進出、協力することで、国産材に新たな価値を生み出そうとする取り組みが九州でも始まっている。

 場所は鹿児島県大隅地域。同地に進出し地元の山佐木材(鹿児島県肝属郡、佐々木幸久社長)とともに、国産材の新需要開拓へ連携を図るのが伊万里木材市場(佐賀県伊万里市、林雅文社長)と、同社グループのさつまファインウッド(SFW、鹿児島県霧島市、同社長)、外山木材(宮崎県都城市、外山正志社長)だ。

 大隅地域には豊富な森林資源があり、原木で国内最大の輸出港に成長した志布志港にも近いなどの条件がそろう。これらの事業体は、地元の森林組合などとともに大隅地域の林業成長産業化地域機構にも参加している。

 原木や製材品の流れは、伊万里木材市場南九州営業所(鹿児島県曽於市)では、同社に協力する素材生産業者からなる森栄会などを通じ原木を集荷する。同事業所は山佐木材と外山木材志布志第6工場(同志布志市)に原木を供給。志布志第6工場は山佐木材にCLT用ラミナ、SFWには2×4用ラミナなどを供給する。

 

設備増強にも積極姿勢

 製材やCLT、2×4部材などの分野で外材需要への切り込みを図るなか、各事業体は積極的な設備投資を展開してきた。南九州営業所は2018年、曽於市内に第2土場を開設し、原木供給体制の強化を図った。山佐木材は17年にCLT加工機やモルダーなどを整備し、CLT生産能力を引き上げた。

 SFWは18年度の国産2×4部材出荷量が3万8000立方㍍と、前年度比1.9倍まで引き上がる見込みだ。19年度は年間4万8000立方㍍までの引き上げを予定し、生産量拡大のための設備増強も視野に入れる。北米産製品の入荷不安や国産材利・活用の考え方がビルダーに浸透してきたことなどを背景に、出荷先や販売量を順調に伸ばしている。

 外山木材志布志第6工場は昨年末、2期工事を終え稼働を始めた。杉2×4用材やCLT用材、杉足場板、杉KD柱・間柱などを生産する。

 既存の市場流通では、同じ規格を安定的に求められる大型工場などへの需要に対応していくことは難しくなっていく。そうしたなか、林社長は「合板やバイオマス、海外向けなどそれぞれの需要に合わせたサプライチェーンを構築していくことが必要となっていく」と指摘する。

 それは大隅地域の連携のなかでも一部が形になっているとも考えられるが、「杉2×4部材に限れば当社と協力製材工場、SFWでの供給連携が始まったばかりだ。今後はほかの国産材2×4部材工場とも連携し、国産材の新需要に応えていく形も考えられる」(林社長)。

 大隅発の取り組みが今後、地域を越えた広がりを見せていくかもしれない。

 


2019年2月6日(水)

鹿児島県主催「CLT技術講習会・見学会」開催されます

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・講習会:平成31年2月22日(金)10:30~15:40

・場所:鹿児島県住宅供給公社ビル3階大会議室

   (鹿児島市新屋敷町16-1)

 

・見学会:平成31年3月20日(水)14:00~15:30

・場所:(株)七呂建設本社(鹿児島市石谷町1273-1)

 

・定員:各50名

・参加費:無料

・申込み:添付PDFをFAXしてください

・問い合わせ:TEL 099-224-4543(鹿児島県住宅センター)